香りのコミュニケーション
日時:2007年12月5日 14:45-16:15
場所:
京都大学 工学部10号館1階 第1講義室
講師:
岡田 謙一氏
講師所属:
慶應義塾大学理工学部情報工学科 教授
講師略歴:
◇1973年慶應義塾大学工学部計測工学科卒業後, 慶應義塾大学大学院計測工学専攻修士 課程修了, 博士課程所定単位取得退学.
◇工学博士.
◇慶應義塾大学工学部助手,アーヘン工科大学訪問研究員を経て, 現在,慶應義塾大学理工学部情報工学科教授.
◇専門はCSCW,ヒューマンコンピュータインタラクション.
◇情報処理学会学会誌編集主査,同論文誌編集主査,同学会ハンドブック 編集幹事電子情報通信学会論文誌編集委員, 同学会ハンドブック編集幹事, 情報処理学会グループウェア研究会主査,同モバイル研究会幹事, 同放送コンピューティング研究グループ 幹事, 電子情報通信学会マルチメディアインフラストラクチャ&サービス研究会幹事, 日本バーチャルリアリティ学会サイバースペース研究会副委員長などを歴任.
◇CSCW (ACM), ICDCS (IEEE), INTERACT (IFIP) をはじめ13国際会議の大会委員長, プログラム委員長,財務委員長などを歴任.
◇ジャーナル,国際会議,解説論文など150編,取得特許1件,口頭発表300件以上.
◇「コラボレーションとコミュニケーション」,「情報の創出とデザイン」, 「ヒュー マンコンピュータインタラクション」をはじめ著書14冊.
◇情報処理学会論文賞(1996,2001),情報処理学会40周年記念論文賞, 日本バーチャ ルリアリティ学会サイバースペース研究賞を受賞.
◇情報処理学会フェロー.
講演概要:
情報通信技術やメディア処理技術の進展とともに,これまで我々は 時間と距離の壁を越えた臨場感あふれる空間の構築を目指してきた. 音はモノラルからステレオ,そして5.1chサランドへ,映像は白黒から カラー,そして立体表示へと進化してきた.触覚ディスプレイもさまざまな 製品が登場しており,五感情報通信で残されたメディアは嗅覚と 味覚となった.
我々は日常生活において,視覚,聴覚,嗅覚,味覚,触覚の いわゆる五感全てを通して情報を獲得し,自分の周りの環境や物体の 存在,状態を認識している.もちろん生活環境の情報の多くは視覚と 聴覚情報であり,それらにたよる生活が嗅覚を阻害し,嗅覚は五感の 中で最も退化した感覚になっている.日常生活においても嗅覚の 役割に気付くことは少ない.
しかし,嗅覚器官で認識される情報は他の感覚と異なり,情動や記憶 を支配する大脳辺縁系へと直接伝送されるため、ストレートに人間に 影響を与えることができる.また,嗅覚情報は抽象的・感覚的な情報を 伝えやすい.すなわち,言葉とは異なり,目の前にある物体や周囲の 環境の香りから物の存在感や場所の雰囲気,季節感を容易に得るこ とができる.また,アロマテラピーの分野で発展してきたように リラクゼーションやリフレッシュなどの心理効果を持つ香りもある. したがって,嗅覚情報の伝達が可能になれば表現の幅が飛躍的に 広がると考えられる.
本講演では,香りのメカニズムや嗅覚特性,嗅覚ディスプレイとその 応用システム,香り伝送を実現する為に必要な基礎的検討として, 香りのコミュニケーション特性,嗅覚情報モデル,香りの選択手法に ついて述べる.