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2005年08月30日

小豆島・砂岩と泥岩

研究室の旅行で小豆島まで行きました。

姫路からフェリーに乗り、一時間かけて瀬戸内海を渡ると、穏やかな海の向こうから、予想以上に大きな小豆島が近づいてきます。

小豆島には瀬戸内海でもっとも標高の高い山もあり、海に面した断崖は瀬戸内の他の島よりも急峻なように思えます。

フェリーは島の北東に位置する福田港に接岸。
小さな港の両側には切り立った山が聳えています。
石を切り出すのに使っているのか、岩肌が露出しています。

岩山を見た研究生のIくんいわく、

「右は砂岩と礫だけど、左は泥岩ですね」

「違いが分かるの?」

「ええ。見たら分かります」

Iくんはうちの研究室の所属ですが、学部生の頃は理学部で地震シミュレーションの研究をしていました。そのため、地質に関してはくわしい。

若干解説してもらうと、基本的に泥岩の層は砂岩の層の下にできるそうです。
なぜかというと、陸から運ばれた土砂が海中に堆積していく時、砂礫は河口からすぐの場所で沈んでしまうのですが、泥はさらに沖合まで運ばれて堆積する。
堆積によって平野は広がっていくため、最初は泥しか届かなかった領域の上にも次第に砂礫が積もるようになる。
結果として、泥岩の層の上に砂岩の層ができる。

「ここは隆起だけでできている山みたいなんで、火山岩の層も無いし、削りやすいんだと思います。あれだけの砂岩の層ができるには、ざっと一億年かかるんじゃないかな。あの泥岩の層からはきっと化石が見つかりますよ」

山にはいろんなロマンがあるようです。

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2005年08月29日

タイでビールは

タイ人留学生のNさんに質問された。

「日本の人たちは夏にビールを飲むのかい」

「うん」

「どうして夏に飲むの?」

「そんなこと言われても……。夏の方がおいしいからかな。タイでは違うの」

「ぼくらはビールは冬に飲む」

「え?」

「だって、ビールを飲むと体が温まるじゃないか。タイでは冬になると、街にたくさんビアガーデンができるよ」

「……。じゃぁ夏には何を飲むわけ」

「冷たいドリンクをいろいろ」

「それって、アルコールの入っていないやつ?」

「そうだよ」

所変われば……。

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2005年08月27日

大須観音・ブラジル料理と質屋

ぼくが名古屋で一番好きな場所のひとつが、大須観音の商店街です。

今回、名古屋方面に出張した帰り、夕飯を食べに向かいました。

地下鉄鶴舞線の大須観音駅で下車。名城線の上前津駅でもOKです。

大須は古くからある商店街で、若者向けの古着屋なども多いのですが、
工業が盛んな愛知県には世界中の人々が集まってくるため、
外国人を客層とした各国料理店が結構あるのです。

ぼくが今回立ち寄ったのはブラジル料理店オッソ・ブラジルです。

店の前には大きなブラジル国旗が掲げられています。
店員さんは見た目は東洋人ですが、日本語はたどたどしい。

お客さんも外人が多いです。様々な人種がいますが、全員ブラジル人かも知れません。

商店街に面して屋台席が設けられていて、開放的です。

名物は鶏の丸焼き1,000円。
鶏一匹をあぶり、ばらして皿の上に盛りつけてくれるもので、ふたりで食べているお客さんが多い。

その他、鶏肉を挟んだバーガーなどもあります。

ぼくが注文したのはブラジル弁当750円。

でっかい牛肉と鶏肉が入っていて、かなりお得感があります。

真ん中に鶏肉、右下に牛肉です。

左上の赤いスープのようなものは、ブラジル風モツ煮込みでした。
豆とモツがトマトベースで煮込んであります。

鶏肉の左下に粉末のようなのがあるのですが、トウモロコシとイモを乾燥させて砕いたものです。
鶏肉や牛肉の上にかけて食べるそうです。ナチョスのような味がします。

別容器にスープのようなものが付いてきて、その食べ方が分からなかったので、店員さんに聞きました。

「この容器に入っているのは何ですか」
「豆のスープです。私たちブラジル人は、それをごはんにかけて食べるのがとても好きなんです」

スープだけで食べるとすごく淡泊な味ですが、ごはんにかけると確かにちょうどいい。

ごはんはインディカ米です。スープをかけて食べるのには向いているかも知れません。

豆と肉づくしで、三日分のたんぱくを取ったような気がしました。

味も悪くありません。特に肉料理は美味です。


大須でもうひとつ興味深いのは、質屋がかなり多いことです。

一緒に出張に行ったHくんの分析によると、
名古屋人は冠婚葬祭にものすごくお金をかけるため、そのたびに急なお金が必要になる。
だから昔から質屋業が盛んなのではないかということでした。

また、商店街の一角にコメ兵(こめひょう)という六階建てのビルがあり、
一見すると普通のファッションビルですが、
売られているのはすべて中古のブランド品です。


ただしコメ兵は買取オンリーなので正確には質屋ではなく、
むしろリサイクルショップの親玉のような感じです。


コメ兵
http://www.komehyo.co.jp/

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2005年08月25日

新しい保険を考えるということについて

知的障害者の子供を持つ親が亡くなった時、
現在の公的な保険制度では子供に十分な保障が与えられないため、
AIUなどの保険会社が新しい保険を開発しているという新聞記事を読みました。

このような保険が保険会社にとって利益になるということを確認し、
商品として成立させるために使われるのが保険数理という分野だと思うのですが、
こんな分かりやすい形でも世の中の役に立っているということにちょっと感銘を受けました。

購入者にとってメリットのない商品は売れないわけですから、
売り手と買い手の双方の利益になる新しい保険を開発していく。

最近、知り合いの人がそういう仕事に就いたのですが、
市場という枠組みの中で人々を助けていく活動として、
お役所とは別の形で社会貢献をしているように思えて、興味深いです。

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2005年08月23日

時代の時間

昔の映画は長かったという話を、友人としました。

ベン・ハーは三時間半。十戒は四時間近く。

昔の人はそれを普通に映画館で見ていたのでしょうか。

学園祭ではたまに二十四時間耐久アニメ上映会とか開かれたりしますけど、それはもうネタの世界です。

昔は映画の他に娯楽が無かったから、みんな映画に没頭できたのではないかと友人は言います。

しかし、映画だけでなく音楽の長さもどんどん短くなってきている気がします。

たとえば十分以上の長さのヒット曲って、あまり無い。

クラシックだったら十分は短い方ではないかと思います。

ぼくがクラシックを聴く習慣が無いので、やたら長く感じられるというだけではありますまい。

これはもう、時代が作品の長さを規定している。人々に時間感覚を共有させている。

ひょっとしたらぼくが老人になる頃にはさらに社会のテンポが速くなっていて、
映画はみんな一時間くらいの長さで、
三十秒くらいのみじかーい曲の切れ端が「歌」と呼ばれているかも知れない。

そしてカラオケでは十秒ぐらいさびの部分だけ歌って、次の人の番になる。

なんて忍耐力の無いやつらだ!

しかし、ぼくらが映画館で四時間の上映に耐えられないことを考えると、
あながちありえないことでもないと思えてきます。

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2005年08月21日

真っ暗闇の中を散歩し、バーで酒を飲む「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

光を完全に遮った室内に入り、聴覚や触覚だけを頼りに歩き、
視覚に依存した日常生活を離れ、他者や自己との新しい対話を模索する。
ドイツで考案され、現在、世界中に広がっているダイアログ・イン・ザ・ダークという活動。

視覚障害者の子供と一緒に参加し、自分の子供に優れた能力が備わっていることが分かったと喜んでいる母親がいるとか。
暗闇の中で助け合うことで参加者同士の結束が強まるため、企業の研修に使われているとか。

昔から非常に興味を持っていたのですが、この夏、神戸で行われるというのを知りました。一週間ほどの開催です。
これはぜひとも参加したい。

研究室で秘書をしていたつのさんが興味を持ってくれたので、一緒に行ってきました。

会場はポートアイランドにあるジーベックというイベントホール。

一時間ほどのワークショップが一日十回程度行われるそうですが、
参加者が多すぎると収拾つかなくなるため、一回あたり七名までに制限されています。
決められた時間に行けばよいため、会場はかなり静かです。

受付で揃いの黒シャツを着たおじさんとお姉さんたちが迎えてくれます。
シャツには暗闇に驚いている人の絵が描かれていて、スタッフ用のようです。

開始時刻の15分前に集まってくださいと言われ、大ホールらしき部屋の扉前に集合しました。

ぼくとつのさんを含めて七名の参加者が集まり、スタッフの若いお兄さんたちから説明を受けます。

まずは白い杖、白杖(はくじょう)の使い方から。

「立てた時にてっぺんが自分のみぞおちくらいに来る長さのものを選んでください。持ち方は、上から十センチくらいの場所で人差し指を添えて。左右に振る時は肩幅くらいの範囲で。振り回さないでくださいね……」

各自、自分の背丈にあった白杖を選びます。

「手探りをする時は、なるたけ手の甲を外側に向けてください。どうしてかというと、手の平がぶつかると、手の甲がぶつかった時より不快に感じてしまうんですね。だから、手の甲を外に向けてください」

なるほど。そんな工夫もあるのか。感心します。

「光るものは持ち込まないでください。携帯も電源を完全にオフしてください。音を切っていても、点滅したりしますんで。場内での撮影・録音も禁止です」

真っ暗闇の中で撮影しても何も映らないと思うのですが。それとも赤外線カメラとか持ち込んだりする人がいるのでしょうか。

ひととおり注意事項を聞いた上で、「前室」に案内されます。
会場を完全に真っ暗にするために、途中に部屋を設けているのです。

「ここで目を慣らしてください」

スタッフのお兄さんに言われましたが、目が慣れても何も見えないという気が。

前室に入ったところで、アテンダントの人を紹介されます。
アテンダントというのは、真っ暗闇の会場内を案内してくれる、目の不自由な人です。
もちろん、真っ暗闇の中ではぼくらの方が不自由なわけですが。
これはダイアログ・イン・ザ・ダークの重要な特徴のひとつです。

照明が薄暗いため、壁際に立っているアテンダントの人の足のあたりは見えますが、顔のあたりは見えません。

七人が入ったところで、明るい声で挨拶されました。

「こんにちわ!」

若い男性の声です。

「H口と言います。どうかよろしくお願いします!」

はきはきしていて、頼りになる感じ。NHKの歌のお兄さん的な喋り方です。

「皆さんのお名前を聞かせてもらえますか」

「Sです」「Yです」「Uです」「Nです」「その母です」「つのです」「てづかです」

Nさんは、お母さんと高校生の息子さんがふたりで参加。
それ以外の女性三人は友達同士みたいです。

会場内での注意点について、H口さんが補足説明をしてくれます。

「ぶつかった時とか、『すいません、○○です』と自分の名前を言うようにしていただくと、早く名前を憶えられます」

なるほど。もう長いこと行われている活動だけあって、いろいろ工夫があります。

「何か面白いもの見つかったら、他の人にも報告してくださいね。迷ってしまった時には、ぼくを呼んでくれたら救出に向かいますんで……」

オーバーな表現に参加者一同、苦笑します。

ひととおり説明は終わったのですが、前のグループがつかえているようで、まだ中に入れません。

「H口、何かトークしろよ」

スタッフのお兄さんがけしかけます。話し方からすると、友達みたいな関係のようです。
H口さん、あまりトーク慣れしていないのか、たどたどしく付け加えました。

「えっと……。Nさんは高校生って仰ってましたけど、自分と同世代を案内するのは初めてなんで、ちょっと緊張しています」

え? H口さん、高校生?
声の感じではとても落ち着いて聞こえるんですが。
「嘘です。実は四十代です」とか言われても驚きはしないほどの落ち着きっぷりです。

前のグループが無事に先に進んだという連絡が入りました。
いよいよ出発です。
「H口、がんばってこいよ!」と、スタッフのお兄さんが声を掛けます。
やはり、高校生くらいなのでしょうか。

「それでは、こっちに来てください」
おとなびたH口さんの声のする方向に足を進めると、目の前にカーテンが。
いや、目で見たわけではないので、鼻の前とか顔の前と表現した方が適切でしょう。

カーテンの隙間を抜けて、真っ暗な室内に入ります。

最初の部屋もそれなりに暗かったですが、こちらは完全に真っ暗です。
いくら手を顔に近づけても、指の形すら見えません。

そのくせ、天井がすごく高いというのが気配で分かります。
気配というのは不思議なものです。おそらく音の反響の仕方を感じ取っているのだと思いますが、
無意識的にそれが天井の高さに変換されてしまうあたりが脳の神秘です。

数歩進んだところで、手に葉っぱが当たりました。
木が植わっているようです。
ホールの中に自然に木が生えていることはありえないので、たぶん植木鉢に植わっているのでしょう。
葉っぱの匂いから、本物の木であることが分かります。

白杖の先の感触から推測するに、床には木片が敷き詰められているようです。
しゃがんで実際に触れてみると、たしかに木片です。
白杖、なかなかすぐれた分解能です。
頼りになります。拡張身体。

突然、鳥のさえずりが聞こえてきました。
その中に混じって、水の音が聞こえます。
鳥の声は録音っぽいですが、水の音は本物のようです。

「そこに水がありますんでね。触ってみてください」

H口さんに手を引いてもらって、水の音のする場所でしゃがみます。
湧き水のように、ちょろちょろ水が流れています。

暗闇の中で触れる水は、かなり水っぽかったです。

H口さんの声に従って、さらに暗闇の中を歩きます。

「橋があります。注意して渡ってください」

小さな橋です。ゆらゆら左右に揺れるように作られていますが、地面からの高さが3センチくらいなので、あまり怖くはありません。

全員が渡りきったと思われたところで、H口さんが声をかけます。

「皆さん、集まってください。無事に渡れましたか」
「はーい」
「全員いますね?」
「……」

少し間があってから、「はい」「はい」「はい」と声が上がります。
いちおう、七人いるようです。
近くにいることは分かりますが、気配だけでは方向までは分かりません。

「ちょっと遠くにおられる方もいますね」

H口さん、声だけで距離感もつかめることをアピール。
台本にそう書いてあるのかも知れませんが、あえてそんなことしなくても、
暗闇の中をすたすた案内してくれるH口さんのすごさはよく分かります。

白杖の先に当たる感触が変わりました。
今度は砂利が敷き詰められているようです。
しゃがんで、確認します。たしかに砂利です。

また木が生えていました。今度の木は樹皮が横方向にぺりぺりはがれるので、白樺ではないかと想像します。

もうひとつ橋を渡ります。

ふたたび、白杖の先の感触が変わりました。
今度は丸い小石です。
白杖で触れるこつんこつんと響いて、耳に心地よいです。
杖の先で感じる硬質な感覚が新鮮です。
木片や砂利とは全然違います。

ぼく、触覚の散歩を楽しんでるな、とふと思いました。

目の方はいつまでたっても暗闇に慣れません。
ほんの少しの光も入ってこない会場なので、慣れるわけがありません。
なんで人間は僅かな赤外線も見えないのでしょうか。
少しでも見えたら、暗闇に対する意識が格段に変わってくると思います。

ぼくは途中からTシャツを脱いで上半身裸になっていましたが、
たぶん、誰にも気付かれていなかったと思います。

さすがにぼくはしませんでしたが、全裸になっていても気付かれなかったのではないでしょうか。
そういうのが好きな方は、ぜひ挑戦してみてください。

「今から階段を上がります」

突然H口さんが言って、こつこつこつ、階段を上がっていく足音が響きます。

「上にあがりましたけど、分かりますか?」

H口さんの声が上から聞こえてきます。
暗闇の中でも、喋っている人がいる場所の高さがすぐに分かります。

「皆さんも気を付けて上がってください」

誰かこける人いないのかと心配になりましたが、登ってみると三段だけでした。さすがに安全最優先の設計です。

不意に、録音されている音声が流れてきました。

『ザワザワザワザワ……。白線の内側にお下がりください……』

駅構内のアナウンス。そして人のざわつき、
電車の入ってくるガタゴトという振動まで聞こえてきます。

目の見えない人が駅でどんな感覚なのか体験しようという試みでしょう。
たしかにこれはかなり不安になります。
実際に電車が勢いよくホームに入ってきたりしたら、ものすごく怖いのではないでしょうか。

白杖の先に、駅のホームにある黄色い線のでこぼこが触れます。
でこぼこの丸くなっている形まで指先で感じ取れます。
黄色い線の内側に下がりました。

H口さんが数メートル離れた場所で言いました。

「それじゃ、これから階段を下りますね」

ここ、結構危険でした。先を急いでいたら、階段から落ちている可能性もありました。
駅のホームでは慎重に行動しなくてはなりません。

階段を下りたH口さんが声を掛けてきます。

「下にいるのが分かりますか?」

これも、下から声をかけているというのが分かります。
人間の耳は音がどれくらいの高さから来たかを分解する能力が優れているようです。
耳が上下ではなく左右についていることを考えると、どうやって判定しているのか不思議に思いますが、耳たぶでの反響の仕方と関係があるのでしょうか。

全員が階段を降りきったところでH口さんが提案します。

「ブランコに乗りたい方はいますか?」
「はーい」
「はーい」

目の前に(顔の前に)ブランコがありました。

「気をつけてくださいね」

背もたれのついた椅子型のブランコなので、立ちこぎは無理で、ぶんぶん振ることもできず、それほど怖くありません。

自分が満足すると、他の人を誘導します。

「ここでかがんでください」

普段ならここでブランコをさっと後ろに引いて転ばせるところなのでしょうが、
暗闇ではどんなことになるか分からないので、やめておきました。

他の人がブランコ体験している間、あたりをぶらぶらします。

広場の片隅に机がありました。
その上にいろいろ「物体」が置かれています。
触っただけではすぐに何だか分かりません。単なる物体です。
オレンジとピーマンを発見しました。感触や形で分かります。
何であるか分かるまでに時間がかかったのが、皮付きのとうもろこし。
やはり、触れる機会が少ないものはわかりにくい。

ゴボウとキュウリは多くの人に握られすぎたせいか、かなり柔らかくなっていて気持ち悪かったです。

蛇とかが蠢いていなくて良かったです。あったらぼくは卒倒します。

ほぼ全員がブランコに乗りました。あいにく滑り台や砂場は無いようです。

H口さん、長いこと喋り続けて疲れているのじゃないかと思いますが、明るい声で言います。

「どうでしたか。そろそろ喉が乾いたんじゃないでしょうか。これからバーにご案内しますね」

来た来た。ダイアログ・イン・ザ・ダーク名物、くらやみバーです。待ってました。

「それじゃ、こちらへ」

H口さんのいる場所で、ドアの開く音。
「おお、ドアが開いた」と、反応してしまいます。
音だけで何が起きているか分かった時、微妙に嬉しかったりします。

開いたドアの向こうから、「いらっしゃいませー」と、三人くらい、声を揃えて挨拶してくれます。
なんだか本格的です。

ぼくらはたどたどしく店内に入ります。
着席するだけで数分かかります。
みんなの座った配置から察するに、大きな楕円形のテーブルがひとつ置かれているようです。

皆が無事に座ったところで、店長らしきお姉さんが挨拶します。

「ようこそ、バー『暗闇』へ。ワイン、ビール、それからお茶と、オレンジジュースを用意してあります。何に致しましょう?」

お姉さんの声は芝居がかっていますが、明るく聞き取りやすく、『暗闇』とかいう店名にはおよそ相応しくない感じです。

ぼくはワインを注文しました。つのさんもワインを注文します。
その他の女性陣は皆、オレンジジュース。高校生のNくんはお茶。

お姉さんが傍らに寄って、ワイングラスを置いてくれます。
まったくの暗闇なのに、さっと素早くテーブルの上にワインの入ったグラスが置かれます。
全然遅れがありません。

バーのお姉さんがぼくの手を握って、
「ここです」
と、グラスに触らせてくれます。

なんだかいい感じのサービスです。

暗闇の中だと、みんな美人に思えてきます。

ワインがほんのりと香り立ちます。

「それじゃ、乾杯しましょう。こぼすといけないんで、テーブルの上を滑らせて……。あ、押しすぎると向かい側の人の膝に落ちますんで気を付けて……」

ワイングラスを滑らせます。

ちーん。ちゃんと向かいの人のグラスと当たりました。

匂いの感覚が研ぎ澄まされているせいか、
ワインの味が鋭く感じられました。
特に聞かれませんでしたが、白ワインでした。

もし目の見えない人が最初に名付けたとしたら、赤ワインと白ワインはどう呼ばれていたのだろうとか思います。
ぼくらの味覚や匂いに関する語彙は非常に貧弱です。ぼくは赤ワインと白ワインの味の違いをうまく言葉で表現することができません。

しばらく、暗闇の中でまったりします。
声だけで会話です。

音と触感しかありませんが、良い雰囲気のバーです。

内装はどんな感じになっているのでしょうか。触れられるでこぼこがあったりするのでしょうか。
ぼくが手を伸ばそうとする前に、お姉さんが申し訳なさそうに言いました。

「おくつろぎのところ申し訳ありませんが、そろそろ次のお客様が来られます。本日は来てくださって、ありがとうございました」

たどたどしく店を出ました。

そしてダイアログ・イン・ザ・ダークの暗闇巡回コースも終了です。

「これから少し明るい部屋に入ります。感想とか聞かせてください」

カーテンをくぐって、小さな部屋に入ります。
いきなり眩しいところに入ると目に良くないため、この部屋はかなり照明を落として、暗くしてあります。
しかし、少しでも目が使えるというのは真っ暗闇とは大きな違いです。

人数分の椅子が円形に並べられています。
皆、腰掛けました。

初めてH口さんをはっきりと見ることができました。
やはり、普通に高校生でした。
すごく若い。
ちょっとびっくり。
バーでぼくらに酒とか勧めてる場合じゃないです。
でも、暗闇の中ではすごく自然でした。

最初に明るい中で会っていたら、その時の姿が暗闇の中でもずっとつきまとっていたと思います。
「ひょっとして四十代かも知れない頼りがいのあるH口さん」というイメージは形作られていなかったかも知れない。
暗い中で出会うという順序も、うまく工夫されていると思いました。

「感想を聞かせてください」と、あいかわらずおとなびた声でH口さんが言います。
声を聞くと、頼りがいのあるイメージが甦ります。

「暗闇の中で何も見えなくて。どういうところを使いました?」
「足の裏とか」
「手」
「聴覚」

皆それぞれ、思いつく場所が違うようです。
足の裏というのはぼくは思い浮かびませんでした。
ぼくが鈍い感覚のひとつかも知れません。

女性参加者のひとりがH口さんに聞きました。

「こんなこと聞いていいか分からないんですけど……。H口さんはいつも、暗く見えるんですか?」

H口さんは少し考えるような仕草を見せて、それから逆にぼくらに聞き返しました。

「これは皆さんに考えてもらいたいんですけど、僕は耳が聞こえない人にとって世界がどうなのか分からない。ぼくは生まれた時から目が見えないので、暗いと明るいの違いが分かりません。だから、今、暗いという感覚もありません。生まれてからずっとそうだったので、これがぼくにとっての世界なのです」

たしかにそうなのだろうと思います。

第六感のない我々が第六感のある人に、「皆さんはいつも韲く韶るんですか?」とか聞かれても、「分かりません!」と答えるしかないようなものだと思います。

ぼくも質問をします。

「ぼくらは立方体とか正四面体とか思い浮かべる時に、ある視点から見た形、つまり二次元に射影した図を思い浮かべてしまいますけど、H口さんの場合はある視点から見た形を思い浮かべるわけじゃないですよね。立体そのものを思い浮かべるというか。ぼくらよりも三次元的なイメージを持てているんじゃないかと思うんですけど」

H口さんは困ったような顔をして、

「どうなんでしょう。触れたことがあるものは思い浮かべられますけど……」

H口さんにとってはそれが自然なことなので、どのように説明してよいのか困っているという様子です。
比較しようがないのではないかと思います。
しかし、立方体を思い浮かべてくださいと言われた時に、まずその触覚が思い浮かぶ。
我々がものすごく拘束されている「視点」という場所から自由であるというところ。
ぼくが目の不自由な人からすごく学びたいことのひとつです。

ひととおり感想を述べあったあと、H口さんとお別れです。

椅子から立ち上がって、

「誰かぼくをアテンドしてくれますか」

と言いました。その時初めて、アテンダントという言葉は本来、視覚障害者に付き添う人のことを指すというのを知りました。

「はい、私やります」

つのさんはアテンダントという言葉を知っていたのか、すぐにH口さんの腕を取りました。

バー『暗闇』の女店長が入ってきて、白杖を回収していきました。

暗闇の中ではおとなっぽい感じでしたが、実際は結構童顔な人でした。

小部屋を出ました。

ロビーは明るい。
スタッフの皆さんが迎えてくれます。

参加者七名でロビーのテーブルを囲んで、感想文など書きながら、ああだこうだと議論しました。

「やっぱ駅は怖かったな」
「ほんま。あれはかなわんと思うわ」
「梅田とか歩きたくないな」
「歩きたくないなー」

そこからバーの話になって、真っ暗でも滞り無くグラスを差し出せるお店の人たちはすごかったなぁといった意見が出たあと、

「あのジュース、100パーやった?」
「バヤリースちゃう?」
「いや、どちらかというと懐かしい感じの味やった」
「ポンジュース?」
「そんな感じ」

そういうことを女性参加者たちが語り始めます。
やはり女性のグルメさにはかないません。

「やっぱ一回につき七人が限度ですかね」
「そやね。将棋倒しとかになったらあかんもんな」
将棋倒し。スケールの大きな想定です。

スタッフの人がテーブルに近づいてきて、感想を聞かれました。ちなみに今日が初日です。スタッフも感想が気になるのでしょう。

「どうでした?」
「すごい面白かったです」
「バーでは何を飲まれました?」
「オレンジジュース」と女性参加者。
「お酒飲まれた方は?」
「はい」とつのさん。
「匂いがすごいいいでしょ」
「ええ。あと、隣の人のオレンジジュースの匂いも分かりました」とつのさん。ほんとかよ。
「香水の匂いが強く感じられるようになった、とかいう参加者もいましたよ」とスタッフ。

ひょっとして体臭とかも強く感じられるようになるのでしょうか。
もし人を匂いで区別できるようになったりしたら、かなり奇妙な感じです。

ぼくは先ほど聞けなかった質問をスタッフの人に聞いてみました。

「この企画、耳の聞こえない人が参加したらどうなるんでしょうか」

視覚から入ってくる情報が75%だそうですが、聴覚からはどれくらいなのでしょうか。
触覚・嗅覚・味覚合わせても、5%くらいな気がします。
その5%で世界に接するとなると、ぼくらが暗闇で見えなくなるのとはまたレベルが違うような気がします。

しかしスタッフのおじさんいわく、

「残念ながら今回は耳の聞こえない人の参加をお受けしていません。準備の期間が短いですから。でも、ドイツでは受け入れてるみたいですよ。あっちは常設で、アテンダントもプロフェッショナルですし」

つのさんがそれに反応。

「ドイツは常設ですか。行ってみたいなそれは。ドイツ語できないとだめですか」
「ええ。全部ドイツ語だと思います」
「ドイツ語分からんなー」
「通訳の人に間に入ってもらうしかないですね。アテンダントの人が何か言ったら、それを翻訳してもらって。やっと分かる」
「危ないわそれ。でも、目の見えない人は旅行大変やな。標識とか英語で書いてあっても、読めへんし」

その後、公式ガイドブックを見ていたつのさんが、ドイツの会場には英語のできるアテンダントもいることを発見。
ハンブルグにあるそうですが、今度是非行ってみたいと言ってました。

現在、ダイアログ・イン・ザ・ダークのスタッフは神戸にも常設の会場を作ることを目指しているそうです。
これはぜひ実現して欲しいです。

そしてより多くの人にこのイベントを体験してもらいたい。


ダイアログ・イン・ザ・ダークのページ:
http://www.dialoginthedark.com/

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2005年08月19日

ヨーロッパ料理 ドネツクKOBE

この前神戸に行った時、おもしろげな店を見つけたので紹介します。料理店です。

まず、看板に目を奪われました。

「ヨーロッパ料理 ドネツクKOBE」

なにげなく書かれていますが、ヨーロッパ料理という単語を聞いたのは初めてです。

「アジア料理」とか「アフリカ料理」は聞きますが。

EU時代の到来でしょうか。

ドネツクというのは、ウクライナの都市の名前みたいです。
そして店頭の案内によれば、ロシア料理・トルコ料理・ギリシャ料理などが食べられるようです。

おそらくウクライナ周辺の国々なのではないかと思いますが、頭の中で繋がりません。
頭の中の世界地図が適当にごまかされているあたりです。

イタリア料理とスペイン料理も食べられるみたいですが、これは謎です。コックさんの趣味でしょうか。

いったい何人のコックさんがいるのか、気になります。

時間がなく、お店には入りませんでしたが、店頭に置かれていたちらしを持って帰ってきました。
これまた個性的なちらしです。

> お食事しながら語学無料レッスン! 英語・フランス語・ロシア語 ぜひお試しあれ!

コースは2,000円からなので、語学レッスンにしては非常にお得なのではないかと。

今時2,000円で外国語教えてもらって食事もできるって、価格破壊な気がします。

ただ、お店のメニューにフランス料理は無いみたいなので、フランス語を勉強しながらイタリア料理を食べる。
新しい試みです。

料理と語学レッスン、どっちがメインだか分かりません。
カバヤのガム付きおまけ状態です。

個人的な希望として、我が家の近所の中華料理屋とかが無料中国語レッスンしてくれたらいいのにとか思います。

ドネツクはJR元町駅の東口を降りてすぐの場所にあります。

http://r.gnavi.co.jp/k657400/

住所:神戸市中央区元町通1丁目11-19 グリュックビル3F
電話:078-321-1805

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2005年08月17日

風邪の原因

大学院生になった頃から、風邪を引くことが多くなりました。

加齢に伴う体力の低下かなと嘆いて、プールに通って鍛えていたりしていたのですが、
それでも毎年何度か必ず寝込んでいました。

風邪を引くのは夏が多かった。
蒸し暑い夜、冷房を切ってサウナ状態になった部屋で汗まみれになりながら、
少し布団がはだけただけでくしゃみをして、苦しんでいました。

そんなある日。
同じ研究室の友人Kがぼくの席で作業していた時、言いました。

「この席、めちゃめちゃ冷房の風が当たんな」

その一言はぼくに衝撃をもたらしました。

自分では気付いていませんでしたが、微かな風がずっと当たり続けている!

風邪で苦しんだ日々が走馬燈のように駆け巡りました。

すぐに別の場所に新しい席をこしらえ、今までの席は本棚で封鎖しました。

それ以来、風邪を引くことは無くなりました。

あの苦しみは何だったのだろうという感じです。

こういう何気ない理由で風邪を引きまくっていたり、太っていたり、頭痛がしていたりする人、他にもいるのではないかと思います。

先週、久々に風邪を引きましたが、今年から新しいオフィスに移動したため、また冷房のせいではないかと疑っています。

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2005年08月15日

花火

先日、琵琶湖花火大会に行ってきました。
なかなか良かったです。

特徴は、花火が打ち上がる範囲がすごく広いところでしょうか。
浜大津と膳所、二つの会場があって、それぞれに面した湖面から打ち上がるため、
パノラマ風な花火大会です。
視界いっぱいに花火が打ち上がるというのは綺麗なものです。

すでに存在するのかも知れませんが、
どこかの島の周囲をぐるりと取り囲むように花火を設置して、
「全方位花火大会」というのを開いたら、結構人が集まるのではないかと思いました。

終了後、京阪三条の駅前で知人のKさんとジュース片手に二時間くらい語りました。

素粒子論の研究をしていたKさんは、
シミュレーションの発展で人間の考え方が大きく変わるのではないかと予測していました。
多くの現象がシミュレーションで予測できるようになっていくにつれ、
現象に対する理解というものがどのように変容していくのだろうという話をしました。

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2005年08月13日

雑談。フランスのことなど。

フランス文学を研究している友人、厚生労働省に就職した友人と今出川で食事。

いろいろ雑談。

戦後五十年の頃はもっと反省・反戦ムードだったのに、
戦後六十年の今はちょっと美化ムードになっていないかという話。
十年経てば変わるものだ。

フランスのクイズ番組には「溜め」が無い。
回答者が答えてすぐに、司会者が「残念、不正解!」とか言ってしまう。
日本のテレビ番組は「溜め」の使い方、「間」の置き具合が優れている。

外国の映画ではよく日本人が集団でしか行動できない存在としてからかわれているが、
そろそろ日本映画で外人をからかっても良いのではないか。
みんなで力を合わせてプロジェクトXをしている時に、
ひとりスタンドプレーしようとして台無しにしてしまう外人とか。
そんなステレオタイプ。

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2005年08月11日

電子ブック

隣の研究室で講師をしているY先生を道やバス停で見かけると、
いつも文庫本サイズのモバイル端末を片手に持って、熱心に読みふけっています。
歩きながら読んでいて、二宮金次郎状態です。

前から気になっていたのですが、昨日、専攻のビアパーティーで一緒だったため、聞いてみました。

「あのー、Y先生がいつも熱心に読んでいるモバイル端末は何なんですか」
「ああ。あれはソニーのリブリエ。電子ブック」
「やはり本を読んでるわけですか」
「そう。読みたい本をダウンロードして、一定期間だけ読める。貸本スタイルで。だけど、ダウンロードできる本の種類が少ないから、自分でも作ってる」
「作ってる?」
「文庫本を裁断して、ドキュメントスキャナーで取り込んで……」
「それってまさか文庫本を背表紙のところで切って……」
「そう」
「もったいなーい!」

ぼくは本を切るということに何となく心理的抵抗を感じてしまうのですが。
変な感覚です。
コピー用紙を切ることはなんとも思わないのに……。

リブリエの本体は四万円ほどですが、裁断機が一万円、ドキュメントスキャナーが十万円したそうです。

リブリエのサイト:
http://www.sony.jp/products/Consumer/LIBRIE/

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2005年08月09日

京都のうまい店 刺身 伏見

三条大橋から100mほど東、三条通りの南側に面して「伏見」という居酒屋があります。

ここは魚がおいしい。

はまちとか、甘い。
甘くておいしい刺身というのを実感します。

産地直送とかいうわけでもなく、京都中央卸売市場から仕入れてくるそうです。

魚の目利きが上手いのでしょうか。

居酒屋ですが、夜10時に閉まります。早すぎます。

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2005年08月07日

寺町通りで弓道の練習しているおじさん

寺町通りのアーケードを夜の11時頃に歩いていると、
店の前で弓道の練習をしているおじさんを見かけます。

俵の的から一メートルくらい離れて、
姿勢を正して、
弓に力をこめて、
ぶすっ。

深々と数十センチ突き刺さります。

もう六十代くらいのおじさんだと思いますが、かなり絵になってます。

ホームページに載せてもいいですか、と尋ねてみましたが、
「いいですよ」と快く承諾してもらえました。

大阪屋呉服店というお店です。

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2005年08月05日

京都のうまい店 焼き肉 三吉

学部の一回生の頃、ぼくは大学の寮で暮らしていました。

寮というのは不思議なところで、いまだに学生運動の生き残りみたいな人たちが住んでいます。
四階に鉄扉の部屋があって、過激派の人たちはその向こうに暮らしています。

年に一回、機動隊がやってきて、寮生による人間の盾を押しのけつつ、
過激派の部屋に突入し、書類を押収していきます。

寮では警察のことを「権力」と呼ぶのですが、
学問の自由の場である大学の寮に「権力」の介入を許した大学当局は、断固として弾劾されなくてはなりません。

そんなわけで、寮の偉い人たちは大学に対して攻撃的です。
隙あれば寮をつぶそうとしている大学と闘わなくてはなりません。

寮生は皆、何かの係を任せられるのですが、ぼくは厚生係を担当していたため、
毎月大学の事務室の寮務という窓口に行って、

「トイレットペーパーが切れたぞ~! よこせ~!」

と怒鳴り込みに行くのが仕事でした。

そんなある日、寮務担当の職員だったSさんという五十代くらいのおじさんに声を掛けられました。

「今度うまい焼き肉屋に連れて行ってやるよ」

ちょっと迷いましたが、
誘いに乗りました。

わざわざ誘ってくれるというからには、かなり良い店なのでしょう。
少し期待していました。

京都の都心、四条河原町まで行ったまでは良かったのですが、
連れて行かれたのは河原町と新京極の間の細い路地に面した汚な~い感じのお店でした。

当時、焼き肉経験の浅かったぼくはぎょっとしました。

おっちゃんの行きつけの店っぽい感じ。
本当にうまいのでしょうか。

しかし。
これまた予想に反して、
その店の肉はとてつもなくうまかったのです。
レバーとか、感動ものです。

肉に対するこだわりはすごいのに、店の床や内装は油まみれ。
素敵なお店です。

換気設備が貧弱なのか、一度行くと服から焼き肉の匂いが一ヶ月くらい消えないので、
好きな服は着ていかない方が良いと思います。

三吉といって、河原町OPAの裏にあります。

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2005年08月03日

芸術のメタデータ

先週の日曜日、関わっているプロジェクトのミーティングがありました。

「知的資産のための技術基盤」という大きなプロジェクトのうち、「異メディア・アーカイブの横断的検索・統合ソフトウェア技術」という課題で、全国の博物館・美術館のコンテンツを横断的に検索できるようにするシステムを作るというプロジェクトです。

そのプロジェクトメンバーである国立情報学研究所の安達淳先生の研究室では、博物館のコンテンツにメタデータを付けるという作業を進めています。
すなわち、絵画や工芸美術などのコンテンツに名前・作者・製作年代などのメタデータ(対象作品を説明するデータ)を与え、検索できるようにする。
その成果は文化遺産オンラインというサイトで公開されています。

http://bunka.nii.ac.jp/jp/

実際のメタデータは各博物館の学芸員さんたちに入力してもらうわけですが、
事前にどのような属性を入力してもらうかは決めておく必要がある。
つまり、スキーマを定義しておかなくてはなりません。
今後も使われ続けるデータなので、なるたけ充実させたい。

では、どのようなスキーマにすればよいか。

これが案外頭を悩ませる問題だそうです。
対象となる文化財の種類が多様であるため、共通のスキーマが定義しにくい。

たとえば安達先生いわく、「近代以前の日本の芸術作品には『名前』が無いんです」。

もちろん、一般的に使われる呼称みたいなものはあるのですが、
「紫紙金字大方広仏華厳経巻第六十三」とか、
「花鳥獣蒔絵螺鈿聖龕」とか。
要するにその作品を説明する属性を並べたものが名前とされている。

絵画の場合は、
「紫陽花郭公図」とか、
「牡丹猫図」とか。
描かれている内容を並べただけ。作者がそのような名前で呼んでいたのかどうかも定かでない。

もともと確定的な名前が無いので、展覧会が開かれるたびに学芸員によって違う名前が付けられたりしていたらしいです。
属性の順番が入れ替わることはしょっちゅうとか。

このように適当な形で付けられている「呼び名」を、近代の作品における意図的な「作品名」と同一視してよいのかどうかという問題があります。

また、古い作品は作者名も曖昧だったりします。
茶碗だと、どの窯で焼かれたかが伝わっているだけで、誰が作ったのか分からない。

ひょっとしたら昔の人にとっては、芸術作品の名称や作者名は今ほど重要ではなかったのかも知れない。

現代では芸術がメディアを通して語られることが多くなったからかも知れませんが、
名前や作者名といった属性が当然のように付けられています。

いわば芸術作品が強いアイデンティティを持つようになってきているということでしょうか。

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2005年08月01日

合ハイは雨に降られてボーリング大会に……

日曜日、合ハイするため六甲山の麓まで行きました。
合ハイというのは合同ハイキングの略で、妙齢の男女が親交を深めるために山に登るというイベントです。
1970年代頃、合コンに男女の出会いの場の座を奪われるまで盛んだったそうです。

我々の場合はいくつかの研究室と研究機関の方々を誘って実施です。

今回の目的地は六甲山の西端、摩耶山。
しかし、麓の駅でケーブルカーに乗ろうとした途端、猛烈な雨に降られて三十分間足止め。
雨は止みそうにありません。

あきらめて三宮駅前に戻り、ボーリング大会になりました。

友人の提案でペアでボーリングを行ったのですが、これが結構面白かったです。

やり方は以下のような感じです。

1.通常の形式で1ゲーム行う。
2.スコア順に並べる。
3.上からn番目の人と下からn番目の人が組み合わさるよう、ペアを作っていく。
4.ペアボーリング開始。自分の番の時、一投目は自分で投げ、二投目はペアの相手に投げてもらう。つまり1ラウンドで2回投げる。自分の番の時の一投目と、ペアの相手の番の時の二投目と。
5.ペアの二人の合計点で競う。

これ、かなり盛り上がりました。
実力が均衡するように組み合わせられているので、ハンデが無くても点数が近接し、白熱します。
ペアの相手が残したピンを倒した時は、ひとりでスペア取った時の数倍嬉しい。
ガーターの時は数倍ひんしゅくですが。

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