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2005年12月30日

初日の出の前に

実家は読売新聞を取っていた。

その四コマ漫画である「コボちゃん」は、
ひねくれ者の僕にはちょっと物足りなく感じる、ほのぼの系の漫画である。

だが、ある年の年末、なかなか良い話があって、印象に残っている。

読売新聞を取られている方は、記憶されているかも知れない。

年末、コボちゃんとそのおじいちゃんが道を歩いている。
近所の人たちと会って、初日の出を見にいくという話を聞かされる。

彼らと別れた後で、コボちゃんのおじいちゃん、

「みんな、初日の出ばかり見に行きたがるが……」

と呟き、

「一年の最後の夕日も、なかなか良いものだよ」

と、沈む夕日に手を合わせる、という話。


たしかに。良いかも。

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2005年12月28日

海棲哺乳類

一昨夜、専攻の忘年会があった。

うちの専攻には実に様々なことを研究している人たちがいるが、
ある研究室ではGPSや音響データを使って、水棲動物の行動を追跡している。

たとえば絶滅危惧種であるジュゴンの混獲を防ぐため、
鳴音を使ってその行動を追う「ジュゴンモニタリング」という研究など。

その研究室の学生さんと話していて、
ジュゴンの肉はうまいのだろうかという話になった。

「うまいはずですよ。うまくなければ、絶滅しかけたりしない」

もちろん、現状では食うなんてもっての他なのだが、
ジュゴンの養殖場というのができたら、ちょっと面白い。

ジュゴンファーム。

水中トンネルを歩いて愛らしいジュゴンの姿を眺め、
「ジュゴン、かわいいー」とか言った後で、
そのステーキを食べる。

うまくいったら、沖縄の新名所になるかも知れない。

欧米人は動物の保護を訴える時によく知性の度合いを問題にするが、
高い知能を持つとされるイルカと違って、
ジュゴンの知能は牛程度ではないかと言われている。
なにしろ、海牛類と呼ばれているくらいである。

系統的には、ジュゴンの先祖は象と近いそうだ。

一方、トドやアシカの先祖は熊に近いらしい。

イルカやクジラの先祖はあまりよく分かっていないそうだが、狼のような形をした肉食性の偶蹄目ではないかという。

海棲哺乳類にもいろいろある。


ジュゴンを守ろう!
http://www.wwf.or.jp/wildlife/dugong/

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2005年12月26日

ハヌカ

出町柳のファラフェル店に行った。

ファラフェルというのは中近東で昔から食べられてきた軽食で、
ひよこ豆を揚げたボールをピタパンで挟んだものである。
スロー・ファーストフード、などと銘打って、最近あちこちで売られている。
野菜が多く、体に良さそうである。

僕はこの店を頻繁に利用しているのだが、今夜は二階がいつになく騒がしい。

階段の下から見上げると、外人たちが大きなテーブルを囲んで騒いでいる。
十人、二十人。
年齢層はばらばら。おじちゃん、おばちゃん、若い女の子から子供まで。
何の集まりだろう。

小学生くらいの女の子を連れた外人の夫婦が入って来た。
おばちゃんと目があったので、聞いてみた。

「何のパーティーですか」

「ハヌカよ。今日から始まるの」

おばちゃんは嬉しそうに言った。

なるほど。ファラフェルの店だけに、ハヌカのパーティーが行われるのか。

もうひとり、太めのおばちゃんが続けて入ってきて、家族連れのおばちゃんに話しかけた。

「あらー、久しぶりね」
「何年ぶりかしらー」

みたいなことを英語で言いながら、おばちゃん同士で抱き合う。

一方、二階から降りてきたおじちゃんは、店長と何語か分からない言葉で喋っている。
参加者の国籍も様々なのだろう。

二階の一同は合唱を始めた。この言葉も分からない。
店長に聞いたら、ヘブライ語だということだった。

ハヌカはユダヤ教のお祭りで、クリスマスに近い時期に祝われる。

昔はそれほど重要な祭りではなかったのだが、
キリスト教徒が楽しげにクリスマスを祝っているのを見て、
寂しく感じたユダヤ人の間で盛んになっていったという。
なんとも人間くさい起源である。

それを言うならクリスマスだって、
冬至の祭りをうらやましく思った古代キリスト教徒が始めたという可能性を否定できないが。


ハヌカに関する説明は以下のサイトにくわしい。

http://www.myrtos.co.jp/topics/juda/juda03.html#Q9

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2005年12月25日

京都で雪

京都で雪が降ると、こんな感じです。

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2005年12月23日

一万日カウンター

僕は微妙に過ぎてしまったのですが、
こんなものを作ってみました。

http://130.54.20.195/~tezuka/howmany/days.cgi

一日一日を充実させたいです。

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2005年12月22日

熱燗ワイン

あたためたワインは、スイスの(特にフランス語圏の)名物のようです。


教会を取り囲むクリスマスマーケットの一角、熱燗ワイン屋さんの前にはいつも人だかりができていました。

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2005年12月19日

湖畔のカフェ、落書き、緑茶

湖畔のカフェ。
スイスは物価が高いけど、喫茶店のコーヒーは日本より安い。素晴らしい。

駐車場の落書き。
浮世絵の影響が見られる。

駅の売店で見かけた、キウィ味の緑茶。
独特の組み合わせだ。

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2005年12月18日

ツタンカーメン・マガジン

駅の売店で見かけた、ツタンカーメン・マガジン。

売れてるのでしょうか、この雑誌。

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2005年12月17日

クリスマス・マーケット

教会のまわりを取り囲むようにして、小さな屋台がたくさん出ている。

クリスマス・マーケットといって、ヨーロッパでは一般的なものらしい。

こういった店でクリスマスの飾り付けを買うのだそうだ。

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2005年12月16日

斜面の街

WebとWirelessとGISに関するワークショップで、
スイスのローザンヌに来ている。

アルプスの山々に囲まれた湖の岸辺。
急峻な斜面に貼り付いた小さな街である。

駅前から伸びるメインストリートは石畳の坂道。

坂道のある街の景色は楽しい。
神戸やシアトルに似ているが、海に面した都市の場合、海岸沿いに平地が広がっていて、
街の中心はそちらにあったりする。

ローザンヌの場合、坂道のまま湖にすとんと落ちてしまうので、平地がほとんどない。
街全体が斜面の上にある。

神戸の北野の坂が3キロほど続いている感じ。
坂の上から見下ろした風景は見事だ。

「ローザンヌの女性は足が綺麗なんだ。いつも斜面を上り下りしているから」と、フランス人の先生が言っていた。

ローザンヌはオリンピックの本部以外に見所が無いとか言う人もいたが、
斜面に貼り付いた街の様子は実に面白いと思った。

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2005年12月14日

正装しなくてはならない国際会議

バンコクで行われているデジタルライブラリの国際会議に参加している。

本会議の前日、チュートリアルの講演が行われた後で、司会の女性から注意事項が伝えられた。

「明日は午前九時からオープニングセレモニーが行われますが、八時半から来るようにしてください。
男性はコートにネクタイ着用。女性はタイの伝統的な正装でも構いません……」

突然言われて、僕は慌てた。

国際会議といったら、服装はインフォーマルなのが普通ではないか。
今までの経験から言うと、スーツを着てくる人の方が珍しい。
僕も当然、カジュアルな服装しか持ってきていない。

どうやらタイは予想以上に礼儀正しい国のようだ。
仕方なく、近所のデパートまで出かけてシャツを買った。

その晩、同じ会議に参加しているタイ人留学生のNミットさんに愚痴ってみた。

「タイは礼儀正しい国なんだね。フォーマルな格好をしてこなきゃダメって言われた」

「いや、それは違う理由」Nミットさんは首を振った。「明日はオープニングセレモニーに王女様が来るから……」

翌日。

会議の行われるホテルの正面玄関には赤絨毯が敷かれていた。

何メートルかおきに白いシーツがかぶせてあるのは、その上を通る人が赤絨毯を踏まないようにするためである。

ちなみに、王女様が利用した後の赤絨毯はシーツが取り除かれたままになっていて、皆、平気でその上を通り抜けていたため、白シーツは儀礼的なものだったのだと思う。

警備はそれほど厳重ではないようだった。

予定より三十分ほど遅れて、車が到着した。

明るいオレンジ色のドレスを着た王女様が落ち着いた感じで入ってきた。

タイ国王の三人の娘の一人らしい。

うしろから軍服を着たお供の者が十人くらい付き従う。
赤絨毯の両脇に立っていたホテルの従業員が皆、かしづいた。

王女様とお供の人たちの後について会場に入ろうとしたら、鋭い目をした警備員が僕の前に立ちふさがった。

受付の人いわく、王女様が喋っている間は入れない、とのこと。
僕の他にも何人か閉め出されていた。

ドアの隙間から中を覗かせてもらうと、参加者は全員、起立していた。
緊張感が隙間からぴしぴしと伝わってきた。

受付の人が教えてくれたのだが、
王女様は本がとても好きで、宮殿の中に自分用の図書館を持っている。

外国を訪問するたびに本屋に立ち寄って、一時間くらい立ち読みをするため、
お供の人たちはずっと待たされるらしい。

語学に堪能で、英仏中はもちろん、サンスクリット語も読めるそうだ。

タイの図書館協会のパトロンであるため、デジタルライブラリにも関心があり、
今回の会議で挨拶してもらうことになったという。

王女様による開会宣言が終わり、基調講演になって、ようやく入ることができた。

王女様は最前列に特別に設けられた一段高い席に座っている。

隣にいた外国人参加者に、王女様がオープニングセレモニーでどんなことを話したのか聞いた。

「見事なブリティッシュ・アクセントで会議の『公式な』開会を宣言していたぜ」

と、シアトル出身の彼は言った。

基調講演が終わると、王女様は軍人に囲まれながら企業の展示スペースをぐるりとまわり、
一時間ほど滞在したあと、去っていった。

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2005年12月12日

タイの飲み物

バンコクのファミマにて、面白げな飲み物を探してみました。

なんでしょうかこれは。
Bird's nest beverageと書かれている。
ツバメの巣?
中身は細かく砕かれた透明のゼリー。
あまりおいしくない。薬みたいな味。


菊ドリンク。
ものすごく甘い。
菊の香りはするのだが、
甘さにかき消されている。


これが一番おいしかった。
Longan juice。竜眼。梨みたいな味。

Posted by taro at 14:34 | Comments (0) | taro's blog ℃

2005年12月11日

タイの心安らぐ暑さ

国際会議でバンコクに来た。

暑い。
日本で言えば、六月くらいの暑さだ。

しかし、この気だるい感じの湿った暑さの中に身を置くと、
なぜだかすごく懐かしくて心安らぐ気持ちになる。

前回タイに来た時もそうだった。

じとっとした熱気の中に身を置いて、ぼんやりバス停のベンチに腰掛けていると、
すべてどうにかなるというような、奇妙な安心感が心の底から沸き起こってくる。

何なのだろう、この気分の変化は。
気温と湿気だけでこんなに心が影響を受けるものなのだろうか。
それとも街の雰囲気か。

空港からバスに乗ろうと外に出たら、こんな感じ。

この線路、使われていないことを祈る。

どのバスに乗ればいいんだ。

とりあえず、近くの屋台で昼飯を食べることにした。

タイの人たちは王様をすごく尊敬している。
今年もタイの王様の誕生日(12月5日)を逃してしまった。いつか行きたい。

子供たちがのびのびとしているように見えるのは、こちらの勝手な思いこみか。

南の国の犬って、放し飼いでもあまり怖くない。
いつもハァハァ舌を垂らしていて、暑さでのびちゃってるように見えるからだろうか。

犬もちゃんと陸橋を渡る。

発展を続けるバンコク。

Posted by taro at 21:21 | Comments (5) | taro's blog ℃

2005年12月09日

講義の電子化と外部公開に伴う問題

今度、大学で行われている講義を電子化して外部に公開するという作業に関わることになった。

撮影された講義をスライドと同期させてオンラインで閲覧できるようにするMPMeisterというシステムを使う。

問題は、講義用に作ったスライドにはウェブから拾ってきたグラフや図などが使われていることが多く、
それを授業で使うだけならグレーゾーンだが、外部に公開するとなると、著作権に引っかかるということ。

それを何とかクリアして、来年中に公開できるようにする計画らしい。

どうしたものか。

とりあえず、問題のあるグラフや図はすべてハイパーリンクに置き換えるという案が出ている。

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2005年12月07日

一度も会ったことのない人と仕事をするのは結構大変

来年の十一月に香港で行われる国際ワークショップで共同主催者をすることになったのだけど、
もうひとりの主催者というのがアイルランドの大学にいる人で、まだ会ったことがない。
メールのやりとりだけである。
その人と協力して計画を立て、仕事の分担をしていかなくてはならない。

こういう状況は、僕は苦手だと思った。

相手がどんな人なのか、メールの文面からだけでは想像できない。
細かな人なのか、大ざっぱな人なのか、気さくな人なのか、厳格な人なのか。
会ったことのある人だと何となくイメージを作ってこちらの対応を考えているのだと思うが、
それが無いと、やりにくい。

以前、あるベンチャー企業の社長さんと話していて、
取引先との打ち合わせのほとんどをネット上で行うというのを聞いて、
それでも大丈夫なのですかと聞いたら、

「一回会ってしまえば、あとはオンラインでも大丈夫。」

と言っていた。

今回、まさにその通りだと思った。

いくらネットが進歩したと言っても、
フェイストゥフェイスの会話が与える安心感にはまだ太刀打ちできていないと思う。

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2005年12月05日

おいしかったチョコレート

このチョコレートはおいしい。

「ショコラ・ジャポン みやびひめ」。

http://chocolat-japon.jp/

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2005年12月03日

いろいろな国におけるソフトウェア開発

大手電機メーカーの携帯部門の会社の社長が大学に講演に来られた。
講演後、教授と一緒に食事に行ったのに連れていってもらった。

社長と共に、ソフトウェアエンジニアリングセンターの所長が来られていたのだが、
その時に教えていただいた話。

そのメーカーは中国の大連に開発センターを持ち、所長は頻繁に出張されているとのこと。

今、世界のソフトウェア工場は中国とインドであるが、
所長の話によると、両者の間には若干の違いがあるとか。

中国の優秀な人たちはリーダーになりたいという意識を強く持っているらしく、
少人数で開発している時はいいのだが、100人くらいの規模になると、
プロジェクトがあまりうまくいかなくなったりするらしい。

中国政府もその問題に気づき始めていて、
CMMなどのソフトウェア開発フレームワークが積極的に導入されようとしているとか。

日本ではそういった特別な枠組みが無くても何となく開発できてしまったりするそうだが、
それは日本の優れた点のようである。

一方、インドの開発センターはまるで工場のように分業体制がしっかりしていて、
しかも皆それほどリーダーになりたいという意識が働かないらしく、
大人数でも淡々と開発作業が進められているという。

中国やインドと並んで、ベトナムもソフトウェア開発拠点として重視されてきている。
メンタリティが日本に近いらしく、仕事は進めやすいとか。
ただ、人口が中国やインドに比べると小さいため、キャパシティに限界があるそうだ。

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2005年12月02日

格安チケットコム

学生時代の知り合いのMさんが、ネット上の金券ショップを運営している。

彼は面白い人である。

どういう風に面白いかというと、こつこつ変なことに努力する人である。

大学にルネという名の生協の食堂があるのだが、ここで一時期、「ルネ通選手権」なるイベントが開かれていた。
ルネで出されるメニューに関する知識を競う選手権で、

「これは抹茶クリームマロンパフェですが、通常の抹茶クリームマロンパフェから具をひとつだけ取り除いてあります。それは何でしょう」

「このサラダは何グラムで、いくらになるでしょう」

「この献立の野菜ポイントは何点でしょう」

そういう問題が次々に出され、早押しで答えていくというイベントなのだが、
Mさんは何ヶ月も前からルネに通い、あらゆるメニューを暗記して、見事選手権に優勝していた。

二位の人とはかなりの差がついていたと思う。
まさに、Mさんのための選手権という感じであった。

勤勉な人なので、きっとこの金券ショップも大きなサイトに成長するのではないかと思う。

金券ショップの格安チケットコム

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2005年12月01日

AT&Tの研究所

ニューヨークで国際会議に参加した後、隣のニュージャージー州にあるAT&Tの研究所を訪問し、研究発表してきた。AT&Tはアメリカの電話会社である。

会社の規模が大きいため、かなり自由な雰囲気の研究所のようだった。活発な議論ができて、非常に面白かった。

訪問に際しては、AT&T研究所に一年間滞在されている奈良先端の波多野先生、その受け入れ研究者であるシーハム・アメール=ヤヒア博士、それからデータベース部門の責任者であるディヴェッシュ・スリヴァスタヴァ博士に非常にお世話になった。

発表後、研究所近くのマレーシア料理のレストランでご馳走になった。
ニューヨークは東京と違って、車で三十分も走れば木立が延々と続く、鄙びた風景が広がっている。マレーシア料理レストランのあるフローラムパークという街も、三階建て以上の建物がほとんどない田舎町である。住民は皆、車でショッピングモールまで買い物に出かけるため、それ以外の場所は商業的に発展しないのだと思う。

フローラムパークからマンハッタンに帰る電車の中では、シーハム・アメール=ヤヒア博士と一緒だった。
彼女は三十代前半の女性研究者だが、フランスで学位を取って、AT&Tの研究所は七年目。研究テーマはXQueryに情報検索(IR)の側面を持たせること。現在は、W3CにおけるXQueryのワーキンググループのメンバーも務めている。
波多野先生いわく、

「アメリカは若い人にどんどん重要な仕事をやらせるんだよ。うらやましい」

W3Cのワーキンググループがどんな形で仕事を進めているのか、本人に聞いてみた。

「最初のきっかけは、アメリカの国会図書館に大量のXMLデータがあると聞いて、問い合わせしたことだったわ。むこうの担当職員はどちらかというとエンドユーザだったけれど、一緒にXQueryに基づく検索システムを計画したの。ところがすぐにXQueryでは十分な検索ができないことが分かった」

「どういうところがですか」

「たとえばエレメント内における単語間の距離に基づく検索といったことができない。逆に、異なるエレメントに含まれる単語間の距離は、構造のどのレベルまでを考えるかによって変わってくるから、従来のIRの手法をそのまま適用するわけにもいかない。それで、XQueryにIRを組み込む必要を感じて、ドラフトの作成に取り掛かったの。それが七月のことだったわ」

その後、AT&Tの代表としてワーキンググループに加わったという。

「理論的に楽しい部分が終わってしまうと、あとは地道に詳細を固めていく作業。商品ベースで考える他社の人たちと話をまとめていかなくちゃならないわけ。彼らは完全で趣味のいい(neat and complete)言語を作ることには興味がなくて、『こんな機能は我々の顧客は使わない』とか言って、仕様をどんどん削っていってしまおうとするの。それはそれで面白い経験だったけど」

「ワーキンググループの中ではそういう人たちの割合は高いのですか」

「10人のワーキンググループメンバーのうち、8人がそういう考え方よ。研究者的な関わり方をしているのは、私ともうひとり、大学から来ている人だけ。だって、ワーキンググループに加わるためには、企業なら年間五万ドル、大学でも年間五千ドルの購読料を払わなくちゃならないんだから。メリットが無ければなかなか入る気になれないでしょう」

「AT&Tは例外ですか」

「うちは『未来を拓く仕様の策定に関わっている』ということを対外的に見せたいっていう側面があるから」

「いい会社だ」

「そう」

ニュージャージーとマンハッタンの境であるハドソン川に面した駅で僕らと別れた後、ジャズダンスの授業を受けに行くと言っていた。

「これがニューヨークのいいところよ」

仕事もプライベートも充実させている感じの方であった。

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