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2007年06月18日

フリマにてわらしべ長者を目指す。(その1)

六甲山の西の端、摩耶山の展望台にて毎月一回、フリーマーケットが開かれている。リュックサックマーケットという名前に表されているごとく、リュックに売りたいものを詰めて山上まで上がれば、出店料・出店申し込み不要で気軽に店を出せるというイベント。

リュックサックマーケット

展望台からの眺めはすばらしく良く、阪神間に広がる海沿いの街並み、六甲アイランドからポートアイランド、神戸空港まで見渡せる。

しかし、フリマの開催場所としてはかなり特殊である。阪急の駅からバス・ケーブルカー・ロープウェーを乗り継がなければ来られないため、何かのついでに立ち寄る客はほとんどいないと思われる。

つまり、出店者以外の参加はほとんど無いのではないか。

主催者側もそれは理解しているようで、出店者同士の物々交換を推奨している。案内のちらしには以下のように書かれている。

> お金をつかっておかいものするのはもちろん、ぶつぶつこうかんだってOK。お金という「ものさし」もいいけれど、それいがいの「ものさし」についてもかんがえてみるきっかけになればいいな。

高い理念を掲げたフリマなのだ。

このイベントを宣伝していた時、H松くんが「物々交換でわらしべ長者的なことをしたい」と言ったのを受けて、実際にやってみることにした。

めざせ現代のわらしべ長者。

フリマ開催の前日、ホームセンターで藁を購入してきた。家庭園芸用の敷きわら、一袋400円。はたしてそれ以上の価値を持つ商品と交換できるのか。

出店の当日は目を見張るほどの快晴。六月の澄んだ青空。

阪急六甲駅に集合し、ケーブルとロープウェーを乗り継いで山上まで上がる。

時刻は正午過ぎ、すでにいくつかのグループが店を出している。

「ブルーシート持ってくれば良かったー」とぼやくM田さん。だが、芝生の上なら商品を広げても大丈夫。

僕は藁しか持ってこなかったが、今回参加した他の皆さんはそれぞれ売り物を持ってきている。Y川さんなどはスーファミの本体を持ってきていた。この人、かなり関西人っぽいノリの人なので、ネタで持ってきたのではないかと思うほどだ。すごく重かったらしい。

周囲の出店者も皆、それなりに良さげな品物を売っている。

それに比べて僕の藁は実にみすぼらしい。

勇気がくじけそうになる。

「この服と僕の藁を交換してくれませんか……?」

と、言えるだろうか。

藁を籠に入れ、首から「僕とわらしべを交換しませんか」と書かれたケント紙を掛け、営業に出かけることにした。

まずはこんな変な参加者でも暖かく受け入れてくれそうな、主催者の人たちのいるエリアに向かう。きっと激励してくれるのではないか。

受付の横でF戸さんがカレーを売っていた。彼女は週末、六甲山の東の端で「山カフェ」という屋外カフェを開いている人。

「藁とカレー、交換してもらえませんか」
「えー、藁ですか」

彼女、将来自分の店を持つことを目標としている料理人の卵であって、手間暇かけて作ったカレーを藁一本と交換するというのはさすがにプライドが許さないだろう。交換してもらえなかった。

その時、傍らにいた関係者っぽいお兄さんが助け船を出してくれた。

「じゃ、タマネギと交換しようか」

開始後5分以内でいきなり交渉が成立。

藁とタマネギ、奇しくも農産物同士の交換だ。

タマネギなら欲しい人も多いだろう。交換の可能性が大きく広がった。

この交換の時、藁だけ渡すということに何だか申し訳ない感情を抱いた。実はこれはすでに予想していたことで、見栄えをよくするために藁を包む紙袋(のし袋)を用意しておこうと考えていたのだが、前日までかなり忙しく、買えなかったのである。(ただし、なぜかホームセンターに藁を買いに行くだけの時間はあった)

というわけで手製の袋を作成した。画用紙を折り曲げて、手書きで「わらしべ長者謹製」と書く。袋の部分が謹製だ。

これは記念品として喜ばれるかも知れない、とひそかに期待してみたりする。

僕が作業にいそしんでいると、目ざとく見つけて群がってきたのは子供たち。

のし袋を手にとって、女の子が尋ねる。

「何これ」
「藁が中に入ってるんだよ」
「ちょうだい」
「だめだめ。交換しなくちゃいけない。わらしべ長者って知ってるでしょ?」

ふと思った。最近の子供たちはそもそも「わらしべ長者」という話を知っているのだろうか。僕が子供の頃はまんが日本昔話という番組があり、下手したら親の世代以上に昔話を知っていたものだが……。

「ふーん」と、女の子は分かっているのだか分かっていないのだかよく分からない返事をする。

立ち上がり、さっとどこかに行ってしまう。そしてすぐに戻ってきて、「じゃぁ、これと交換しよ」と言ってきた。

差し出されたのはそのへんで摘み取ってきたと思われる松の葉一本。

これは予想していなかった。

僕は断り切れず、その商売センスあふれる女の子から松の葉を受け取った。

藁の入った紙袋を掴むと、彼女は足早に走り去っていった。

Posted by taro at 2007年06月18日 23:55

コメント

楽しそうですね(笑)。あー自分でもやってみたかったなー。

「最近の子供たちはわらしべ長者を知っているのか」という話がありましたが、ちょうどtaroさんがわらしべ長者に挑戦した次の日にアニメの「ちびまるこちゃん」内で、まるこがわらしべ長者になろうとしてましたよ。

もし挑戦したのが来週だったら、子供の食いつきも良かったでしょう。

あっでも、まるこフォロワーと思われかねないな…。

Posted by: ベク成 at 2007年06月19日 00:21

それはすごい偶然だな。

ってか、なんで「ちびまるこちゃん」見てるんですか。

僕のわらしべ長者を見た小学生たちが、翌晩ちびまるこ見て驚く姿を見てみたい。

またやるかも知れませんので、その時ご参加いただければ!

Posted by: taro at 2007年06月19日 00:33

うちの一家にとって、まるこは晩飯時の空気ですから。

いつもは内容なんてすぐに忘れてしまうのですが、今回はあまりにもタイムリーだったんでよく覚えています。

Posted by: ベク成 at 2007年06月19日 00:38

なるほど。素敵なご家庭だ。

Posted by: taro at 2007年06月19日 00:43

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