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2007年06月28日

フリマにてわらしべ長者を目指す。(その3)

それほど広い会場ではないので、何度も同じ店の前を通ってしまう。「また来たの?」みたいな顔をされる。しかし、東と西を行き来しながら交易を続けていれば、次第に商品のレベルは上がっていくのだ。レモンジューサーは 2 wayジューサーに、クッキーがマンガ13冊になった。

F戸さんのカレー屋の前まで来た時、椅子に腰掛けていた若い女性二人が興味を持ってくれた。

「わらしべ長者? 交換したいけど、売れるもの何も持ってないー」
「何でもいいんですよ。別に売り物でなくても」
「それも無いなぁ」

彼女たちは単に客として来ているだけのようである。こういう人は実に少ない。本当に、出店者しか来ないようなフリマなのである。まさしくわらしべ長者をするためにあるようなイベントであると言えよう。

女性のひとりが訊いてきた。

「最終的に何と交換してもらうことを目標にしているんですか」

鋭い質問だった。少しも考えていなかった。

「家とかではないですよね」
「無理でしょ」
「自転車とか、どうですか」

展望台の一角に停められている自転車を指さす。あれは売り物なのだろうか?

それも無理だろうと思いかけたが、考え直す。藁がキッチンペーパースタンドになるのだから、ひょっとして自転車も可能なのではないか。中古の自転車くらいなら、行けるかも知れない。個人的に欲しい。いったい何ステップくらい掛かるだろうか。急に目標が現実味を帯び出した。

「目指してみます」

僕は宣言した。

その時、僕の目にはフリマの会場に並べられた商品同士が無数の赤い線で結ばれているのが見えた。このフリマに参加しているすべての人の欲求を見ることができたとしたら。私のこの商品とあの人のあの商品は交換してもいいと思ってる物同士を辿っていけば、藁は確実に自転車と繋がっているのではないだろうか? 家とも繋がっているのではないか?

「レモンジューサー、ひそかに狙っててんけど。今度いい商品あったら、カレーと交換せぇへん」とF戸さん。
「カレーは食べたら終わってしまうからダメです」
「そっか。交換を続けていかなならんもんな」

小学生くらいの男の子に藁とクッキーを交換してもらう。幼稚園くらいの女の子が藁をミッキーの手帳と交換してくれた。

「藁だとなかなか交換してもらえないけど、ここまで来たら簡単に交換してもらえるよね」とM田さんが言う。
「そうですね。でも、個人的には藁が一番の売れ筋商品だったような気がしますけど」

台湾みやげのキーホルダーは指輪になった。この指輪、結構高い値札が付いていた。フリマだから適当な付け方だとは思うが、ちょっとびびる。

2 wayジューサーはTシャツを経て心理ゲームの本になった。

デニムのワンピースを着た上品な感じの女の子が心理ゲームの本に興味を示してくれた。小学生くらい。母親同士がお喋りしている横で店番をしている感じ。

「子供服と換えてもらえますか」
「もちろんですよ!」

隅の方に重ねて置いてあった服を一枚ずつ広げ、説明してくれる。

「シャツとかいろいろありますけど。これはファミリアのズボン。どうですか」
「ファミリアって何?」
「くまのマークのブランドです」

小学生の女の子である。そんな年齢からブランドを意識しているのか。女って恐るべし。

僕は心理ゲームで彼女の心を掴み、そのブランド物のズボンを首尾良く手に入れることができた。

ついに藁がブランド物の子供服になってしまった。なかなかの快進撃である。これはすぐに交換してもらえるだろう。先ほどジグソーパズルをキッチンペーパースタンドと交換してくれたお母さんの所に持って行くと、いいわねと言ってもらえた。幼稚園くらいの娘さんにサイズがぴったり。

「もうあんまり商品が残ってないんですけど……」

すでにフリマも終盤を迎え、売り尽くし気味だ。

「これとかどう?」

難しそうなパズルを示される。

「ええっとですね、それは欲しい人が少なそうだからだめです。流動性が……」
「あ、そうね。じゃぁ流動性が高いのは……」

まるで銀行での会話。

「このワインスタンドは?」

これなら欲しい人がいそうである。交換してもらった。案外、一部の人にとても受けるのではないか。ワインを三本、立てることができる。

終了時間が近づいていたため、矢継ぎ早に交換してもらう。皆、持ってきた商品を手放したい。物々交換が活気づく時間帯である。

ミッキーの手帳はふくろうのぬいぐるみになる。

指輪は灰皿と交換してもらった。

ふくろうをさらに赤いチェックの子供服と交換。

午後3時、フリマは比較的早い時間に終了した。ケーブルカーの運行時間との兼ね合いである。

当初の予想を遙かに上回って、いろいろなものを手に入れることができた。

すべて藁から交換して手に入れたものである。

交換の系統樹を以下に示す。一番長いものに関しては計8回の交換が行われた。

藁 → ジグソーパズル → キッチンペーパースタンド → レモンジューサー → 2 way ジューサー → NickelodeonのTシャツ → 心理ゲームの本 → 女の子もののズボン → ワインスタンド+蝶のしおり

キッチンペーパースタンド → 台湾のキーホルダー → 指輪 → 灰皿

藁 → ミッキーの手帳 → ふくろうのぬいぐるみ → 赤いチェックの子供服

藁 → クッキー → マンガ13冊

藁 → 携帯ストラップ

藁 → ミニタオル

藁 → きらきらシール

藁 → 飴

これらの商品、現在も交換受付中である。中古の自転車を目指したい。

Posted by taro at 2007年06月28日 21:14

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