2007年06月28日

フリマにてわらしべ長者を目指す。(その3)

それほど広い会場ではないので、何度も同じ店の前を通ってしまう。「また来たの?」みたいな顔をされる。しかし、東と西を行き来しながら交易を続けていれば、次第に商品のレベルは上がっていくのだ。レモンジューサーは 2 wayジューサーに、クッキーがマンガ13冊になった。

F戸さんのカレー屋の前まで来た時、椅子に腰掛けていた若い女性二人が興味を持ってくれた。

「わらしべ長者? 交換したいけど、売れるもの何も持ってないー」
「何でもいいんですよ。別に売り物でなくても」
「それも無いなぁ」

彼女たちは単に客として来ているだけのようである。こういう人は実に少ない。本当に、出店者しか来ないようなフリマなのである。まさしくわらしべ長者をするためにあるようなイベントであると言えよう。

女性のひとりが訊いてきた。

「最終的に何と交換してもらうことを目標にしているんですか」

鋭い質問だった。少しも考えていなかった。

「家とかではないですよね」
「無理でしょ」
「自転車とか、どうですか」

展望台の一角に停められている自転車を指さす。あれは売り物なのだろうか?

それも無理だろうと思いかけたが、考え直す。藁がキッチンペーパースタンドになるのだから、ひょっとして自転車も可能なのではないか。中古の自転車くらいなら、行けるかも知れない。個人的に欲しい。いったい何ステップくらい掛かるだろうか。急に目標が現実味を帯び出した。

「目指してみます」

僕は宣言した。

その時、僕の目にはフリマの会場に並べられた商品同士が無数の赤い線で結ばれているのが見えた。このフリマに参加しているすべての人の欲求を見ることができたとしたら。私のこの商品とあの人のあの商品は交換してもいいと思ってる物同士を辿っていけば、藁は確実に自転車と繋がっているのではないだろうか? 家とも繋がっているのではないか?

「レモンジューサー、ひそかに狙っててんけど。今度いい商品あったら、カレーと交換せぇへん」とF戸さん。
「カレーは食べたら終わってしまうからダメです」
「そっか。交換を続けていかなならんもんな」

小学生くらいの男の子に藁とクッキーを交換してもらう。幼稚園くらいの女の子が藁をミッキーの手帳と交換してくれた。

「藁だとなかなか交換してもらえないけど、ここまで来たら簡単に交換してもらえるよね」とM田さんが言う。
「そうですね。でも、個人的には藁が一番の売れ筋商品だったような気がしますけど」

台湾みやげのキーホルダーは指輪になった。この指輪、結構高い値札が付いていた。フリマだから適当な付け方だとは思うが、ちょっとびびる。

2 wayジューサーはTシャツを経て心理ゲームの本になった。

デニムのワンピースを着た上品な感じの女の子が心理ゲームの本に興味を示してくれた。小学生くらい。母親同士がお喋りしている横で店番をしている感じ。

「子供服と換えてもらえますか」
「もちろんですよ!」

隅の方に重ねて置いてあった服を一枚ずつ広げ、説明してくれる。

「シャツとかいろいろありますけど。これはファミリアのズボン。どうですか」
「ファミリアって何?」
「くまのマークのブランドです」

小学生の女の子である。そんな年齢からブランドを意識しているのか。女って恐るべし。

僕は心理ゲームで彼女の心を掴み、そのブランド物のズボンを首尾良く手に入れることができた。

ついに藁がブランド物の子供服になってしまった。なかなかの快進撃である。これはすぐに交換してもらえるだろう。先ほどジグソーパズルをキッチンペーパースタンドと交換してくれたお母さんの所に持って行くと、いいわねと言ってもらえた。幼稚園くらいの娘さんにサイズがぴったり。

「もうあんまり商品が残ってないんですけど……」

すでにフリマも終盤を迎え、売り尽くし気味だ。

「これとかどう?」

難しそうなパズルを示される。

「ええっとですね、それは欲しい人が少なそうだからだめです。流動性が……」
「あ、そうね。じゃぁ流動性が高いのは……」

まるで銀行での会話。

「このワインスタンドは?」

これなら欲しい人がいそうである。交換してもらった。案外、一部の人にとても受けるのではないか。ワインを三本、立てることができる。

終了時間が近づいていたため、矢継ぎ早に交換してもらう。皆、持ってきた商品を手放したい。物々交換が活気づく時間帯である。

ミッキーの手帳はふくろうのぬいぐるみになる。

指輪は灰皿と交換してもらった。

ふくろうをさらに赤いチェックの子供服と交換。

午後3時、フリマは比較的早い時間に終了した。ケーブルカーの運行時間との兼ね合いである。

当初の予想を遙かに上回って、いろいろなものを手に入れることができた。

すべて藁から交換して手に入れたものである。

交換の系統樹を以下に示す。一番長いものに関しては計8回の交換が行われた。

藁 → ジグソーパズル → キッチンペーパースタンド → レモンジューサー → 2 way ジューサー → NickelodeonのTシャツ → 心理ゲームの本 → 女の子もののズボン → ワインスタンド+蝶のしおり

キッチンペーパースタンド → 台湾のキーホルダー → 指輪 → 灰皿

藁 → ミッキーの手帳 → ふくろうのぬいぐるみ → 赤いチェックの子供服

藁 → クッキー → マンガ13冊

藁 → 携帯ストラップ

藁 → ミニタオル

藁 → きらきらシール

藁 → 飴

これらの商品、現在も交換受付中である。中古の自転車を目指したい。

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2007年06月20日

フリマにてわらしべ長者を目指す。(その2)

松の葉を持ってきて僕のわらしべをせしめていった女の子が現れた後、同様に松の葉を持ってくる男の子たちが相次いだが、僕は「同じものとは交換しない」と宣言し、紙袋作りにいそしんだ。

ある程度溜まったので籠に入れて、ふたたびフリマ会場を横断しに出かける。

「わらー、わらー、日本一のわらー」

最初来た時よりも出店者の数が増えている。見たところ30組くらいか。

どういう出店者が多いかというと、若い子連れ夫婦やカップルが多い。夫婦が二人で一緒に何か目的を持ったことをするというのはいいことではないかと思う。展望広場はグラウンドくらいの広さがあって、子供たちが走り回って遊んでいる。親同士のフリマ出店をきっかけに知り合った子供たちもいるのではないか。それって商品の売り買いよりもずっと価値があるような気がする。

石垣の前で店を出していた三組くらいの家族連れの前に乗り込んでいって、藁を売り込んでみた。結構面白がってもらえる。帽子をかぶった若いお母さんが紙箱を見せながら言う。

「じゃぁ、これどうですか?」

まだ開けていないジグソーパズルだ。

「いいんですか」
「はい」

これまでで一番価値のありそうな商品ではなかろうか。

喜んで写真など撮っていると、石垣にもたれて立っていた小学生くらいの女の子が「なんで藁なんか欲しいねーん」とつっこみを入れた。鋭い。

さらに別の男の子がクッキーを持ってきた。これも藁と交換してもらう。

タマネギのお兄さんが通りがかった。口に藁をくわえている。

「役に立ってるよ。禁煙パイポの代わりになる。今ちょうど禁煙中なんだ」

一緒に来ていたM田さんもわらしべ交換に挑戦することになった。ネット上で格安チケットショップを経営しているM田さんは僕よりずっと営業力があると思われる。

ノリの良さそうなご夫婦の店に乗り込んでいき、さっそく藁をきらきらシール一枚と交換してもらった。

その次に行った店では、幼稚園児くらいの子供がジグソーパズルを欲しがった。

「わらしべと交換してもらえれば」
「わらしべって何?」とお母さん。
「藁です」
「……。あーっ、わらしべ長者!」
「そうです」
「藁かー。ええやんかー」
「交換を続けていって、どんどん良くしていくんです」
「グレードアップしなくてはならんのかー」
「い、いや、別にいいんですけどね」

押しの弱いM田さん。

「じゃぁ、これ」

差し出されたのはキッチンペーパースタンド。これはかなりレベルが高い。藁は着実にグレードアップしていっている。

小さな女の子、ジグソーパズルを抱えて「やりたい、やりたい」と騒ぐ。これだけ喜んでもらえたら、わらしべ長者も本望である。

自分たちの店に戻ると、キッチンペーパースタンドは大受けであった。「ええやん、ええやーん、これー」とI垣さん。「私が欲しい」

I垣さんもわらしべ長者をしにいく。

キッチンペーパースタンドはすぐに交換したいという人が現れた。

レモンジューサー、キーホルダーと交換してもらった。

キッチンペーパーの方が高級そうだから商品二つと交換してもらう、というのは若干がめついようにも思うが、これはリスク分散でもある。商品が増えればそれだけ交換してもらえる可能性は増えるのだ。

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2007年06月18日

フリマにてわらしべ長者を目指す。(その1)

六甲山の西の端、摩耶山の展望台にて毎月一回、フリーマーケットが開かれている。リュックサックマーケットという名前に表されているごとく、リュックに売りたいものを詰めて山上まで上がれば、出店料・出店申し込み不要で気軽に店を出せるというイベント。

リュックサックマーケット

展望台からの眺めはすばらしく良く、阪神間に広がる海沿いの街並み、六甲アイランドからポートアイランド、神戸空港まで見渡せる。

しかし、フリマの開催場所としてはかなり特殊である。阪急の駅からバス・ケーブルカー・ロープウェーを乗り継がなければ来られないため、何かのついでに立ち寄る客はほとんどいないと思われる。

つまり、出店者以外の参加はほとんど無いのではないか。

主催者側もそれは理解しているようで、出店者同士の物々交換を推奨している。案内のちらしには以下のように書かれている。

> お金をつかっておかいものするのはもちろん、ぶつぶつこうかんだってOK。お金という「ものさし」もいいけれど、それいがいの「ものさし」についてもかんがえてみるきっかけになればいいな。

高い理念を掲げたフリマなのだ。

このイベントを宣伝していた時、H松くんが「物々交換でわらしべ長者的なことをしたい」と言ったのを受けて、実際にやってみることにした。

めざせ現代のわらしべ長者。

フリマ開催の前日、ホームセンターで藁を購入してきた。家庭園芸用の敷きわら、一袋400円。はたしてそれ以上の価値を持つ商品と交換できるのか。

出店の当日は目を見張るほどの快晴。六月の澄んだ青空。

阪急六甲駅に集合し、ケーブルとロープウェーを乗り継いで山上まで上がる。

時刻は正午過ぎ、すでにいくつかのグループが店を出している。

「ブルーシート持ってくれば良かったー」とぼやくM田さん。だが、芝生の上なら商品を広げても大丈夫。

僕は藁しか持ってこなかったが、今回参加した他の皆さんはそれぞれ売り物を持ってきている。Y川さんなどはスーファミの本体を持ってきていた。この人、かなり関西人っぽいノリの人なので、ネタで持ってきたのではないかと思うほどだ。すごく重かったらしい。

周囲の出店者も皆、それなりに良さげな品物を売っている。

それに比べて僕の藁は実にみすぼらしい。

勇気がくじけそうになる。

「この服と僕の藁を交換してくれませんか……?」

と、言えるだろうか。

藁を籠に入れ、首から「僕とわらしべを交換しませんか」と書かれたケント紙を掛け、営業に出かけることにした。

まずはこんな変な参加者でも暖かく受け入れてくれそうな、主催者の人たちのいるエリアに向かう。きっと激励してくれるのではないか。

受付の横でF戸さんがカレーを売っていた。彼女は週末、六甲山の東の端で「山カフェ」という屋外カフェを開いている人。

「藁とカレー、交換してもらえませんか」
「えー、藁ですか」

彼女、将来自分の店を持つことを目標としている料理人の卵であって、手間暇かけて作ったカレーを藁一本と交換するというのはさすがにプライドが許さないだろう。交換してもらえなかった。

その時、傍らにいた関係者っぽいお兄さんが助け船を出してくれた。

「じゃ、タマネギと交換しようか」

開始後5分以内でいきなり交渉が成立。

藁とタマネギ、奇しくも農産物同士の交換だ。

タマネギなら欲しい人も多いだろう。交換の可能性が大きく広がった。

この交換の時、藁だけ渡すということに何だか申し訳ない感情を抱いた。実はこれはすでに予想していたことで、見栄えをよくするために藁を包む紙袋(のし袋)を用意しておこうと考えていたのだが、前日までかなり忙しく、買えなかったのである。(ただし、なぜかホームセンターに藁を買いに行くだけの時間はあった)

というわけで手製の袋を作成した。画用紙を折り曲げて、手書きで「わらしべ長者謹製」と書く。袋の部分が謹製だ。

これは記念品として喜ばれるかも知れない、とひそかに期待してみたりする。

僕が作業にいそしんでいると、目ざとく見つけて群がってきたのは子供たち。

のし袋を手にとって、女の子が尋ねる。

「何これ」
「藁が中に入ってるんだよ」
「ちょうだい」
「だめだめ。交換しなくちゃいけない。わらしべ長者って知ってるでしょ?」

ふと思った。最近の子供たちはそもそも「わらしべ長者」という話を知っているのだろうか。僕が子供の頃はまんが日本昔話という番組があり、下手したら親の世代以上に昔話を知っていたものだが……。

「ふーん」と、女の子は分かっているのだか分かっていないのだかよく分からない返事をする。

立ち上がり、さっとどこかに行ってしまう。そしてすぐに戻ってきて、「じゃぁ、これと交換しよ」と言ってきた。

差し出されたのはそのへんで摘み取ってきたと思われる松の葉一本。

これは予想していなかった。

僕は断り切れず、その商売センスあふれる女の子から松の葉を受け取った。

藁の入った紙袋を掴むと、彼女は足早に走り去っていった。

Posted by taro at 23:55 | Comments (4)

2007年06月11日

何でも売れる摩耶山リュックサックマーケットに行きませんか

6月16日(土)、神戸の摩耶山で行われる「リュックサックマーケット」に行こうと思っています。

出店料、出店申込無しで参加できるフリーマーケットです。

何を売ってもいいらしいので、何か変なものを売りたい(あるいは買いたい)という方いらっしゃいましたら、一緒に行きましょう!

阪急神戸線の六甲駅、神戸市バス18系統のバス停前集合にしようと思っています。ご興味ありましたら tez@sings.jp までご連絡ください。(スパムが多いので冒頭に「手塚さん」とか書いてもらえますでしょうか。)

摩耶山リュックサックマーケット

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2007年05月29日

六甲山の山麓、山カフェに行ってきました。

この前の週末、六甲山に登ってきました。

かつてハイキングが山頂を一息に目指すものではなく、のんびりと休憩しながら登るものであった時代、山麓にたくさん存在したお茶屋さんのひとつを借りて、街と山を繋ぎ、世代を結ぶ店ということで営業している「山カフェ」を訪ねるのが目的です。

来てくれたのは京都在住の山好きI垣さん、芦屋で格安チケットショップ経営M田さんご夫妻、尼崎在住の学生ベク成くん。さらに駅前で山カフェプロジェクトの一員であるO田さんと合流したので、6人でハイキングになりました。

I垣さんは今回初めてお会いしましたが、僕のブログの山カフェ記事を見て興味を持ってくれたとのこと。思い返せばベク成くんも昔、ブログで呼びかけたドクターフィッシュの会に来てくれて知り合ったのです。まめにブログを書いていると、いろいろ面白い出会いがあります。

阪急の芦屋川駅前に集合し、山に向かって歩きます。

このあたりは関西では結構有名な高級住宅街。実に住みやすそうな家々。

住宅街の間を歩いていくと、いつしか山道に入ります。自然がこんなに近くにあるのは素晴らしい。

登山道を覆うように建っている一軒目の店は目指す山カフェではなく、ライバル店であります。こちらは独特の店構えからかなり繁盛している様子。

二軒目の茶店が我らが山カフェ。

昔から続いているお茶屋さんの軒先を利用したもので、あまり今風ではありません。しかし、そこがいいのです。ベク成くんが「つげ義春風」と描写していましたが、たしかにそんな感じ。

山カフェプロジェクトの中心メンバーで、毎週店に立たれているF戸さんが迎えてくれました。

店の中には席がなく、すべて外で飲食するスタイル。晴れている日しか営業しないので、これでいいのです。

テラス席の奥には「高座の滝(こうざのたき)」というちょっとした観光名所があります。岩盤に刻み込まれているレリーフは、有名な登山家の人のようです。

すぐ向かいには小さな鳥居。言い訳のように置かれている金の玉が素敵ですね。

しばし山カフェでくつろいだ後、我々はさらに上を目指すことに。

ここまで来たからには、訪ねずにいられないのがロックガーデン。日本のロッククライミングの発祥の地だそうです。

さらに登ると、風吹岩。ここからの眺めは本当に良い。

かなりの距離でしたが、駅から二時間くらいしかかかっていません。本当にお手軽な規模の登山。

山は良い、という話で盛り上がりました。

I垣さんは滋賀の比良山に登って以来、山登りが好きになったとのこと。M田さん夫婦はさらにマニアックな山好きで、かつて六甲山縦走というイベントに参加したことがあるそうです。全行程56キロ。朝の7時半に出て、夜10時にゴールインするまで、ひたすら歩き続けたとのこと。

六甲全山縦走(毎年11月に開催)

すごい達成感だったそうです。そりゃそうでしょう。

帰り道、旗振山という場所を通りました。なぜそんな名前が付いているかの由来は以下の通り。

「旗振山の名は江戸末期、近代的通信機関の整備される迄の通信の場で大阪・堂島の米相場を播州岡山方面に伝えるために大きな白い旗を振って伝達したことに由来している。大阪・尼崎・武庫川堤・金鳥山・錨山・須磨などに中継地があった」

すごいですね、大阪。江戸経済の最先端を行っていたのでしょう。こういう技を使って大儲けした商人とかもいたのでしょうか。

途中にあった見晴台からの眺め。東灘区や六甲アイランドです。(写真はクリックすると拡大されます。この写真は拡大すると綺麗)

いいハイキングでした。

ところで山カフェも関わっているイベントで、六甲山の一角、摩耶山で「リュックサックマーケット」というのが行わています。要らないもの、売りたいものをリュックに詰めて、誰でも参加できる山上フリーマーケットだそうです。

「きかなくなったCDや、読んでしまった本、じぶんでかいた絵、きなくなった服、手作りクッキーなどなど、なんでもOK」。出店料、出店申込不要。

毎月やっているようなのですが、もしご興味ありましたら行きませんか。次回は6月16日(土)。7月・8月にも行われる予定だそうです。

変なものを売りたいですね。ご興味ある方いらっしゃいましたら、tez@sings.jp までどうかご連絡ください。

Posted by taro at 22:42 | Comments (2)

2007年02月22日

サイエンスカフェします

今週の土曜日、東京の恵比寿ガーデンルームにて、関わっているプロジェクトの成果報告会が行われるのですが、いつものようなデモとポスター発表だけを行っても面白くないということで、最近流行りのサイエンスカフェの形式で講演が行われることになっています。

テーマは
「デジタルバイヨンプロジェクト」
「こどもたちのためのサーチエンジン」
の二本立て。

前者はカンボジアのバイヨン遺跡をすべてデジタルデータ化しようというプロジェクトで、僕はあまり知らないので興味深いです。

後者が僕も関わっている、小学校の授業で使えるサーチエンジンを作るという話です。田中教授が京都市立稲荷小学校の先生方とトークします。一般参加者とのやりとりのある、インタラクティブな形にする予定です。

僕は「教授カフェ」という名称を強く推していたのですが、通りませんでした。

参加費無料・事前登録不要ですので、東京近郊にお住まいでご興味をお持ちの方いらっしゃいましたら、ぜひご参加いただければと思います。

デジタル知的資産の創造と学びの環境づくり 文部科学省 知的資産のための技術基盤プロジェクト 第4回展示会

Posted by taro at 21:04 | Comments (2)

2006年12月31日

野外百人一首と美空ひばり館(その4)

野外百人一首を終えた我々は当初からの予定通り、美空ひばり館へ。
嵐山の超人気スポットであるにも関わらず、11月末で閉館してしまうということで、これが訪問のラストチャンスでした。

ホテルのロビーのように豪華なエントランスを抜けて、展示のある二階に向かいます。

壁一面を埋め尽くすレコードのジャケットや雑誌の表紙。その間に埋め込まれたディスプレイでは、常時美空ひばり関連の映像を上映中。

美空ひばりが映画の子役としてデビューしたというのは知っていたのですが、その後、時代劇にたくさん出ていた時期があったようで、そういう背景を知らなかった僕としてはちょっと不思議な印象を受けました。ミュージカル映画という感じでもなく、単なる時代劇。稀代の歌姫なのにもったいない!というのは勝手な押しつけでしょうか。女優としても優れていたのかも知れません。

閉館前の最後の週末ということでものすごく混んでいたのですが、車いすのおばあちゃんたちがたくさん来ていたのが印象的でした。ビデオの前で何度も再生ボタンを押して、往年の名曲を聴いていました。ものすごく懐かしく切ない気持ちになっているのではないかと思いました。こういう「高齢者の遊び場」のような場所は、もっと全国に出来てもいいような気がします。大阪の新世界に通じるものを若干感じました。

美空ひばりは戦後間もない昭和21年、9歳で初舞台を踏み、昭和24年に「悲しき口笛」で映画デビュー。その主題歌は戦後の復興期、人々に広く親しまれました。昭和35年には「哀愁波止場」でレコード大賞歌唱賞を受賞。同時に銀幕のスターとしても活躍。白黒の時代劇です。この時期、雑誌「平凡」の歌手人気投票では12年連続1位を獲得。代表曲「柔」を発表したのはそれより後、昭和39年。その後、「悲しい酒」「真っ赤な太陽」と続きます。昭和50年代にはヒット曲には恵まれなかったものの、ポップスやジャズにも進出してレパートリーを広げ、さらには舞台を中心に精力的に活動を続けていました。しかし、最大の理解者でありプロデューサーでもあった母、二人の弟、親友の江利チエミが相次いで亡くなり、寂しさを紛らわすための酒とたばこの量が増し、急速に体を壊していったそうです。

昭和62年、公演先で倒れ、数ヶ月の療養。翌昭和63年には東京ドームのこけら落とし公演として「不死鳥コンサート」を行い、ファンに復帰をアピール。けれどステージの裏ではベッドと酸素吸入器が用意されていたとか。

明けて平成元年、自らの人生を歌い上げるかのような「川の流れのように」が大ヒット。その年の六月、昭和を代表する歌姫は五十二歳の生涯を閉じました。


川の流れのように(一部)

生きることは 旅すること
終わりのない この道
愛する人 そばに連れて
夢 探しながら
雨に降られて ぬかるんだ道でも
いつかは また 晴れる日が来るから


今生きていれば七十歳くらい。当時の力みなぎるライブの映像を見ていると、まだまだ舞台を踏めていたのではないかと思います。この稀代の歌い手に現代の曲も歌って欲しかったものだ、という感想を抱きました。

地下のおみやげ売り場には椅子のたくさん並べられたステージがあり、大画面のスクリーン上でコンサート映像が上演されていました。四十代くらいの時の舞台でしょうか。とにかくパワーに満ち溢れていて、人生にエールを送ってくれる感じです。

ステージトークではかつて共演した男性俳優の名前を挙げて、

「誰々さんも何々さんも、お腹が出てきていいおじさんになってきていますけれど。ひばりは皆さんから元気をもらって、ますます若く!」 とか言ってました。

スクリーンの前の席は、おじいちゃんやおばあちゃんたちによって埋め尽くされていました。

kogeさん情報によると、美空ひばり館が閉館するのは人気が無いからではなく、レンタルしていた衣装などを返却する期限が来たからだそうです。だとしたら、なおさら残念な気もします。

入館時に渡されたパンフレットに書かれていたキャッチコピーは、

「ともに泣き、ともに笑った いくつもの思い出がよみがえる。」

何の思い出も無いのですが、それでも良い場所でした。

あとひとつ、嵐山で見ておきたい場所といえば、「嵐山モンキーパーク」でしたが、これは雨のため次回にまわすことにしました。kogeさんやさとっちさんのお奨めで、山頂まで上がるとちょうど猿に囲まれて人間が観察されるような形になるとか。kogeさんは3回行ったことがあるそうです。次に嵐山に来た時に立ち寄りたいと思います。

西院まで移動して、最後の締めのカラオケ。誰も来てくれず、僕ひとりで行くことになるのではと心配していたのですが、可知さんとさとっちさんが来てくれました。加えて、KGCのmoritamaさんが合流。四人でカラオケ。

川の流れのように」「」「愛燦燦」「真赤な太陽」など、美空ひばりの名曲の数々を熱唱。意外と皆さん、歌えるものです。

すべての予定を貫徹し、めでたく解散したのでありました。

可知さんによる報告

moritamaさんによる報告

Posted by taro at 14:04 | Comments (4)

2006年12月30日

泣き上戸の人と飲みたいのですが。

研究室の忘年会で修士課程生のK谷くんが「みんな、いい人っすよ」としきりに泣いていたのですが、本当に泣き上戸なのかどうかよく分かりませんでした。

今までの人生で「飲むと泣く」という泣き上戸の人と会ったことが無いのですが、泣き上戸の人と知り合いになりたいです。

願わくは十人くらい泣き上戸の人を集めて飲みに行き、僕以外全員オイオイ泣いているという「泣き上戸飲み会」を開きたいのですが。

泣き上戸の人、友達になってください。

Posted by taro at 17:11 | Comments (0)

2006年12月12日

野外百人一首と美空ひばり館(その3)

時雨殿にて百人一首の勉強を終えた我々は渡月橋を渡り、大堰川の中州へ。

いよいよ屋外百人一首を広める活動の開始です。

中州は砂利を敷き詰めた公園になっていて、いくつか屋台も出ています。人通りも多い。

そのど真ん中にござを広げ、札を並べ始めた時。

十メートルほど離れた場所にあったイカ焼きの屋台から、角刈りの親父がずしずしとやってきて、怖い顔で聞いてきます。

「何かイベントするの?」
「あ、はい」
「許可、もらってるわけ?」
「いや、それは……」

途端に親父、態度がでかくなって、

「あかんでぇ、こんな所でやられちゃぁ」
「そうですか」
「当たり前やでぇ。ここ、公園やでぇ、公園。そんなんしたら、あかんやろっ」

それほど屋台に近いという訳でもなかったのですが、視界に入ってしまったのがまずかったようです。

頑固さの代名詞のような屋台の親父を前にしては、さすがの屋外百人一首連盟もたじたじ。

おとなしく引き下がりました。残念です。

そして屋台から見えない場所まで移動し、そちらで実施することにしました。

「我々、個人の集まりではなくて、イベントとみなされたんですね」と、前向きに捉えるKGC理事長の柴田さん。

五十メートルほど移動し、屋台の視界に入らない位置まで来ました。ここは川からもほど近く、眺めは良い場所。人通りもそれなり。

再びござを広げ、札を並べ始めます。

数分もしないうちに、通りがかりのおじさんが立ち止まり、覗き込んできました。

結構百人一首を知っている人のようで、「そんな散らばせて並べない方がいいよ」などと言ってくれます。

アドバイスに従って、競技カルタのように、半分ずつ向き合う形で整えて並べました。

「間にスペースも空けた方がいいよ」というアドバイスを受けて、どんどん本格的に。

いよいよ札を詠み始めようとすると、

「ちょっと待って。しばらく憶える時間をおかないと」と止めるおじさん。

数分間、皆で札の場所を暗記しました。

そしてついに、屋外百人一首大会の開幕。

参加してくれた皆さんは僕の予想を遙かに上回って、百人一首のできる人たちでした。下の句が読まれる前に札が取られることもしばしば。

やがて周囲には結構な人だかりが。

しかし、覗き込む人ばかりで、実際に競技に加わってくれたのは最初のおじさんだけ。

おじさんはかなり積極的で、ござの外に立ったまま、「えーっと」と言って、傘の先で自分の近くにあった札をポイントします。正しい札。

僕らが見つけられない時だけを狙って、合計二枚、取っていましたが、途中で携帯に電話がかかってきて、去っていきました。奥さんから呼び出しでもかかったのでしょうか。

その後も競技は継続。最後の方は一瞬で札が取られる状態が続き、それなりに真剣勝負に見えました。

雨に降られることもなく、無事に最後の一枚まで取り尽くし、最終的に優勝したのはKGC研究員の可知さんでした。おめでとうございます!

Posted by taro at 23:43 | Comments (0)

2006年11月30日

野外百人一首と美空ひばり館(その2)

時雨殿の中に入ると、ポータブルゲーム機のニンテンドーDSを渡されます。
和風なカバーが付いていて、婦人用の財布か何かのようです。

「これは最初のバージョンのDSだね」とH谷くん。

一階には大きな部屋がひとつあり、床には大型ディスプレイが五十個くらい敷き詰められています。その上に表示されているのは京都の上空から撮影した航空写真。

天井にはセンサーが並べられ、各人の現在位置を捉えていて、手元のニンテンドーDSに現在立っている場所ゆかりの百人一首が表示されたり、その方向への案内を出してくれるという仕組み。

途中でカルタ取りモードに切り替わると、各人が自分のDSに表示された札を求めてディスプレイの上を走り回るというゲームになります。

今回参加してくださった中村先生はユーザインタフェースの研究者であり、知り合いから時雨殿が面白いという話を聞いて以来、興味を持っていたそうなのですが、実際に試してみて、

「なかなか良くできていると思いましたよ」とのこと。

今回の企画、学術的な意義も大きかったようです。

また、二階には様々な種類の百人一首が展示されていたのですが、「愛国百人一首」というのがなかなか興味深かったです。

戦争中、通常の百人一首は軟弱だということで、陸軍省や海軍省の後援のもとに作られた愛国的な百人一首です。どんな歌が選ばれているかというと、

 大君の 御旗の下に 死してこそ 人と生まれし 甲斐はありけれ

 身はたとひ 武蔵の野辺に 朽ちぬとも とどめおかまし 大和魂

なんだか、熱いです。愛国です。

現在も発売しているのか分かりませんが、かなり遊んでおきたい百人一首です。

愛国百人一首

あいにく時雨殿では販売していませんでした。

つづく。

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注:今週大学構内で行われている国際会議やシンポジウムのためにかなり忙しく、更新が小出しになります……。

Posted by taro at 22:14 | Comments (4)

2006年11月27日

野外百人一首と美空ひばり館(その1)

嵐山に行ってきました。紅葉の見頃ということで、とてつもない賑わい。渡月橋の上は通勤ラッシュ時なみの混雑具合です。

今回の企画の名称は「百人一首と美空ひばりの会」ということで、以下の内容を行う予定でした。


任天堂の学習型アトラクション「時雨殿」にて百人一首の勉強
 ↓
近所の公園でアウトドア百人一首


11月末で閉館する美空ひばり館を見学
 ↓
カラオケで「川の流れのように」を熱唱


嵐山は百人一首発祥の地のようです。今から八百年ほど前、藤原定家という人がこの近所にある山荘の襖に貼るために選んだのがその始まりだとか。

百人一首を一対一で取り合う「競技カルタ」はお正月のテレビ放送でお馴染みであり、次第に知的なスポーツとして認知されつつあるかと思うのですが、我々はこれをさらに開放的なアウトドアスポーツとして発展させるべく、今回の野外百人一首大会を開催する運びとなりました。

八百年の時空を越えて我々は今、百人一首に新しい地平を切り開こうとしています。

正午、渡月橋の北側に集合した我々七名程は、まずは周囲の方々にこの活動を知っていただけるよう、簡単な案内板を作成しました。

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野外百人一首
親善試合

ご自由にご参加ください。

平成18年11月26日
日本百人一首連盟
アウトドア派
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「京都予選、にしておいた方が良くないですか。これが決勝と思われたら、しょぼい団体に見られるかも」

という意見も出ましたが、実際にしょぼい団体なので、偽るわけにはいきません。

段ボール箱の両面に上記のメッセージを貼って、完成。

すぐに試合を始めたい所でしたが、その前に勉強して、モチベーションを高めることにしました。

そこで、今年の一月に新しくできた嵐山の新名所、「時雨殿」を訪問。

任天堂の元社長である山内溥氏が私財を投じて建設した施設であり、百人一首に関する展示や体験型のアトラクションが常設されています。任天堂はもともと京都で花札や百人一首を作っていた会社でした。ちなみに我々が今回の野外大会で使用する百人一首も、任天堂謹製です。

つづく。

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2006年11月23日

野外百人一首その他の計画

11月26日(日)正午、嵐山渡月橋の北側に集合し、以下のような企画を行いたいと思っています。


任天堂の学習型アトラクション「時雨殿」にて百人一首の勉強
 ↓
近所の公園でアウトドア百人一首


11月末で閉館する美空ひばり館を見学
 ↓
カラオケで「川の流れのように」を熱唱


次第にスポーツとして認知されつつある百人一首のアウトドアスポーツ化に向けて、その第一歩を踏みだそうという試みです。

ご参加いただける場合は、暖かめの服装で来ていただければと思います。

時雨殿

時雨殿レポート

美空ひばり館 公式サイト

美空ひばり館情報

川の流れのように

Posted by taro at 16:25 | Comments (0)

2006年11月19日

嵐山の紅葉、11月末で閉館する美空ひばり館、ニンテンドーDSで百人一首にご興味ありませんか。

今年は紅葉の訪れが遅いということで、ようやく木々も色づいてきたようです。

京都を代表する紅葉の見所といえば嵐山ですが、その嵐山の名所のひとつであった美空ひばり館が11月30日に閉館するようです。
ちょっとだけ見に行きたい気がしています。

また、それと入れ替わるようにして、今年の初め、嵐山には時雨殿という新名所ができました。

こちらは任天堂が作った施設で、ニンテンドーDSで百人一首を遊べるようになっているようです。
任天堂はもともとは京都で百人一首や花札を作っていた会社でした。

今なら新旧の嵐山マニアック名所を共に訪ねることができるのですが、ご興味あるという方、もしいらっしゃいましたら、ぜひ tez@sings.jp までご連絡を!

美空ひばり館 公式サイト

美空ひばり館情報

時雨殿

時雨殿レポート

川の流れのように

Posted by taro at 01:45 | Comments (3)

2006年10月27日

映画版Rentを見てきました。

ブロードウェーミュージカルの映画版、Rentを見てきました。

劇場版を見て以来、かなり好きなミュージカルのひとつで、映画版も楽しみにしていたため、興味を持ってくれそうな人に声をかけて、ぞろぞろと行ってきました。

ミュージカル好きが集まってくれた感じです。
I辺さんはサウンド・オブ・ミュージックがとても好きで、映画版のシカゴも面白かったとのこと。
K村さんはロンドンでオペラ座の怪人を三回見に行ったとか。
文芸同人誌ディオニュソスの知り合いであるT上さんも、僕が言う前から映画について知っていました。
さらに、タイから留学生で僕の研究室で院生をしているNミットさんと、その友達で同じくタイからの留学生であるPoさん。
彼女はいつも僕にタイのお菓子をくれるので、何かの機会に誘おうと思っていたのです。
ディオニュソスのS藤さんも僕が誘った訳ではないのですが、偶然、同じ回を見に来ていました。

良い映画でした。

舞台とはまた別の良さがあって、素晴らしかった。

特に、実際のニューヨークの情景を盛り込むことは舞台ではできないことで、そこに暮らしていないものにとっては雰囲気がよく伝わってきて、理解の助けにもなりました。

また、登場人物の表情によって伝わってくる部分もある。舞台だとそこまではっきりと見えないので。

終了後、木屋町のタナカコーヒーにて感想戦。
話が取り留めもなく進み、どちらかというと雑談会でしたが。

僕は主題歌のSeasons of Loveはもちろん、One Song Gloryという曲が結構好きなのですが、映画版では結構インパクトが弱かった気がします。T上さんには「歌詞が直球過ぎてダメ」とか言われました。

その一方であらためて良いと思った曲は、Finale B。フィナーレの時に二つの曲が流れ、そのうち後の方なので、Finale B。もっと洒落た名前を付けて欲しい所ですが。Life SupportというHIV陽性の人たちが歌う曲のリフレインでもあります。

歌詞はこんな感じ。

There's only us, there's only this.
Forget regret, or life is yours to miss.
No other road, no other way.
No day but today...

まぁ、これもかなり直球な歌詞なのですが。僕はこういう単純な歌詞が好きなのです。

There's only now, there's only here.
Give in to love, or live in fear.
No other path, no other way.
No day but today.

作品全体を通じてのメッセージは、今日を大切に生きろということなのでしょう。劇場版の原作者であるJonathan LarsonはRentがオフ・ブロードウェーで初演される日、突然の大動脈解離で亡くなったそうです。享年35歳。身をもってそのメッセージを伝えている感じです。

ところで以下の写真は昨年、Rentの映画版が公開された頃にニューヨークの街頭で見かけたフリーペーパーです。

トップ記事なのですが、かなりボロクソに書かれています。

RENT STRIKE
What's so bad about the blockbuster musical's big-screen debut? Plenty. Page 19.
PLUS: Five things to do instead of seeing 'Rent'

いったい何が不満なのでしょうか。

Rentにはヘテロセクシャル、ゲイ、レズビアンという三組のカップルが登場するのですが、レズビアンのカップルはなかなか魅力的に描かれている。それと比べて、ゲイカップルの関係がいけていないと批判されています。

By comparison, the gay male storyline fizzles.
... compared to the girls, these guys come across as positively chaste.

つまり、ゲイカップルのいちゃいちゃぶりが足りないからダメ。

ゲイカップルの一方はドラッグクイーンであり、いつも女装しているのですが、それもダメな所らしい。

It's a classic straight man's rendition of queer sexuality: Sure, we'll let the lesbians go at it, but if two dudes smooch, one of them better be wearing a dress.

実はこのフリーペーパー、よく見てみるとゲイのためのフリーペーパーだったりするわけです。

Gay Life Expo

とか

Finally, Meeting Gay Men is Easy!

とかいう広告が並んでいて、さすがニューヨークという感じです。

ニューヨークのゲイに何と言われようと、Rentはいい作品だと思います。

Posted by taro at 01:07 | Comments (2)

2006年10月23日

KGCの合宿企画で講師させていただくことになりました。

未来社会の多様性を高めるシンクタンク KGCの合宿企画で講師に呼んでいただきました。

合宿講座「KYOTO 知的サファリパーク&”本当に熱い研究会”の企画」

他の講師の先生方が錚々たる顔ぶれですので、ご興味のある方はどうかご参加ください。

Posted by taro at 00:02 | Comments (2)

2006年10月17日

最近見た映画の感想 + RENTを見に行きませんか

最近見た映画の感想をざっと。


「日本沈没」

原作の大ファンだというA地下バーのマスターが酷評していましたが (リンク先にネタバレあり)、たしかにちょっと無理矢理ラブストーリーに持って行っている感じがあって、試写会のチケットをくれたうさこさんには申し訳ないけど、B+くらいです。


「日本以外全部沈没」

あの短い原作をよくあそこまで長くしたなぁという点は感心します。上映の情報を教えてくれたmipomipoさんには申し訳ないけど、これも一般の人は見なくていい映画かも。

ところで最近ネット上で行われていた名作SFのタイトルに「以外全部」を挟んでみる遊びは面白いですね。 「虎よ、虎以外全部よ!」 「分解以外全部された男」 「11人以外全部いる!」 が秀逸だと思いました。


「ALWAYS 三丁目の夕日」

感動しました。上映期間中に見に行くことができなくて、一ヶ月遅れで上映してくれる祇園会館で見たのですが、この時ほど祇園会館に感謝したことはありません。ちなみに僕の母方の祖父は芝の大門の生まれで、まさしく東京タワーのお膝元であります。ああいう感じの所で育ったのかなぁと思ったり。


「もしも昨日が選べたら」

はずしまくっているベタなギャグがかなり多く、プロットの運び方にも無理があるのですが、それでも僕は良い映画だと思いました。前半はアメリカのコメディ番組風。後半は少しだけシリアスに、映画的になります。訴えているテーマは臭すぎますが、こういうワンアイデアな映画はかなり好きで、つぼにはまりました。


ところで今、僕が一番見たいと思っている映画はRENT(レント)です。
ブロードウェーで10年以上続いているミュージカルの映画版。

ニューヨークの劇場で見た時も非常に良かったですが、それ以上にブロードウェーの通りの真ん中でその主題歌を聴いた時に感動しました。

ブロードウェーにて

10年間も上演を続けていると、劇場でのキャストはすっかり入れ替わってしまうようですが、映画はオリジナルキャストをわざわざ引っ張り出して撮影したとか。

関西ウォーカーの映画ランキングでも高く評価されていたので、かなり良いのではないかと思います。

もうだいぶ前に一般上映されていたのですが、見に行く時間が取れないうちに終わってしまい、残念に思っていた所、今度、新京極映画祭で上映されることになりました。ありがたいですね、こういうイベントは。

第5回 新京極映画祭

10月22日(日) 18:30 からか、10月25日(水) 21:00 からの回を見に行こうと思っているのですが、こういう映画にご興味のある方、もし良かったら一緒に見に行きませんか。

さらに、見終わった後に雑談会とかも。

ご興味ありましたら tez@sings.jp までご連絡を。

Posted by taro at 21:46 | Comments (2)

2006年09月03日

デジタル逆さめがねを作ってみた。

デジタル逆さめがねを作ってみた。

逆さめがねというのはガラスやアクリルのピースを組み合わせて、世界が逆転して見えるようにする眼鏡である。
上が下、下が上に見えるようにしたり、左右を逆転させたりする。
一週間も掛け続けていると、逆さの状態が正常に感じられるようになり、眼鏡を外した時に世界が反転しているように感じられるらしい。

今回作ろうとしたのは、これのデジタル版である。
光学的な逆さめがねは軽く作るのが大変なのだが、デジタル版であれば頭に付ける部分を軽くできるのではないかと考えた。

現時点で最小クラスのノートPCである Sony Vaio type U。ポケットPC並みのサイズでありながら、Windows XPがそのまま入っている。

Logicool のウェブカメラ。解像度は130万画素。とても軽い。

さらに、Daeyang の i-Visor FX601というヘッドマウントディスプレイ。

とりあえず部品類はこれだけ。

研究室にいたsloth氏、N岡さんに手伝ってもらい、組み立てを行う。
ヘッドマウントディスプレイの前面にセロテープで厚紙を貼り付け、ウェブカメラのクリップで挟む。軽いのでこれで十分支えられる。
さらに、ヘッドマウントディスプレイの後ろに輪ゴムを付けて、頭に固定する。
type U の本体やケーブル類は首からかけるポーチに入れる。

ビューアはとりあえず NetMeeting を使うことにした。
左右反転や上下反転はウェブカメラの設定で簡単にできる。

かくしてデジタル逆さめがねの完成である。

研究室の中をうろうろしはじめるsloth。

「よく歩けるなぁ」
「この場所を知っているからというのもある。問題はね、ちょっと外が見えちゃうんですよ」

顔とヘッドマウントディスプレイの隙間から正常な世界が見えてしまうという問題。

「そしたら、ブルカだ」
「何かかぶればいいんだね」

紙袋で頭を隠すようにした。

小さな穴を開けて、ウェブカメラだけ外に突き出すようにする。

最初、眼鏡全体が出るくらいの穴を開けてしまったが、実はその必要はまったくなくて、ウェブカメラのレンズだけ突き出せば良いということに気がついた。大きな穴は後ろに回すようにした。

「これでどう?」

机にごつんごつんとぶつかり始めるsloth。うまく行っているようである。

「電話、取れる?」

反対方向に手を伸ばす。

ホワイトボードに字を書いてみる。
頭で憶えているので、短いフレーズは簡単に書けるようであるが、図を描くのが難しい。
日本地図はぐじゃぐじゃ。

ここで面白い発見。
小さい頃に左利きを右利きに矯正したというN岡さんは、逆さ文字を猛烈な速度で書ける。すごい特技だ。左利きから矯正した人はみんなできるのだろうか。

三人で夕刻の街に繰り出す。

バス停の前の人々が怪訝な顔をして我々を見ている。

逆さめがねの実験をしているようには見えないだろう。単に、紙袋をかぶった変な男である。

ウェブカメラの小さなレンズをふさぐと見えなくなってしまうというのが面白い。

柵などにごつごつぶつかりながら、歩道を歩く。

次第に暗くなってくる街並み。

「白黒だよ」

暗すぎて風景がほとんど見えないらしい。

「赤外線カメラにしたい」

たしかに。

「今、サイボーグみたいな感じ?」
「3Dのゲームを始めたばかりで、足取りおぼつかなく歩いているという感じ」

オフィスは河原町二条にあるため、そこから河原町通りを南に向かって歩く。

「ノイズがすごい」

暗いためカメラ映像にノイズが入ってしまうのだと思う。

「月は見える?」
「見える」
「欠け方は?」
「そこまでは分からん」
「半月なんだけど」

明るすぎる光源は円形になってしまい、形がよく分からないのだと思う。

最初は左右反転にしていたのだが、途中で上下反転に切り替える。

「左右反転の方が難しい」

これは僕も以前、同じ感想を抱いた。上下は頭の中で変換しやすいが、左右は難しい。

京都市役所の前の広場に出た。

ここで僕に交代。

たしかに暗い。ウェブカメラには集光力に限界がある。
細かい光の線のノイズが入り、ホラー映画の呪いのビデオみたいである。

さらに、ビューアが全画面表示になっていないため、カメラ映像の周囲はWindows。
呪いのビデオ的な世界と、その周囲のデスクトップのギャップが著しい。

サイボーグの出てくる映画で時折、視野の周辺にそれらしき計測メーターなどが出ていたりするが、今後現実にサイボーグが作られるとしたら、視野の周辺はWindowsになるのではないか。

御池通の向こう側、寺町のアーケード入り口がまるでルミナリエのように光り輝いて見える。
輝度の調整がうまくできていないため、明るい所は強調され、他の部分は暗い。

しかし、黄昏時の青い光が全体を満たしていて、白黒というより、記憶の中のディズニーランドという感じ。
安っぽいドラマの回想シーンとか。

夕焼け空はしっかり見える。足下は暗い。

「バッテリが切れかけています」という表示が出る中、まだまだ歩く。

ごつんとぶつかる。
歩道と車道の仕切り用のポールだった。
危ない高さだ。

カメラのレンズの関係で、離れているものがかなり近く見える。
たとえば車がものすごく近くを走り抜けていくように感じられる。ちょっとスリルがある。

「寺町に行こう」

アーケードなので、明るいはずである。

寺町御池の交差点に差し掛かった時、slothとN岡さんが誰かと話し始めた。

「何してるんですか?」
「ちょっと実験を……」

ウェブカメラ越しには誰だか分からない。ただ人影が立っているだけである。

「無視して通り過ぎようかと思ったのですが……」

秘書のIベさんであった。自転車で通りがかった所らしい。

「これはデジタル逆さめがねといって、世界が反転して見えるんです」

かぶってもらった。
ノリが良くて素晴らしい。

「アーケード綺麗でしょ?」
「綺麗ですね」

よろよろと歩くIべさん。

「あ。真っ黒に……」

バッテリ切れで終了。

なかなか興味深い実験であった。

次回はもっと明るい時間帯に行うことにした。

色の反転や視野の拡大など、通常の逆さめがねで行えないこともいろいろ試してみたい。

このデジタル逆さめがねの泣き所は、ウェブカメラの解像度が十分高くないため、小さな字を読めないことである。
そんな状態で一週間生活することなど、不可能である。
通常のDVカメラをくっつけるという方法もあるが、重くなってしまうだろう。
あるいはもう少し待てばウェブカメラの解像度も向上し、もっと良いものが作れるかも知れない。

Posted by taro at 07:33 | Comments (6)

2006年08月07日

ドクターフィッシュに足の皮膚を食べさせてきました。

人の皮膚を食べる魚、ドクターフィッシュを体験してきました。

トルコの温泉に生息し、昔から皮膚病治療に使われていたという魚。最近日本でも体験できる場所が増えてきて、ちょっとしたブームになっているようです。

京都では嵯峨野にあるスーパー銭湯「天山の湯」が導入しているということで、何人かで連れ立って行ってきました。

年間の最高気温を記録したという暑さの中、自転車で京福電鉄の有栖川駅に乗り付けると、ホームのベンチでベク成さんとO本さんが待ってくれていました。

京福電鉄は京都の嵐山や北野白梅町、四条大宮を結ぶ路面電車で、夏の日差しに蒸されたアスファルトの上を走る姿は何とも雰囲気出ています。改札は無いため、僕もホームに上がらせてもらいます。

ベク成さんとお会いするのはこれが初めて。
京都の大学に通う一回生。自宅は尼崎で、今日はこのためにはるばる来てくれたとのこと。
高校生の頃、推理小説をよく読まれていたそうですが、ある時、安部公房の「箱男」を読み、それまで読んできた本とあまりにも違ったために衝撃を受け、それでいて面白かったのでウェブでいろいろ検索していたところ、僕が街角で箱男をした時の報告文を見つけ、しばらくブログを読んでくださっていたそうです。
そして今回、ドクターフィッシュの会に参加したいという連絡をくれたのです。

O本さんとは、うんこの産業利用を検討する会で知り合いました。そのイベントを開催したKGCという団体でスタッフをしている大学三回生。

しばらく待っていると、kogeさんが電車で、moritamaさんが自転車でやってきました。kogeさんとは昔からの知り合い。現在は神戸市の中高一貫校で教師をされています。moritamaさんはO本さんと同じ、KGCのスタッフ。大学二回生。

駅から「天山の湯」はすぐ。スーパーの大黒屋やユニクロが並ぶ商店街の一角に立っていて、独特のロケーションです。

ちょうど僕らが着く頃に、バイクでキジさんがやってきました。

広々としたロビーを抜けて受付に赴き、ドクターフィッシュ体験を予約。人気のため、一時間待ちです。

その間、お風呂を利用します。最近のスーパー銭湯はいろいろ機能が充実してきているので、なかなか楽しめました。強烈な水流を放つジェットバスや、美濃焼の釜風呂など。年々進歩している気がするので、十年後のスーパー銭湯がどのようになっているのか、興味が持たれる所です。

時間が来て、ドクターフィッシュ体験へ。
ふやけて柔らかくなった皮膚の方がドクターフィッシュに好まれるらしいので、お風呂に入る時間があったのは好都合でした。

男湯と女湯が分かれる手前に足湯があり、そこにドクターフィッシュが入れられています。
数百匹以上いるでしょうか。
足湯は一度に六人まで利用できます。
すでに先約もあったため、我々は三人ずつに分かれての利用。

足を入れると、予想していた以上に素早く群がってきます。
十匹から二十匹、足のまわりにまとわりついて、皮膚をついばみ始めます。

非常に小刻みに囓るため、まるで微弱な電気を当てられているかのようにぴりぴりします。
爪の付け根の皮膚が非常に好きのようで、そのまわりにたくさん集まってくる。

「やっぱり、皮膚がたまってるんですかね?」
「足の裏はあまり食べられないな。堅いのかな」
「ささくれを囓られました」

年取った人の皮膚ほど好まれる、という情報がありましたが、少なくとも今回の参加者の間ではあまり差が出なかったようです。

しかし、面白いことに、我々の隣に座っていた家族連れのうち、幼稚園くらいの女の子の足には全然寄ってきていませんでした。子供の肌というのは新鮮で、ドクターフィッシュに好かれないのでしょうか。

受付の人にドクターフィッシュには皮膚だけを食べさせているのか聞いたところ、
「ええ、他の餌はやっていません」と言っていました。

つまり、人間の足の皮膚だけを食べてこの魚は育っているということ。

何となく、すごい。

自分の皮膚が魚になるということに生命の神秘を感じます。

もちろん、たとえば蚊なども人間の血で作られているようなもので、そちらも神秘なのですが。

人の足の皮膚だけを食べて育ったドクターフィッシュを天ぷらなどにしたら、罰ゲームに使えそうと思ったのですが、足湯の横に貼られている新聞記事に「一匹7,000円で購入しました」などと書かれていたため、受付の人に提案する気持ちがくじけました。

足湯の横の水槽に、大きめのドクターフィッシュが入れられています。現在は繁殖期らしく、大きい方が小さい方を食べてしまうため、分けているとのこと。

僕が水槽を覗き込むと、「きっと鯉の仲間ですね。ヒゲがある」とベク成さんがコメント。
かつて熱帯魚を飼っていたそうで、ドクターフィッシュに関しても、去年の十月頃、日本に入荷されたという記事が専門誌に載っていたのを見かけたとか。

実際、ドクターフィッシュはコイ科に属する魚のようです。
学名はガラ・ルファ。

熱帯魚用の餌も食べるらしく、熱帯魚を育てられる人であれば、飼育と繁殖はそれほど難しくないのでは、というのがベク成さんの意見でした。もしどなたか飼育されている方がいらっしゃいましたら、ぜひ遊びに行かせていただきたいです。

ドクターフィッシュ体験を含めて二時間ほどスーパー銭湯に滞在した後、渡月橋まで移動し、嵯峨野を散策。化野念仏寺まで歩きました。

ここは無数の小さな墓石が並べられていることで有名な寺。昔、このあたりは京都の人が死者を埋葬をする場所だったらしく、お参りする人もなく野原に散らばっていた無縁仏の墓石を明治の頃に一箇所に集めたのだとか。

たまたまこの日は八月六日、かつて広島に原爆が投下された日ということで、そんな話題に。

キジさんのおばあちゃんは広島の人だったそうで、親戚の優秀な人たちも皆原爆で死んでしまい、とても原爆を恨んでいたとか。

moritamaさんの実家のある東京の町田では、毎年八月六日、九日、十五日にサイレンが鳴らされ、戦争で死んだ人たちを追悼するそうです。

日が暮れる頃、嵐山駅前まで降りてきて、川沿いの土産物屋でお茶などし、他の皆さんと別れた後、moritamaさんと二人で自転車に乗って嵐山をもう一周。

天龍寺の横の池では見頃を過ぎた蓮が実を付けていました。

華やかな蓮の花とはだいぶ違い、蓮の実はなんとも気持ちの悪い形をしています。

「ちょっと前に、蓮の実画像っていうのが流行ってましたよね。人の体の写真に蓮の実を埋め込んだりすると、すごく気持ち悪い。これってどうしてなんでしょうね」とmoritamaさん。

蓮コラあるいは蓮イボと呼ばれている画像で、実際、かなり気持ち悪いです。

そもそも蓮の実自体、若干の気持ち悪さがあります。円が一定の間隔で並んでいるだけなのに。間隔がこれより広ければ気持ち悪くないだろうし、狭くても気持ち悪くない。

イボや湿疹など、皮膚にできる異物を嫌う感情から来ていると思うのですが、それがほとんどの人にとって気持ち悪く、生後の学習によって身につくものでもないとしたら、人の遺伝子のどこかにその感覚を生み出す源があるということでしょう。つまり、脳のニューロンをそのように結びつける情報があらかじめ備わっているということ。

昔から、本能というものが遺伝子にコードされているということはすごいなと思っていました。(文化的に身につくものだとした場合、「文化の中にコードされている」と考えるのも面白いと思いますが)

動物の習性、たとえばドクターフィッシュが皮膚を食べるというような行動も、遺伝子にしっかり組み込まれているわけです。

以前、この話を知り合いの小関悠に言ってみたところ、

「でも、僕は強化学習のプログラムを書いた時、すごいと思いましたけどね」

と言われました。

なるほど。そう考えてみるとたしかに、進化という学習アルゴリズムによって最適な行動が塩基対にコードされること自体は不思議ではないのかも知れない。

むしろ不思議な所は、タンパク質への転写というシリアルなプロセスからニューロンの配線という空間的な「形」が作り出される部分なのかも知れません。

コンピュータのプログラムであれば、命令の連なりによって計算が進められていく流れを理解できるのですが、タンパク質の合成から生物の形が作られる過程がよく分からないので、すごいことのように思えるのでしょう。

発生において組織が的確に作られるのと同じレベルの不思議さなのかも知れないと思いました。

kogeさんによる報告

小さいドクターフィッシュを販売

大きいドクターフィッシュを販売

輸入業者。ビジネス目的であれば、全身ドクターフィッシュ体験ができるかも?

Posted by taro at 23:56 | Comments (6)

2006年07月25日

魚に足の皮膚を食べさせる + 閉館間際の美空ひばり館、行きませんか。

京都を代表する観光名所のひとつ、「嵐山・美空ひばり館」が今年11月で閉館するようです。

美空ひばりゆかりの品々を展示している他、大スクリーンで「川の流れのように」の熱唱が聴けるそうです。

行ったことないので、行ってみたいです。

一方、嵯峨野にあるスーパー銭湯「天山の湯」では、皮膚の古い角質を食べてくれることで有名なトルコの魚、ドクターフィッシュ入りの足湯を導入したとか。
美容や癒し目的で最近人気だそうです。

魚に足の皮膚を食べられる独特の感覚を堪能してみたいです。

奇しくもこの二つの注目スポットはそれなりに近接。

今度、二つ合わせて行ってみたいと思っているのですが、ご興味のある方、一緒に行きませんか。

両方に興味のある人は少ないような気もするので、どちらか一方でも。


さがの温泉 天山の湯 ドクターフィッシュ

美空ひばり館 公式ページ (←閉館に先立ってウェブページがすでに閉鎖されているのが潔いです)

美空ひばり館 外観 (←錯視の研究で有名な北岡先生の撮影だったりする)


「ドクターフィッシュ料理の店」とかあれば、究極のゲテモノとして話題を集めるかも知れないですね。

Posted by taro at 23:04 | Comments (8)

2006年06月17日

メイドカフェで読書会のような集まり

大阪や京都でメイド喫茶を何軒か訪ねたが、いずれも普通の喫茶店にメイドさんを置いたという感じで、あまり満足のいくものではなかった。

やはり、メイドカフェの神髄に触れるためには、本場秋葉原まで行かなくてはなるまいと思い、東京に住む友人たちに声をかけた。

僕は常々喫茶店で読書することを最大の楽しみのひとつとしているので、
「メイドカフェで読書会」という企画になったのは自然な流れである。

単純に、他の人たちがどんな本を読んでいるのかも知りたい。
知り合いは基本的に面白い本を教えてくれるものである。

秋葉原駅の電気街口で待ち合わせ。
定刻に集まったのは僕を入れて七名。

小関は大学の頃の知り合いであり、今は東京で働いている。
学生時代はたしかビデオをマンガに変換するシステムを研究していたはずだが、それ以外にも自分のウェブサイト上でいろいろ面白いアプリケーションを公開している。
今日は会社帰りということで、スーツ姿である。

ただよしは高校の頃からの友人で、ソフトウェア工学の研究室を修了し、現在はプログラマーとして働いている。

サコも同じ高校の出身で、学年はひとつ下なのだが、最初は出版系の会社に就職し、今はコンサル系の会社にいるとか。
昔、一緒に北朝鮮に行ったりした。

C嬢は小関のネット上での知り合いであり、僕とは初対面。
リアルな関係としては、小関が昔所属していた劇団の団長の彼女の友達、ということになるらしい。
大学院生で、コンピュータを利用した協調作業支援(CSCW)の研究をしているそうである。

玄米嬢とは京都にいる頃、おいしいものを食べに行く会で知り合ったのだが、
言語に興味があるということで、最近は東京に行って外大に入り直して、大学三年生をしている。
何を勉強しているのかと聞いたら、翻訳ソフトを作っている研究室の授業でPerlの勉強をしているらしい。
最近は外大でプログラミング言語も教えているのか。

全般的に、今日の参加者はプログラミング系が多い。

そして僕の祖父、ぶうじい。
母方の祖父なのだが、いつも赤い車(赤ぶーぶー)でどこか連れて行ってくれるので、僕がぶうじいと呼び始めたのだそうだ。
もともと海軍の学校にいたとかで、電気系の工作が好きであり、僕が小さい頃、秋葉原によく連れて行ってもらった。
当時の秋葉原は(今でもそうだが)電子部品のショップが連なる工作少年にとっての楽園だったのである。

そして二十一世紀。
変わり果てた秋葉原の姿を見てもらうためにも、今回の企画に誘ったという次第。

「祖父のぶうじいです。今、いくつになるんだっけ?」
「年のことはもういいよ」
「それじゃ、祖父は昭和二年生まれなんで、計算してください」

今も現役で神田で働いている。仕事が保険の代理店なので、定年がないのである。

中央通りから神田明神通りへ、電器店のまばゆいネオンの間を抜けて、通りに面した細いビルにたどり着いた。

今回訪問するのは、メイドカフェ業界では有名な店という「@ほ~むカフェ(あっとほーむかふぇ)」。

秋葉原通の高校時代の友人から教えてもらった。

ビルの七階にあるのだが、六階は同じ@ほ~むカフェのオリジナルグッズの専門店らしい。

五階も同じ系列の店で、「女中茶房」という看板が出ている。和風のメイドカフェなのだろう。
四階はメイドさんによるボディマッサージ。
一階から三階まではDOS/Vパラダイスというパーツショップである。

エレベータで七階まで上がった。
小さいビルなので、ワンフロアをメイド喫茶が占有しているわけだが、それでも店内はすごく小さい感じ。
すぐにメイドさんが出てきて、

「すみません、今、満席なので、こちらにお並びいただけますか」

白地のシャツの上に茶色の上着とスカート。
結構、控えめな服装である。オーソドックスなメイドさんという感じ。

噂には聞いていたが、喫茶店で並ばされるというのがすごい。

「交代制なんで、そのうち空くと思いますよ」と小関が言うので、待つことにする。

入り口のガラス戸の上に、ポスターやイベント告知やらがべたべた貼られている。
DVD発売のお知らせもある。

入店者への注意書きがあった。

・メイドさんに触らないようにしてください。
・メイドさんに言い寄らないでください。
・メイドさんにしつこくシフトなどを聞かないでください。

などなど。

シフトを聞かないでください、というのがかなり具体的で笑える。
ストーカーさんの姿が目に浮かぶ。

写真撮影は、店の前でも中でも禁止。
写真好きの玄米嬢が一枚撮ろうとしたところ、すぐさまメイドさんが出てきて、
「お嬢様、お写真は禁止になっております!」と、甲高い声で言われた。

店の外の階段に列を作って並びながら、僕は祖父にしみじみと言ってみる。

「どう、この日本のだらけた姿」
「いやー」
「ぶうじいの友人たちが命をかけて守った日本が、今はこんな風に……」

ふたたびメイドさんが出てきて、「ご主人様、お嬢様、もうしばらくお待ちください!」と、かわいらしい声で言う。

「でも、昭和の初期にも、女中さんのいるカフェとかあったのかな。『カフェー』とかいう」
「ああ。あったね」

女中じゃなくて、女給だった。

話しているうちに、他の客も集まってきて、列はさらに長くなった。
結局10分ほど待たされたが、
今までにも何度かメイド喫茶に行ったことがあるという小関によると、「これは待たされない方ですよ」。
平日の晩だったのが良かったのかも知れない。

いよいよ入店。店に入るなり、メイドさんたちが声を張り上げる。

「おかえりなさいませ!」「おかえりなさいませ!」

黄色い声で歓迎してくれる。

そのまま奥のテーブル席に通される。

店内はそれほど広くない。30人も入ったら満席という感じ。

内装は案外普通である。
小綺麗ではあるが、普通の喫茶店と大差ない。
本家秋葉原でもこんな感じなのか。

だが、奥にカウンターとステージがある。
テーブル席は座席代が500円、カウンターは300円で若干安く、しかもメイドさんとゲームができるという特典がある。
ただし、一回につき500円。
ゲームを遊んでもらうにも、結構お金がかかる。

見た感じ、カウンターにはひとりで来ている人も多い。
メイドカフェで発見されることが期待されるような人々である。

一方、テーブル席の方は、我々のように、興味で来ている人間が多いような気がする。
我々の隣のテーブルは、女性ばかり三人連れである。

メニューは普通の喫茶店とあまり変わらないが、
「お気に入りのメイドさんが作ってくれるカクテル」など、付加価値の高い商品がいくつか置かれている。

さらに、オリジナルのBGMが流れている。
時折、

♪おかえりなさい、ご主人様~

というフレーズが意識下に顕在化される。

テーブルの上に金色のチャイムが置かれていて、これを鳴らしてメイドさんを呼ぶのだが、なかなか緊張する。
そのような偉ぶった態度を取ることに慣れていない。

「インドネシアに赴任した商社マンの家族とか、家に女中さんがいるらしいんだけど、奥さんは今まで女中をつかったことが無かったりするから、苦労するらしい」
「なるほど。人をつかうのにもコツがいるわけですね」
「だからこういう所で練習しておく」

チャイムの音を聞きつけて、メイドさんが飛んできた。
そして床に膝をつく。
これが注文を取るポーズ。
膝が痛そう。気兼ねしてしまう。

そのメイドさんは非常に物腰柔らかく、好感度の高い人であった。
何人か、特に、入り口で列の整理をしていたメイドさんなどは非常に性格がきつそうな感じであった。
メイドさんには向いていないのではと余計な心配をしたが、
ひょっとしたらそういうのが好きな客もいるのだろうか。
巷ではツンデレ(ツンツン+デレデレ。最初はツンツンしているが、ゲームが進むにつれて急にデレデレしてくれるという、美少女ゲームの典型的デザインパターン)が大流行と言われているが。

客のひとりがステージに立って、メイドさんと並んでポーズを撮り始めた。
楽しげである。
一枚500円だそうである。

カウンターに座った別の客は、メイドさんと「黒ひげ危機一発」(樽にナイフを差していくうちに海賊が飛び出るおもちゃ)で遊んでいる。
この客は、ひとりで来ているっぽい。
暗く楽しんでいる感じである。

ウェブ制作の会社を経営しているyuko嬢が遅れてやってきた。

さらにしばらくして、大学のゼミが長引いて遅れたというAz嬢もやってくる。
最近、新聞社との共同研究に関わっていて、新聞がなぜ読まれなくなっているのかを調査しているとか。
アンケート票の作成を担当し、質問項目を決める仕事をしているらしい。
その打ち合わせが長引いて、今日は遅れたのだそうだ。

ぶうじいが言う。
「僕は終戦の時、厚木の航空隊にいて。特攻隊の順番を待っていたんだよ。最初に行った連中から、沖縄の海に散ってしまってね。だから僕が死んだら、灰は沖縄の海に撒いて欲しいって言ってるんだ」
「ぶうじいって、このメイドカフェに来たお客の中で、最年長なんじゃないの?」とただよし。
「そうかも知れない」

「最近思うのはね、一期一会ですよ」とぶうじい。「地球に数十億人の人がいるけど、実際に会って話せるのは数百人でしょ。だから、ひとつひとつの出会いを大切にしなくちゃいけないって思ってね」

メイドさんが料理を持ってきた。小関にオムライスを差し出しつつ、

「オムライスです! ケチャップで『萌え』と書いてあります!」

と、鼻に掛かった声で言う。

「ちょっと、トイレ行ってくるわ」

何に緊張したのか、ただよしがトイレに行く。
その間にメイドさんがやってきて、ただよしが頼んだ紅茶を置こうとしたが、不在のため、

「こちらのご主人様は……」

と、かわいらしく首を傾げる。

「ちょっとトイレに行ってるみたいですね」
「それじゃ、また来ます」

その場でメイドさんが注いでくれるというのがひとつのポイントらしく、ポットを持ったまま帰っていった。

メイドさんが言ったセリフを小関が面白がって言う。

「ご主人様がたくさんいるっていうのも、変な感じですね」
「あちらのご主人様、こちらのご主人様か」
「混んでいる時は、『申し訳ありません、ご主人様、今日は満席です』って言われるらしいですよ。自分の家なのに、入れない……」

メイドさんたちは客に呼ばれるたびに店内を走りまわり、大変そうである。

「メイドさんの声、かなり独特ですよね」
「きっとボイストレーニングしてるって」
「してましたよ。この前のぞいたら」
「努力しているんだ」
「でも、おっちょこちょい系のメイドカフェというのもいいかも。よく失敗するの」
「それ、いい」yuko嬢とAz嬢の意見が一致する。

「秋葉原なんて、メイドカフェができるまでは女の子ひとりでこれる場所じゃなかったですよ」とyuko嬢。
「そうですね。僕はアキバってのは人とよくぶつかるなぁという印象があって……。こうやって両手に荷物持って、下向きながら歩いている人ばっかという感じで」とサコ。
「そうか。人間関係の距離の取り方が分からない……」

ずいぶん毒舌家な皆さんである。

メイド姿の女の子がたくさん歩きまわることにより、コスプレの人も増えてきて、
女の子が気安く歩けるようになったというのはあるのかも知れない。
メイドカフェは秋葉原の活性化にも大きく貢献しているのか。

今回の集まりの本来の趣旨は「メイドカフェで読書会」であったため、それぞれ持ってきてもらった本を見せてもらう。

今読んでいる本か、お気に入りの本を持ってきてもらうようにお願いしている。

小関は「ドルードル」という文庫サイズの本を持ってきていた。

「これ、手塚さん好きそうかなと思って」

各ページに大きく図形的な絵が示されていて、その横にユーモアのある説明が書かれている。
絵を使ったなぞなぞ、という感じ。
かなり独特なジャンルであり、これを最初に考えた人は賢いと思った。

ぶうじいは「昭和史」という白い表紙のハードカバーを持ってきていた。
半藤一利さんという人の本。著者のサイン入りだった。
するとサコが急に姿勢を正して、「おお。この人は僕の中で五本の指に入る名文家ですよ」
「それじゃ、これをあげるよ」とぶうじい。
「え。いいんですか」
「うん」

ただよしはMBA(経営学修士)に関する本を持ってきていた。「いろんな意味で使えるかも知れないと思って」

そしてさらに、自分が最近、Java Press に書いた記事も持ってきてくれていた。
JakartaのTomcatのソースコードを読もう、という内容。
「あー、これは読みたい」と、C嬢。
連載記事で、それ以前にはJUnitやStruts、eclipseのソースコードを読む記事を書いたらしい。
それらをまとめた本が近々出版されるとか。
ソースコードの美しさについて広く知ってもらうことがただよしの最近の目標らしい。ソフトウェア美学。

サコは中上健司の「岬」を持ってきていた。今、読んでいるところだという。これで妹系カフェだったりしたら誤解を招く。

Az嬢のお奨めは、オーストラリアで博打によって生計を立てている著者による「無境界家族」という本。
本人はとても落ち着いて洗練された上品な雰囲気の人なので、「似合わない!!」と、皆から言われていた。

C嬢は読書会向けの本は持ってきていなかったが、たまたま鞄にオライリーの Flash Hacks が入っていた。
彼女、未踏ソフトウェアに採択されたという、かなりの才媛であることが分かった。
未踏ソフトというのは情報処理推進機構(IPA)が行っている事業であり、
面白いプログラムを開発する人やグループに資金提供し、日本の技術力を高めようという試みである。
金額が大きい上に、予算を何に使ってもよく、報告書は一枚でもいい。とにかく面白いものを作ればOK。
ソフトウェア開発者にとっては実に魅力的なプロジェクトであり、年に何十件か採用されるが、非常に倍率が高い。

「そのオライリーの何々Hacksのシリーズで、最近出た……」と僕が言うと、
「あ、分かります」
Mind Hacks
「そうそう」
「かなり面白いよね」

ただよしと小関が賛同し、「買おうと思ってるんです」と言う。

「こうやって片手と机の両方を同時に叩かれるというのを続けた上で、机の方だけを急に強く叩かれると、手も痛く感じるという」小関が説明する。「これとか、面白いですよね」

先日、イギリスのエディンバラに行った際、カメラ・オブスキュラという百年前からある観光施設を訪ねたのだが、
屋上に鏡を設置して街の風景を暗室のテーブルの上に映し出すという、現代ではちょっと地味すぎるメインアトラクションを補うためか、
「錯覚で遊ぶ」という体験型の展示がたくさんあって、そちらの方がずっと面白かった。

「お台場の日本科学未来館の五階にもそんな展示がたくさんありますよ」と小関。
今度、行ってみたい。

「手塚さんと昔、催眠術研究会にも関わってましたよね」と小関。
「やったやった。またやりたい」

僕が持ってきたたくさんの本の中に、ダニエル・デネットの「解明される意識」というのがあったため、紹介する。

「この人、もともとは進化論とか論じていた人なんだけど、意識の流れに関しても同じようなモデルが適用できないかというのを議論していて。『自分』という意識は実は脳の中にいくつも並列で存在していて、その中で役に立つ意識、適応した意識だけが生き残っていくという考え方で」
「つまり、秒単位でスレッドが分かれて……」
「そうそう。良い思いつきをした自分は生き残るけど、ぼーっとしていた自分は消えていくとか」
「ラマチャンドランの『脳のなかの幽霊』、読まれました?」と小関。
「持ってるけど、まだ読んでない」
「見えているという自覚が無いのだけど、実際には見えているので生活できる人の話とか。いろいろ面白いですよ」

僕はその他にもいろいろ本を持ってきていたのだが、
小さい頃読んだ「もっとたくさんの怖いお話」という本の中にある「窓際のベッド」という話が印象に残っていて、
非常に短いため、全体を聞いてもらった。

みなさん面白いと言ってくれたが、儀礼上そう言った可能性もあり、実際どう思ってもらえたのかよく分からなかった。

これは僕の人生で一番印象に残っているショートストーリーのひとつである。

照明が落とされ、ミラーボールが回り始めた。
ステージの上にメイドさんが二人立って、マイクを握って「これからじゃんけんゲームをします!」と
勝った人は記念コインがもらえるらしい。

じゃんけんの手を出す前に振り付けがあるらしく、ステージに立って実演してくれる。

「まずは両手を合わせて輪を作ります。これが@ほ~むカフェの、@のマークです」

オリジナル振り付け。

「さらに、こうやって猫耳を作りながら、掛け声は、『萌え、萌え』です!」

「萌え! 萌え!」

客たちが練習する。

「それじゃ、行きますよ!」

我々も童心に返った気持ちで猫耳を作り、『萌え、萌え』とポーズを取る。

「じゃんけんぽん!」

yuko嬢だけ予選を勝ち抜き、決勝でステージに立ったのだが、あえなく他の客に敗れて、すごすご帰ってきた。
だが、メイドさんたちに囲まれて舞台に立ったその姿はなかなか堂々としたものであった。

店は90分交代制である。やがてメイドさんが来て、丁寧に僕らを追い出そうとする。

「そろそろおでかけの時間です」

名残惜しみつつ、店を出た。

読書会と言いつつ、お喋りばかりしていて、自分の好きな本を紹介するだけの会になってしまった。
だが、面白い本をいろいろ見せてもらえたのは良かった。

熱烈に多弁な面々の中にあって、玄米嬢は自分の本を出すタイミングを逃してしまっていた。
あとで聞いてみたところ、エドガー・アラン・ポーの「盗まれた手紙」という本を持ってきていたらしい。

「若い人と話せて面白かったよ」とぶうじいが気前よく全員分の代金をおごってくれた。

もう一軒、別のメイド喫茶に行こうかとも思ったが、その時点ですでに21:45になっていて、
メイド喫茶はだいたい22:00閉店ということで、普通の喫茶店に入り、さらにお喋りした。

「この前、ゼミでPodCastingの普及策を考えるというのがあって」とAz嬢。
彼女のグループは「携帯型の恋人」という案を出したという。

「こうやって画面上に女の子の映像が表示されて。『光香、お散歩行きたいな』。街を歩いてる時に、『あー、光香、カフェオレ飲みたいなー』とか言って、『それじゃ、飲むか。カフェオレ、二杯ください』とか」
「デート気分を味わえると」

プログラムのくせに、すごい主体的な女の子であるところがポイントか。
「山歩きの好きな女の子」とかを買ってくると、減量効果があるとか。

「そういうのって、男性が持っていても違和感ないけど、女性が持っていたらすごく奇妙な感じしますよね。なぜだろう」というのが僕の疑問。
男性の方が妄想好きということだろうか。

yuko嬢の弟は妹系カフェにはまっているらしい。

「妹系カフェならいいですけど、お姉さん系カフェにはまっていたりしたら、姉としては気持ち悪くないですか?」
「どうでしょう?」

僕には妹がいるので、僕が妹系カフェにはまったりしたら、妹としてはすごく気持ち悪いのではないかと思う。

「妹がいる人は妹系カフェにはまらないんですよ」と小関。
それはあるかも知れない。

「付き人カフェとか、どうですか。力士が付き添ってくれるの」と、相撲ファンのサコ。

「教授カフェとか」と小関。
「教授がお茶注いでくれるの?」
「いや、教授になった気分を味わえるという。学生に『君、論文は書いているのかね』と言えるとか」
「マニアックだな」
「それじゃ、サラリーマン向けのは秘書カフェというのは?」
「ノートPCを持ち込んだりしたら、仕事がはかどるかも知れない」
「池袋には、ひつじカフェがあるらしいですよ」とC嬢。
「ひつじカフェ?」
「ええ。ひつじカフェ」
「ひょっとして、執事カフェですか?」
「そうです。ひつじカフェ」
「Cさん、東京の出身?」
「ええ。中野とか練馬を転々としてましたけど」

生粋の東京人は本当に「ひ」と「し」の区別ができないのだなと、ちょっと感心した。
僕もサコもただよしも、東京出身とは言っても西の外れ、三多摩の生まれである。
「三多摩は戦前は神奈川でしたから」とサコが補足。そうだったのか。

その他、「こんなカフェがあったらいい」という夢を語り、議論は深夜まで及んだ。


小関による報告

Posted by taro at 23:40 | Comments (10)

2006年05月19日

メイドカフェで読書会しませんか。

京都でも大阪でもメイドカフェに行ってみましたが、
内装があまり凝っていなくて、
ただの喫茶店にメイドがいるという感じで、
満足のできるものではありませんでした。

そこで、ブームが去ってしまう前に、本場・秋葉原でメイドカフェに行き、
しかもただ行くだけではなく、
メイドたちに囲まれながら、
じっくり読書をしたいのですが、
どなたか一緒に行きませんか。

6月7日-8日、および6月13日-14日あたりに東京に行く予定なので、そのあたりの夕方、
お時間のある方いらっしゃいましたら、ご連絡ください。

Posted by taro at 18:44 | Comments (7)

2006年05月03日

パソナの地下農場見学

東京のオフィス街の地下に、農場がある。
人工的な光を当てて、米や野菜を栽培しているとか。

人材派遣会社のパソナが農業分野への人材派遣を目指し、
多くの人に農業に親しみを持ってもらうことを目的として、
体験農場というのを運営しているのである。

都市における就職難と農村における人材不足を共に解決してしまうという、大変興味深い目標だと思う。

ぜひ行ってみたいと思い、ブログなどで宣伝してみたところ、興味を持ってくれる人が案外多く、
四月下旬のある日、連れ立って見学することになった。

パソナ地下農場があるのは大手町野村ビルの地下二階。
大手町は日本経済の中心であり、地下鉄が五路線交わるという、
東京以外ではちょっと考えられない場所なのだが、
例のごとく僕は全然間違った出口から出てしまい、待ち合わせ時刻にしっかり遅刻した。

大通りに沿って有名な企業の本社ビルがこれでもかというほど並んでいる。
まだ終業時刻前ということもあり、オフィス街には凛とした雰囲気が漂う。

待ち合わせ場所のビルの前で、スーツ姿のAz嬢が街の風景にとけ込んでいた。
学生だが妙に大人っぽく落ち着いたオーラの漂う彼女、
昔は日経でバイトしていて、今はパソナに紹介してもらった証券会社で働いているとか。
就職したらすごく仕事とかできそうな感じの女性である。

ビルの角の反対側に回ると、yuko嬢も待っていた。
ウェブ制作の会社を経営している彼女、とても愛嬌のある人で、経営者にはとても見えないのだが、
6、7人でやっているという彼女の会社で作られたウェブページはなかなかのクオリティである。経営にはむしろ愛嬌が必要なのかも知れない。
学生の頃は音大で声楽をやっていたとかで、不思議な経歴の人。

さらに、東工大で地球環境を研究されているK先生が研究者風のラフな格好でやってきた。
「久しぶりだねー」と気さくに話しかけてくださるK先生は、
僕が学生の頃、同じ専攻で助手をされていた。現在は講師。

仕事帰りだがカジュアルな服装で現れたエヌは、厚生労働省に勤める国家公務員。
学部の頃からの友人で、ブログを見たといって久々に連絡をくれ、来てくれたのだ。

最後にやってきたriri嬢は駆け出しの写真家で、非常にエネルギッシュでモチベーションの高い人。

あとひとり、8年ぶりに会う知人のしんご氏がまだ来ていないが、彼はかなり気の置けない人なので、
たぶん僕らが先に行ってしまってもふらりと合流してくれそうであり、さっさと先に行くことにする。

一階のロビーはまるごとパソナが所有している。

受付で予約していることを告げると、ぴしっとスーツ姿で決めたお姉さんが我々をロビー奥に連れて行き、
パソナ紹介コーナーで企業理念などを説明しはじめた。

「人材派遣を通して新たな雇用インフラを構築し、社会に貢献していくことが創業時からの理念であり……」

長くなるのかと思いきや、案外手短に終わり、

「では、これから地下農場をご覧ください」

連れられてぞろぞろとエレベータに向かう。

「このビルは以前、銀行の本社ビルでした。その地下二階は金庫だったのですが、それを改装して農場にしています」とお姉さん。

地下二階に降りた。いよいよ大手町唯一の農園を見学である。

意外なことに、白い壁と木目調の床が調和したお洒落で清潔な部屋だ。
農場というより、カフェを思わせる。
木製の椅子とテーブルが並べられ、そのまま紅茶を出せそうな雰囲気。

実際のところ、このエリアはパソナの社員食堂も兼ねているのだそうだ。
僕の中での「社員食堂」のイメージと比べると格段にお洒落であるが、最近はこういうのが多いのだろうか。

「カメラ持ってきた?」とririに尋ねると、「ごめん、忘れた」
写真家のくせに何を考えているのだ。
僕はひとり、ぱちぱち写真を撮り始める。

白い柱の間から緑が顔をのぞかせている。
農場はいくつかの部屋に区分されているようである。

受付のような小さなテーブルの横にいたスーツ姿の女性が「ご見学ですか?」と訊いてきた。
「あ、はい」
「あとで係が説明しますので、とりあえず、ご自由に見てまわっていてください」

壁にいろいろポスターが貼られていて、活動の内容が紹介されている。

十分ほど遅れて、しんご氏が合流した。
会うのは8年ぶりである。
デイトレーダーという言葉が広まる前からデイトレーダーをやっていた彼。
今では人の財産も含めて、かなりの金を動かしている人である。

しばらくすると、奥から青いデニムのシャツにバンダナを巻いた女の子が出てきて、挨拶した。

「こんにちは」

快活な感じの女の子で、笑うとかわいらしい。
この農場でスタッフとして働いているとのこと。農場内を案内してくれるという。
毎日地下二階で生活しているとはとても思えないほど、健康的な感じである。

スーツ姿のお姉さんに案内されるのかと思っていたのだが、こちらの方がずっといい。
ちょっと雰囲気が出てきた。
コスプレは大切である。

「それじゃ、まずはこちらへ」

柱の間を抜けて、花卉を栽培している部屋に通された。

天井には無数の発光ダイオードが張り巡らされているが、その中にいくつか、強い光を放つランプ。

「メタルハライドのランプと、発光ダイオードで育てています」

咲き乱れる花壇。
外から運び込まれたのではなく、ここで種から育ったというのがポイントである。

中央には、周囲よりひときわ高いひまわり。

「このひまわりはもっと背が高くなる品種なんですけど、若干高さを抑えています」

それでも天井に触れんばかりだ。

太陽の方向に首をまわした経験のないひまわり。

同じ部屋の一角でトマトの苗が育てられていた。
三つの台のそれぞれに、赤、緑、赤と緑の混合の光を当てている。

「赤い光は植物の生長を早めるのですが、葉が厚くならない。逆に、緑の光を当てるとしっかりとした葉を作るようになるんです。真ん中のは、両方の光を当てています」

実験というより、どちらかというとオブジェだ。
現代アート。

部屋の奥にはガラス越しに、二つの台が並べられている。

「こちらのトマトには、レーザー光を当てています」と、さらりと説明する。

レーザーポインターでお馴染みのチカチカした赤い光が真上からトマトの葉を照らしている。

レーザーで育てたトマトなんて、何とも不思議な響きだ。
バンダナを巻いた健康優良児的な女の子がそれを説明するから、なおさら奇妙。

これもアートか。

「赤のレーザーダイオードで育てる方が、通常の赤い光を当てるより良く育ったんです」と説明してくれる。

これ、本当なのだろうか。
よく知られている現象なのですかと聞いてみると、別に誰かの研究を参考にしたというわけではなくて、試しにやってみたら、成長が速かったとのこと。
はたして再現性はあるのだろうか。もっと実験してもらいたいところである。

隣はハーブの部屋。さきほどの部屋より若干照明が暗い。

「ハーブというのは元々雑草の仲間なので、薄暗い所でよく育つんです。だから、この部屋も少し薄暗くしています」

いい匂いが漂っている。添えられたカードに、スペアミントなどと書かれている。

さらに、隣の部屋が水田になっている。
本当に、水田であった。予想していたより小さいけど。

四畳半ほどのスペースが二つ設けられ、それぞれ深さ十センチほどまで水が張られている。
かなり狭い部屋なのだと思うが、二面が鏡張りにされているせいか、若干広く見える。

「米は年に三回収穫しています」

ベトナム人もびっくりの収穫率である。
室内の気温をコントロールすればいいだけだから、当然といえば当然だが。

「でも、実のなっていない稲穂も多いんです。なかなか難しくて……」

片方の水田には、底に土でなくセラミックスボールというのが敷き詰めてある。
砂利を大きくしたような、小さな粒々。
液肥の流れがよくなるので、根腐れを防ぐ働きがあるのだという。
触ってみると、軽くてすぐに浮き上がってしまう。
お茶漬けに入れた“あられ”のような感じ。
こんなものが土の代わりになるというのは面白い。

さらによく見てみると、稲の茎に米粒くらいの小さな貝がくっついている。

「タニシですか?」
「ええ。以前、水面を覆うくらい藻が大量発生してしまったんですけど、タニシがつくようになってから、それが無くなって。だから残すようにしているんです」

タニシは漢字で書くと「田螺」。昔から田と共に生きてきた生物なのだろう。

「ここの稲の葉は柔らかいな」稲に触れながら、K先生が言う。「UVを当てていないから、クチクラ層が発達していないのかも。菌とか虫のことが心配になるけどね」
怪訝そうな顔をしているスタッフの女の子に説明する。
「元々、農学をやっておられた先生なんです」
「なるほど」
女の子は若干納得した様子。

「ここのCO2濃度はどれくらいですか?」とK先生が訊く。
「計測していないので分かりません」
「コントロールしているんですかね?」
「いや、普通のビルの換気だけです。調整したら、もっとよく育つのかも知れませんが……」

なんだか、大学の研究会での質疑応答みたいになっている。
K先生、血が騒いでいる感じだ。女の子はいくらか緊張した様子で答えている。

「K先生、今日は計測装置を持って来なかったんですか」と僕が口を挟むと、
「しまった。持ってくれば良かった。いろいろ“武器”を持っていたのに」

K先生は農学部の出身であり、現在は地球温暖化を研究している。
温暖化ガスのひとつであるCO2は専門中の専門である。

「これだけ植物があると、CO2濃度は低くなるんですかね?」と僕。
「いや。そうとは言い切れない。人もたくさん出入りしているから。どっちが勝ってるか……」

Az嬢は時折、思い出したようにメモを取っている。

「何に一番お金がかかりますか。光ですか」とK先生。
「空調も結構かかりますね」
「この環境だと、一番安い温度は何度なんですか」
「それは分かりません……。ただ、光量は多いほど良いと言われてるんですけど、ここは地上の太陽光の五分の一。設備の関係でそれ以上できないんです」
「なるほど。光はどういうサイクルで当ててるんですか」
「朝9時に点灯、午後10時に消灯しています」

少しだけお寝坊さんであり、夜更かしさんである。

水田部屋を出て、ガラスで仕切られた部屋に移動する。
なるたけたくさんの種類の植物を栽培するためか、ひとつひとつの部屋は狭い。

この部屋では何段重ねにもなったプランターが天井まで積み上げられている。

「ホウレンソウは50日で収穫できます。社員食堂でサラダ菜として出しているんです」
「ほう」
「だけど、コストパフォーマンスはまったく度外視で。テナント代も計算に入れると、葉っぱ一枚あたり1000円になるんです」

なにしろ大手町の地下である。日本で二番目くらいに土地の高い場所ではないのか。

「一株あたり、1万円のサラダ菜です」

パソナの社員になれば、そんなサラダ菜が毎日食べられるらしい。

「サラダ菜以外は観賞用です。安定して作れないので……」

それでもたまに囓ってみたりすることはあるらしい。トマトは非常に甘くておいしかったとか。

隣の部屋には何種類もの野菜が小さなプランターに分けられて少しずつ植えられていた。

「よく育つのはどれか、調べているところです」
「どれが一番よく育ちましたか」
「今のところ、唐辛子ですね」
「へー。意外だな」とK先生。
「どうしてですか」
「だってさ、なぜ唐辛子が辛いかというと……」

K先生の説明によれば、植物は害虫などから身を守るために刺激物を蓄えるのであって、
虫のほとんどいない地下農場でも刺激物がちゃんと作れるということに感心したのだという。
つまり、虫に噛まれるという刺激がなくても辛み成分が作られるということである。

続いて、トマトの部屋に入った。
壁一面にアルミホイルが貼られ、反射によってものすごく明るい。

「なぜこんなにアルミホイルを?」
「立体的に育てようとしているので、全方向から光が当たるようにしたいんです」

そういうものなのか。

トマトを植えた土台の部分はそのままオフィスの一角に置けそうなくらい清潔だが、元々は水耕栽培の専業メーカーが作っているキットらしい。
つまり、実際に屋内栽培で使われてきた装置なのだが、それを汚さないように注意しながら置いているという感じである。

「下から光を当て続けた時、植物がどういう風に育つかっていう研究は、簡単そうだけど、まだ誰もやったことが無いんじゃないかなぁ」K先生がつぶやく。「単なる冗談の研究で終わってしまうかも知れないけどね」

トマト部屋の片隅には茄子とパプリカが植えられていた。
「ちゃんと育つか、様子を見ているところです」
「何が一番手間がかかりますか」
「稲ですね」
女の子は断言した。
米は労働集約型の作物なのだ。狭い土地に大量の労働力を投入することで、その人口をまかなうだけのカロリーを作り出す。
日本やアジアの人口密度が世界的に見て異様に高いのは、米のおかげである。

「稲はちょっとした変化で成長の速度が変わるんです。少し目を離していただけで、弱くなってしまったりとか」
「温室育ちなんですね」
「ええ。サラダ菜とかは安定しているんです」
「もし虫がついたらどうするんですか」
「手で取ったり。増えすぎた時は、お薬使ったり」
「こんなとこで農薬使ったら大変ですよね。散布だけですか」
「いや、燻煙もします」
「ここで??」
「閉館している時に」

密閉された空間だけに、燻煙の巡りは良いかも知れない。
しかし、オフィスの上の階で会社員たちが残業している時、地下二階の水田で燻煙が行われているというのはなかなか興味深い光景だと思う。

ちなにみにこの農場では、稲の受粉までスタッフが行っているとのことである。
結構、仕事は多そうだ。

何か質問ありますか、と女の子が訊く。

「どんな人が良く見に来るんですか?」
「以前は中高年の人が多かったけど、最近は若い人も。修学旅行でたくさん来たりとか。マスコミの人もよく来ますよ。この前はCanCamのモデルの子が来ていて。こうやって、片脚を上げて写真撮ってました」

と、CanCam風に片脚を若干後方に上げる。
農業とCanCamのモデル。お洒落な組み合わせである。

「今までに何人くらい、派遣されたんですか」とエヌが訊く。

実はエヌ、厚生労働省では派遣業を管轄する部署にいる。
派遣会社が違法なことを行っていないかチェックするのが仕事である。
もちろん、今日はプライベートな興味で来ているわけだが。

ところがエヌの質問に対してスタッフの女の子は首を振り、
「まだ、派遣というのはやっていないんです。今後、農業への人材派遣プロジェクトを進めていくにあたって、まずは、農家さんとの繋がりを作るために、紹介するという段階なんです」
「え。それじゃ、今はどういう形態の契約にしてるんですか」
「農家と個人で契約してもらっていて。まだ手探りの状態なんです。就農希望者に直接秋田とかに行ってもらって……」
「いきなり行かせるんですか??」
「ええ」

契約期間は半年だという。いきなり秋田に行きましょうとか言われても、ためらう人が多いのではないか。

「合わなくて帰ってくる人もいます」と女の子。
「応募人数はどれくらいあるんですか」
「毎年、40人から50人くらいです。年に一回、募集するのですけど」
「応募者の男女比は?」
「男性の方が多いです」
「ということは、女性もいる」
「はい」

世の中には案外度胸のある人が多いのかも知れない。

「なーんだ。ここで訓練するわけじゃないのか」としんご氏。
「ここは啓発活動を行う場所ですよ」
「でもさ、こんなところで農業に対するイメージ持ってさ。いきなり秋田とかの農村に行って六ヶ月働いたりしたら。正直大変なんじゃないの」

歯に衣着せぬ言い方をする。
実際、ここは一種のエンターテイメントと思うのが正解であろう。
啓発活動。
農業訓練には、ちょっとお洒落すぎる空間だと思う。
都心の農業エンターテイメント。
それ自体が良いコンセプトだとは思うが。

「ここは何人で管理してるんですか?」
「6名です」
「休みは取れるんですか?」
「ええ。週五日間働いて。週末は交代で世話をしています」

休日は放っておけばいいというものでもないようである。植物は生き物なのだ。

「どういう経緯で始めた人が多いんですかね?」
「一回目のインターンで秋田に行って、気に入って残った者がほとんどです。あとは、農大の出身の人とか。私は違うんですけど……」
「というと、ご自身は?」
「私は最初、パソナのグループ会社に登録していたんですけど、誘われてこっちに来ました。元々、園芸が好きだったというのもあって……」

彼女、かなり似合っていると思う。スカウトされたんじゃないか。
僕らに質問攻めにされても嫌な顔ひとつ見せず、最後までにこにこしていた。

「では、サラダ菜をご用意しましたので」

カフェエリアの一角、白いテーブルクロスを敷いたテーブルに案内された。
一株一万円のホウレンソウである。

「ドレッシングがうまいよ」と言いながら、3000円目に手をつけるしんご氏。

僕も5000円分くらい食べた。

カフェエリアの天井からは青々とした葉が垂れ下がっている。それを見上げていたしんご氏がつぶやく。

「これ、地下鉄の天井がこういう風になっていたら、絶対いいよね」
「つり革じゃなくて、枝につかまったりとか?」
「そうそう」

たまにそういう車両があっても面白いかも知れない。

もう少し別の側面から今回の見学を考えてみたいと思って、エヌに訊いてみた。

「派遣会社って、悪いこともいろいろしてるの?」
「いやー、本省には悪い情報しか上がってこないからねー」

と言ってぼやかす。
それでも厚労省は、パソナの活動に良い意味で非常に注目しているのだそうだ。

「このプロジェクト、とても意義があると思うんだよな」と僕も言ってみる。「昔、茶農家でバイトしていたことがあってさ。どこの農家でも人が足りないから、学生相談所や情報誌でバイトを募集して、農家に派遣するというのをやっていたんだけど」今から六年ほど前の話である。「農家での仕事、気に入る人はすごく気に入ってくれるんだよね。今まで親の年金で生活していたような人が、農家ではすごく受けが良かったりして。『あの彼、今年も来てもらえませんか』とか、指名されてんの。人は場所によって輝くということだよね」

「ちょっと似てる話があって……」とririが口を挟む。「京大の理学部にいたQさん、知ってるでしょ。大学出たあと、ずっとパチスロで生活していたのだけど。うちの蔵ではサツマイモの収穫の時期にものすごく人手がいるから、彼にも声をかけてみたの。そしたら鹿児島まで来てくれて」

ririの実家は鹿児島にある焼酎の蔵元なのである。

「そしたら彼、その仕事を相当気に入ってしまったみたいで。そのままずっと、一年以上働いているんだよ」

今ではriri以上に実家に溶け込んでしまっているとか。

いろんな生き方があるものである。

そんな多様な生き方を考えるためのひとつの場所として、地下農場もまた、有意義で面白い活動だと思うのである。

地下農場を出た後、八重洲口の料理店に行って皆で夕食。

個性的な面々のため、会話が非常に弾んで面白かった。


しんご氏による報告

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2006年03月31日

脳波を自分でコントロールするための装置、BrainMaster

友人Yが脳波の計測装置を買った。

BrainMasterといって、アメリカでADD(注意力障害)の治療に使われている装置らしい。

20万円したそうだ。

さすが、元会社経営者は金の使いっぷりが違う。

アメリカではADDの治療がかなり一般的に行われているようで、そのための装置が何社からか発売されている。
ADDの患者は注意力が散漫であり、ひとつのことに集中できない。
治療方法はいろいろ考えられているようだが、今回Yが購入した装置は患者に自分の脳波を見せることで、
集中できている状態へ意識を向ける訓練をするという仕組み。
ニューロフィードバックといって、ひとむかし前に流行した手法らしい。

我々はおそらくADDではないが、自己の脳波の限界に挑戦するため、今回の実験を企画した。

実験はYの自宅で行うことになった。
車で駅まで迎えに来てくれたY。頭をバリカンで刈って坊主にしている。

「電極を付けやすくするためやで」とのこと。

かなり気合いが入っている。

アメリカから海を越えて送られてきた段ボール箱には、ソフトウェア・説明書・ビデオ・電極・それを貼り付けるための糊・頭皮を剥がすための砂入りのジェル、などなどが入っている。
説明書はものすごく分厚いが、とりあえず付属のビデオを見ることにする。

ビデオの中で、髭を蓄えた中年のおじさんが4才くらいの子供に、

「さぁ、飛行機がぐんぐん上にあがるように意識してごらん!」

などと指導している。脳波の特定の成分が増えると飛行機が上がるようになっている。
脳で直接コントロールするゲーム。
まさに未来のゲームである。

ADDの子供たちは、ゲームを通して自分たちの脳波をコントロールすることを憶えることができる。

さっそく、我々も準備に取りかかった。

BrainMasterはWindows上で動くシステムである。インストールは簡単。
画面にたくさんのウィンドウが立ち上がった。

あとは頭に電極をたくさん繋ぐだけ。

脳波計測の世界では頭皮上には電極を付ける場所というのが決まっていて、それぞれに名前が付いている。
頭頂はCZ。CはCenterのCである。その左右にC3やC4といったポイントがある。
前頭部はF、後頭部はP、側頭部はTという略号で表されていて、それぞれに3つずつくらい付ける場所がある。
正確な場所を同定するのがなかなか難しいので、マークを付けた帽子というのもある。

脳の機能には局在性があるため、
電極をどこに付けるかによって、取得される情報が異なるのである。
我々が購入した装置はADDの治療が目的なので、
運動野・感覚野が存在する頭頂葉に付けるようにと推奨されている。
別の場所に付けたら別の情報が取れるのかも知れないが、とりあえずその指示に従う。

砂入りジェルを頭頂につけ、ごりごりこすって表皮をはがした上で、
導電性ジェルを塗った電極を頭皮にくっつける。

ケーブルでノートPCに繋げ、解析を開始した。

それらしき画面が立ち上がった。
グラフがたくさん揺れ動いている。
異なる周波数成分ごとに、その量が表示されている。
僕の脳から漏れ出た情報がノートPCに送られているのだ。

波長の短いものから順に、δ波、θ波、β波、…、と名前が付けられている。
特に、β波がlow beta, beta, high betaという三つに分かれている。
説明ビデオではlow betaのことを特にSensory Motor Rhythmという名称で呼んでいて、
その量を増やすことを重要視しているらしい。
ADDと関連の深い脳波なのだろう。

各成分に対して目標値を設定し、それに向けて増やしたり減らしたりすることで、
トレーニングを行うことができる。

ゲームの画面では、飛行機の高さや地面の高さを特定の成分と結びつけ、
欲しいものが増え、要らないものが減った時に、飛行機が高く飛ぶようになっている。

僕の飛行機はうまく飛ばない。
目標値を高く設定しすぎたのか、脳波が少なすぎるのか。
脳波が少ないとどういう問題があるのかよく分からない。

Nintendo DSの「右脳を鍛えるゲーム」というのを渡された。

「これで実験してみ」

最近、中高年の間ですごく流行しているゲームらしい。
電子手帳のようなパッドにペンで入力し、暗算していく。

計算している時は、たしかに全体的に振幅が大きくなっている。

これならたしかに脳は鍛えられているかも知れない。

また、僕の場合、メモを書いていいる時の活性化ぶりはすごい。
頭を使っているのだ。

Yが突然、僕の目の前で手をぱんと叩いた。

その瞬間、少し大きな波が出た。
脳もびっくりしている。

いろいろ試しているうちに、脳波の量を大きく増やす要因がひとつ見つかった。
目を動かすと、δ波がたくさん出るのである。
さらに、顔の筋肉を大きく動かした時は、あらゆる成分が多く増加する。
筋電だろうか。
あるいは、運動野の一次運動ニューロンから出ている脳波か。

意識の集中と関連する脳波を取るためには、なるたけ体を動かさない状態で実験を行わなくてはならないということだ。
メモを取った時に脳波が多く出たのも、それが原因だったのかも知れない。

大学で認知科学を研究している友人から以前聞いた話によると、
こんな安価な装置では実験は行えないとのこと。
だが、全体的な傾向くらいは読み取れるのではないかというのが我々の楽観的な見方である。

今回の実験、自分たちの脳波を見るだけにとどまらない。

友人Yは最近、クリーブ・バクスターさんという人が書いた
「植物は気づいている」という本にはまっていて、植物と通信できると本気で信じている。

その本の中で主張されている植物との会話をどうしても試してみたいという。
それが脳波計測装置を買ったひとつの理由らしい。

バクスターさんは元々は嘘発見機の専門家で、
FBIの捜査官に研修を行うほどの有名人だったそうだが、
ある日、何を思ったか嘘発見器をオフィスにあった観葉植物のドラセナにつなげてみたところ、
まるで実験者の心に応えているかのように針が震え、
こちらの動作に応じて電位が変化したという。

その後、バクスターさんはヨーグルトにも電極を繋ぎ、
微生物との通信にも成功したという。

その本にえらく感銘を受けたY、ぜひ追実験をしてみたいという。

ホームセンターまで出かけて買ってきたドラセナをBrainMasterに繋ぐ。

脳などあるわけないのだが、はたして脳波が取れるのだろうか。

反応は、無し。

ドラセナの葉を火で燃やしたり包丁で刺したりして通信を試みたが、それでも反応はない。

ところが面白いことに、植木鉢に水をやった途端、電位が大きく変化したのである。

あまりにもはっきりとした変化に、僕もちょっと驚く。
水を吸い上げたことによって、内部での周期的生理現象に変化が生じたのだろうか。

夕食の後、蓄積された結果を見てみると、時折、グラフがぴんと立ち上がる時がある。
データを解析して、その時刻を調べるY。

「一時間前ゆうたら……。俺らが部屋に戻ってきた時や!」

興奮したように言う。

「反応しとる、しとる」

植物と会話できることを確信して、おおいに喜ぶY。

その晩はドラセナに電極を付けたまま就寝した。

翌朝、一晩かけて蓄積された結果をグラフ化して、Yは声を上げる。

「見てみぃ。こんなに反応が出とるで」

たしかに、ある時刻を区切りとして、すべての成分が増加している。

さらに夜中にも一度だけ、謎の低周波成分が出ている。

原因は分からない。地震でもあったのか。

その後、ネットで調べてみたところ、植物に水をやった途端に電位が変化するのは、よく知られている現象のようである。
愛知万博でもそういう展示があったらしい。

植物の健康状態を計測装置でモニターするくらいのことは、将来的には行われるのだろうか。

Posted by taro at 22:10 | Comments (8)

2006年03月06日

スロヴェニア料理を食べてきた。

週末、京都の丸太町天神川でスロヴェニア料理を食べてきた。

よく一緒に食事会している皆さんに、少し人数が増えた集まりである。
hiroponさん、mihoさん、kogeさん、M方さん、玄米さんうさこさん、T村さん。

スロヴェニアというのは旧ユーゴスラビアを構成していた国のひとつで、
アルプスと地中海に面し、自然豊かな国だそうだ。

お店はピカポロンツァといって、日本で唯一のスロヴェニア料理の店らしい。
スロヴェニアから来た旦那さんと、日本人の奥さんが二人でやっている、
こじんまりとした家庭的な店である。

料理はおいしい。
にんじんを牛肉でくるんでワイン風味のソースをかけた料理が特にうまかった。

スロヴェニア料理のひとつの特徴は、蕎麦を使うことである。
もちろん、麺ではなくて、穀物としての蕎麦。
土地が痩せていたため、蕎麦しか育たない場所が多かったらしい。

店の奥さんによると、
蕎麦が無ければスロヴェニア人は生き残れなかった、
と言われているとか。

蕎麦を使ったケーキなど、独特である。

ワインがおいしく、ボトルを三本あけたのだが、
それぞれが個性的で味がまったく違うため、
飽きることなくいつも以上に飲んでしまった。

かなりいろいろな話をして、盛り上がった。

雑談する中で、いくつか企画の案が出てきた。検討していきたい。


1. 青い料理ばかり食べさせる「青い料理の店」を見つけて、食べに行く。

kogeさんによると、青は食欲を削ぐ色らしい。

実際、青い食べ物は少ない。
赤いご飯や黒いご飯はあるが、青いご飯は無い。
加工食品でも、鮮やかな青は滅多にない。
鮮やかな赤や緑ならいくらでもあるのに……。

例外は冷やされている場合で、ブルーハワイやブルーペプシなどが挙げられる。

青い食べ物は気持ち悪く感じる人が多いらしい。

それを逆手に取って、青い料理ばかり集めたお店がどこかにあるのではないか。

そんな店を探して、行ってみようという企画。


2. 「日めくりロシュフコー」というサイトを作る。

僕はラ・ロシュフコー箴言集という皮肉っぽい警句ばかり集めた本が好きで、
ぜひ、「日めくりロシュフコー」というサービスを作りたいと考えている。

ブラウザからアクセスすると、毎日違う警句が表示される、というだけのシステム。

問題は著作権で、原作者のロシュフコー氏は十七世紀の人なので問題ないのだが、
日本語訳を使うとなると、翻訳の著作権がまだ切れていないと思われる。

そこで、フランス語の原書を買ってきて、
自分たちの手で訳してしまおう、という方法を考えた。

フランス語の勉強としても面白いと思うのだが。

たぶんそのうち、そういう会を開くと思います。


ピカポロンツァ

うさこさんによる報告

玄米さんによる報告

kogeさんによる報告

Posted by taro at 22:08 | Comments (7)

2005年08月21日

真っ暗闇の中を散歩し、バーで酒を飲む「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」

光を完全に遮った室内に入り、聴覚や触覚だけを頼りに歩き、
視覚に依存した日常生活を離れ、他者や自己との新しい対話を模索する。
ドイツで考案され、現在、世界中に広がっているダイアログ・イン・ザ・ダークという活動。

視覚障害者の子供と一緒に参加し、自分の子供に優れた能力が備わっていることが分かったと喜んでいる母親がいるとか。
暗闇の中で助け合うことで参加者同士の結束が強まるため、企業の研修に使われているとか。

昔から非常に興味を持っていたのですが、この夏、神戸で行われるというのを知りました。一週間ほどの開催です。
これはぜひとも参加したい。

研究室で秘書をしていたつのさんが興味を持ってくれたので、一緒に行ってきました。

会場はポートアイランドにあるジーベックというイベントホール。

一時間ほどのワークショップが一日十回程度行われるそうですが、
参加者が多すぎると収拾つかなくなるため、一回あたり七名までに制限されています。
決められた時間に行けばよいため、会場はかなり静かです。

受付で揃いの黒シャツを着たおじさんとお姉さんたちが迎えてくれます。
シャツには暗闇に驚いている人の絵が描かれていて、スタッフ用のようです。

開始時刻の15分前に集まってくださいと言われ、大ホールらしき部屋の扉前に集合しました。

ぼくとつのさんを含めて七名の参加者が集まり、スタッフの若いお兄さんたちから説明を受けます。

まずは白い杖、白杖(はくじょう)の使い方から。

「立てた時にてっぺんが自分のみぞおちくらいに来る長さのものを選んでください。持ち方は、上から十センチくらいの場所で人差し指を添えて。左右に振る時は肩幅くらいの範囲で。振り回さないでくださいね……」

各自、自分の背丈にあった白杖を選びます。

「手探りをする時は、なるたけ手の甲を外側に向けてください。どうしてかというと、手の平がぶつかると、手の甲がぶつかった時より不快に感じてしまうんですね。だから、手の甲を外に向けてください」

なるほど。そんな工夫もあるのか。感心します。

「光るものは持ち込まないでください。携帯も電源を完全にオフしてください。音を切っていても、点滅したりしますんで。場内での撮影・録音も禁止です」

真っ暗闇の中で撮影しても何も映らないと思うのですが。それとも赤外線カメラとか持ち込んだりする人がいるのでしょうか。

ひととおり注意事項を聞いた上で、「前室」に案内されます。
会場を完全に真っ暗にするために、途中に部屋を設けているのです。

「ここで目を慣らしてください」

スタッフのお兄さんに言われましたが、目が慣れても何も見えないという気が。

前室に入ったところで、アテンダントの人を紹介されます。
アテンダントというのは、真っ暗闇の会場内を案内してくれる、目の不自由な人です。
もちろん、真っ暗闇の中ではぼくらの方が不自由なわけですが。
これはダイアログ・イン・ザ・ダークの重要な特徴のひとつです。

照明が薄暗いため、壁際に立っているアテンダントの人の足のあたりは見えますが、顔のあたりは見えません。

七人が入ったところで、明るい声で挨拶されました。

「こんにちわ!」

若い男性の声です。

「H口と言います。どうかよろしくお願いします!」

はきはきしていて、頼りになる感じ。NHKの歌のお兄さん的な喋り方です。

「皆さんのお名前を聞かせてもらえますか」

「Sです」「Yです」「Uです」「Nです」「その母です」「つのです」「てづかです」

Nさんは、お母さんと高校生の息子さんがふたりで参加。
それ以外の女性三人は友達同士みたいです。

会場内での注意点について、H口さんが補足説明をしてくれます。

「ぶつかった時とか、『すいません、○○です』と自分の名前を言うようにしていただくと、早く名前を憶えられます」

なるほど。もう長いこと行われている活動だけあって、いろいろ工夫があります。

「何か面白いもの見つかったら、他の人にも報告してくださいね。迷ってしまった時には、ぼくを呼んでくれたら救出に向かいますんで……」

オーバーな表現に参加者一同、苦笑します。

ひととおり説明は終わったのですが、前のグループがつかえているようで、まだ中に入れません。

「H口、何かトークしろよ」

スタッフのお兄さんがけしかけます。話し方からすると、友達みたいな関係のようです。
H口さん、あまりトーク慣れしていないのか、たどたどしく付け加えました。

「えっと……。Nさんは高校生って仰ってましたけど、自分と同世代を案内するのは初めてなんで、ちょっと緊張しています」

え? H口さん、高校生?
声の感じではとても落ち着いて聞こえるんですが。
「嘘です。実は四十代です」とか言われても驚きはしないほどの落ち着きっぷりです。

前のグループが無事に先に進んだという連絡が入りました。
いよいよ出発です。
「H口、がんばってこいよ!」と、スタッフのお兄さんが声を掛けます。
やはり、高校生くらいなのでしょうか。

「それでは、こっちに来てください」
おとなびたH口さんの声のする方向に足を進めると、目の前にカーテンが。
いや、目で見たわけではないので、鼻の前とか顔の前と表現した方が適切でしょう。

カーテンの隙間を抜けて、真っ暗な室内に入ります。

最初の部屋もそれなりに暗かったですが、こちらは完全に真っ暗です。
いくら手を顔に近づけても、指の形すら見えません。

そのくせ、天井がすごく高いというのが気配で分かります。
気配というのは不思議なものです。おそらく音の反響の仕方を感じ取っているのだと思いますが、
無意識的にそれが天井の高さに変換されてしまうあたりが脳の神秘です。

数歩進んだところで、手に葉っぱが当たりました。
木が植わっているようです。
ホールの中に自然に木が生えていることはありえないので、たぶん植木鉢に植わっているのでしょう。
葉っぱの匂いから、本物の木であることが分かります。

白杖の先の感触から推測するに、床には木片が敷き詰められているようです。
しゃがんで実際に触れてみると、たしかに木片です。
白杖、なかなかすぐれた分解能です。
頼りになります。拡張身体。

突然、鳥のさえずりが聞こえてきました。
その中に混じって、水の音が聞こえます。
鳥の声は録音っぽいですが、水の音は本物のようです。

「そこに水がありますんでね。触ってみてください」

H口さんに手を引いてもらって、水の音のする場所でしゃがみます。
湧き水のように、ちょろちょろ水が流れています。

暗闇の中で触れる水は、かなり水っぽかったです。

H口さんの声に従って、さらに暗闇の中を歩きます。

「橋があります。注意して渡ってください」

小さな橋です。ゆらゆら左右に揺れるように作られていますが、地面からの高さが3センチくらいなので、あまり怖くはありません。

全員が渡りきったと思われたところで、H口さんが声をかけます。

「皆さん、集まってください。無事に渡れましたか」
「はーい」
「全員いますね?」
「……」

少し間があってから、「はい」「はい」「はい」と声が上がります。
いちおう、七人いるようです。
近くにいることは分かりますが、気配だけでは方向までは分かりません。

「ちょっと遠くにおられる方もいますね」

H口さん、声だけで距離感もつかめることをアピール。
台本にそう書いてあるのかも知れませんが、あえてそんなことしなくても、
暗闇の中をすたすた案内してくれるH口さんのすごさはよく分かります。

白杖の先に当たる感触が変わりました。
今度は砂利が敷き詰められているようです。
しゃがんで、確認します。たしかに砂利です。

また木が生えていました。今度の木は樹皮が横方向にぺりぺりはがれるので、白樺ではないかと想像します。

もうひとつ橋を渡ります。

ふたたび、白杖の先の感触が変わりました。
今度は丸い小石です。
白杖で触れるこつんこつんと響いて、耳に心地よいです。
杖の先で感じる硬質な感覚が新鮮です。
木片や砂利とは全然違います。

ぼく、触覚の散歩を楽しんでるな、とふと思いました。

目の方はいつまでたっても暗闇に慣れません。
ほんの少しの光も入ってこない会場なので、慣れるわけがありません。
なんで人間は僅かな赤外線も見えないのでしょうか。
少しでも見えたら、暗闇に対する意識が格段に変わってくると思います。

ぼくは途中からTシャツを脱いで上半身裸になっていましたが、
たぶん、誰にも気付かれていなかったと思います。

さすがにぼくはしませんでしたが、全裸になっていても気付かれなかったのではないでしょうか。
そういうのが好きな方は、ぜひ挑戦してみてください。

「今から階段を上がります」

突然H口さんが言って、こつこつこつ、階段を上がっていく足音が響きます。

「上にあがりましたけど、分かりますか?」

H口さんの声が上から聞こえてきます。
暗闇の中でも、喋っている人がいる場所の高さがすぐに分かります。

「皆さんも気を付けて上がってください」

誰かこける人いないのかと心配になりましたが、登ってみると三段だけでした。さすがに安全最優先の設計です。

不意に、録音されている音声が流れてきました。

『ザワザワザワザワ……。白線の内側にお下がりください……』

駅構内のアナウンス。そして人のざわつき、
電車の入ってくるガタゴトという振動まで聞こえてきます。

目の見えない人が駅でどんな感覚なのか体験しようという試みでしょう。
たしかにこれはかなり不安になります。
実際に電車が勢いよくホームに入ってきたりしたら、ものすごく怖いのではないでしょうか。

白杖の先に、駅のホームにある黄色い線のでこぼこが触れます。
でこぼこの丸くなっている形まで指先で感じ取れます。
黄色い線の内側に下がりました。

H口さんが数メートル離れた場所で言いました。

「それじゃ、これから階段を下りますね」

ここ、結構危険でした。先を急いでいたら、階段から落ちている可能性もありました。
駅のホームでは慎重に行動しなくてはなりません。

階段を下りたH口さんが声を掛けてきます。

「下にいるのが分かりますか?」

これも、下から声をかけているというのが分かります。
人間の耳は音がどれくらいの高さから来たかを分解する能力が優れているようです。
耳が上下ではなく左右についていることを考えると、どうやって判定しているのか不思議に思いますが、耳たぶでの反響の仕方と関係があるのでしょうか。

全員が階段を降りきったところでH口さんが提案します。

「ブランコに乗りたい方はいますか?」
「はーい」
「はーい」

目の前に(顔の前に)ブランコがありました。

「気をつけてくださいね」

背もたれのついた椅子型のブランコなので、立ちこぎは無理で、ぶんぶん振ることもできず、それほど怖くありません。

自分が満足すると、他の人を誘導します。

「ここでかがんでください」

普段ならここでブランコをさっと後ろに引いて転ばせるところなのでしょうが、
暗闇ではどんなことになるか分からないので、やめておきました。

他の人がブランコ体験している間、あたりをぶらぶらします。

広場の片隅に机がありました。
その上にいろいろ「物体」が置かれています。
触っただけではすぐに何だか分かりません。単なる物体です。
オレンジとピーマンを発見しました。感触や形で分かります。
何であるか分かるまでに時間がかかったのが、皮付きのとうもろこし。
やはり、触れる機会が少ないものはわかりにくい。

ゴボウとキュウリは多くの人に握られすぎたせいか、かなり柔らかくなっていて気持ち悪かったです。

蛇とかが蠢いていなくて良かったです。あったらぼくは卒倒します。

ほぼ全員がブランコに乗りました。あいにく滑り台や砂場は無いようです。

H口さん、長いこと喋り続けて疲れているのじゃないかと思いますが、明るい声で言います。

「どうでしたか。そろそろ喉が乾いたんじゃないでしょうか。これからバーにご案内しますね」

来た来た。ダイアログ・イン・ザ・ダーク名物、くらやみバーです。待ってました。

「それじゃ、こちらへ」

H口さんのいる場所で、ドアの開く音。
「おお、ドアが開いた」と、反応してしまいます。
音だけで何が起きているか分かった時、微妙に嬉しかったりします。

開いたドアの向こうから、「いらっしゃいませー」と、三人くらい、声を揃えて挨拶してくれます。
なんだか本格的です。

ぼくらはたどたどしく店内に入ります。
着席するだけで数分かかります。
みんなの座った配置から察するに、大きな楕円形のテーブルがひとつ置かれているようです。

皆が無事に座ったところで、店長らしきお姉さんが挨拶します。

「ようこそ、バー『暗闇』へ。ワイン、ビール、それからお茶と、オレンジジュースを用意してあります。何に致しましょう?」

お姉さんの声は芝居がかっていますが、明るく聞き取りやすく、『暗闇』とかいう店名にはおよそ相応しくない感じです。

ぼくはワインを注文しました。つのさんもワインを注文します。
その他の女性陣は皆、オレンジジュース。高校生のNくんはお茶。

お姉さんが傍らに寄って、ワイングラスを置いてくれます。
まったくの暗闇なのに、さっと素早くテーブルの上にワインの入ったグラスが置かれます。
全然遅れがありません。

バーのお姉さんがぼくの手を握って、
「ここです」
と、グラスに触らせてくれます。

なんだかいい感じのサービスです。

暗闇の中だと、みんな美人に思えてきます。

ワインがほんのりと香り立ちます。

「それじゃ、乾杯しましょう。こぼすといけないんで、テーブルの上を滑らせて……。あ、押しすぎると向かい側の人の膝に落ちますんで気を付けて……」

ワイングラスを滑らせます。

ちーん。ちゃんと向かいの人のグラスと当たりました。

匂いの感覚が研ぎ澄まされているせいか、
ワインの味が鋭く感じられました。
特に聞かれませんでしたが、白ワインでした。

もし目の見えない人が最初に名付けたとしたら、赤ワインと白ワインはどう呼ばれていたのだろうとか思います。
ぼくらの味覚や匂いに関する語彙は非常に貧弱です。ぼくは赤ワインと白ワインの味の違いをうまく言葉で表現することができません。

しばらく、暗闇の中でまったりします。
声だけで会話です。

音と触感しかありませんが、良い雰囲気のバーです。

内装はどんな感じになっているのでしょうか。触れられるでこぼこがあったりするのでしょうか。
ぼくが手を伸ばそうとする前に、お姉さんが申し訳なさそうに言いました。

「おくつろぎのところ申し訳ありませんが、そろそろ次のお客様が来られます。本日は来てくださって、ありがとうございました」

たどたどしく店を出ました。

そしてダイアログ・イン・ザ・ダークの暗闇巡回コースも終了です。

「これから少し明るい部屋に入ります。感想とか聞かせてください」

カーテンをくぐって、小さな部屋に入ります。
いきなり眩しいところに入ると目に良くないため、この部屋はかなり照明を落として、暗くしてあります。
しかし、少しでも目が使えるというのは真っ暗闇とは大きな違いです。

人数分の椅子が円形に並べられています。
皆、腰掛けました。

初めてH口さんをはっきりと見ることができました。
やはり、普通に高校生でした。
すごく若い。
ちょっとびっくり。
バーでぼくらに酒とか勧めてる場合じゃないです。
でも、暗闇の中ではすごく自然でした。

最初に明るい中で会っていたら、その時の姿が暗闇の中でもずっとつきまとっていたと思います。
「ひょっとして四十代かも知れない頼りがいのあるH口さん」というイメージは形作られていなかったかも知れない。
暗い中で出会うという順序も、うまく工夫されていると思いました。

「感想を聞かせてください」と、あいかわらずおとなびた声でH口さんが言います。
声を聞くと、頼りがいのあるイメージが甦ります。

「暗闇の中で何も見えなくて。どういうところを使いました?」
「足の裏とか」
「手」
「聴覚」

皆それぞれ、思いつく場所が違うようです。
足の裏というのはぼくは思い浮かびませんでした。
ぼくが鈍い感覚のひとつかも知れません。

女性参加者のひとりがH口さんに聞きました。

「こんなこと聞いていいか分からないんですけど……。H口さんはいつも、暗く見えるんですか?」

H口さんは少し考えるような仕草を見せて、それから逆にぼくらに聞き返しました。

「これは皆さんに考えてもらいたいんですけど、僕は耳が聞こえない人にとって世界がどうなのか分からない。ぼくは生まれた時から目が見えないので、暗いと明るいの違いが分かりません。だから、今、暗いという感覚もありません。生まれてからずっとそうだったので、これがぼくにとっての世界なのです」

たしかにそうなのだろうと思います。

第六感のない我々が第六感のある人に、「皆さんはいつも韲く韶るんですか?」とか聞かれても、「分かりません!」と答えるしかないようなものだと思います。

ぼくも質問をします。

「ぼくらは立方体とか正四面体とか思い浮かべる時に、ある視点から見た形、つまり二次元に射影した図を思い浮かべてしまいますけど、H口さんの場合はある視点から見た形を思い浮かべるわけじゃないですよね。立体そのものを思い浮かべるというか。ぼくらよりも三次元的なイメージを持てているんじゃないかと思うんですけど」

H口さんは困ったような顔をして、

「どうなんでしょう。触れたことがあるものは思い浮かべられますけど……」

H口さんにとってはそれが自然なことなので、どのように説明してよいのか困っているという様子です。
比較しようがないのではないかと思います。
しかし、立方体を思い浮かべてくださいと言われた時に、まずその触覚が思い浮かぶ。
我々がものすごく拘束されている「視点」という場所から自由であるというところ。
ぼくが目の不自由な人からすごく学びたいことのひとつです。

ひととおり感想を述べあったあと、H口さんとお別れです。

椅子から立ち上がって、

「誰かぼくをアテンドしてくれますか」

と言いました。その時初めて、アテンダントという言葉は本来、視覚障害者に付き添う人のことを指すというのを知りました。

「はい、私やります」

つのさんはアテンダントという言葉を知っていたのか、すぐにH口さんの腕を取りました。

バー『暗闇』の女店長が入ってきて、白杖を回収していきました。

暗闇の中ではおとなっぽい感じでしたが、実際は結構童顔な人でした。

小部屋を出ました。

ロビーは明るい。
スタッフの皆さんが迎えてくれます。

参加者七名でロビーのテーブルを囲んで、感想文など書きながら、ああだこうだと議論しました。

「やっぱ駅は怖かったな」
「ほんま。あれはかなわんと思うわ」
「梅田とか歩きたくないな」
「歩きたくないなー」

そこからバーの話になって、真っ暗でも滞り無くグラスを差し出せるお店の人たちはすごかったなぁといった意見が出たあと、

「あのジュース、100パーやった?」
「バヤリースちゃう?」
「いや、どちらかというと懐かしい感じの味やった」
「ポンジュース?」
「そんな感じ」

そういうことを女性参加者たちが語り始めます。
やはり女性のグルメさにはかないません。

「やっぱ一回につき七人が限度ですかね」
「そやね。将棋倒しとかになったらあかんもんな」
将棋倒し。スケールの大きな想定です。

スタッフの人がテーブルに近づいてきて、感想を聞かれました。ちなみに今日が初日です。スタッフも感想が気になるのでしょう。

「どうでした?」
「すごい面白かったです」
「バーでは何を飲まれました?」
「オレンジジュース」と女性参加者。
「お酒飲まれた方は?」
「はい」とつのさん。
「匂いがすごいいいでしょ」
「ええ。あと、隣の人のオレンジジュースの匂いも分かりました」とつのさん。ほんとかよ。
「香水の匂いが強く感じられるようになった、とかいう参加者もいましたよ」とスタッフ。

ひょっとして体臭とかも強く感じられるようになるのでしょうか。
もし人を匂いで区別できるようになったりしたら、かなり奇妙な感じです。

ぼくは先ほど聞けなかった質問をスタッフの人に聞いてみました。

「この企画、耳の聞こえない人が参加したらどうなるんでしょうか」

視覚から入ってくる情報が75%だそうですが、聴覚からはどれくらいなのでしょうか。
触覚・嗅覚・味覚合わせても、5%くらいな気がします。
その5%で世界に接するとなると、ぼくらが暗闇で見えなくなるのとはまたレベルが違うような気がします。

しかしスタッフのおじさんいわく、

「残念ながら今回は耳の聞こえない人の参加をお受けしていません。準備の期間が短いですから。でも、ドイツでは受け入れてるみたいですよ。あっちは常設で、アテンダントもプロフェッショナルですし」

つのさんがそれに反応。

「ドイツは常設ですか。行ってみたいなそれは。ドイツ語できないとだめですか」
「ええ。全部ドイツ語だと思います」
「ドイツ語分からんなー」
「通訳の人に間に入ってもらうしかないですね。アテンダントの人が何か言ったら、それを翻訳してもらって。やっと分かる」
「危ないわそれ。でも、目の見えない人は旅行大変やな。標識とか英語で書いてあっても、読めへんし」

その後、公式ガイドブックを見ていたつのさんが、ドイツの会場には英語のできるアテンダントもいることを発見。
ハンブルグにあるそうですが、今度是非行ってみたいと言ってました。

現在、ダイアログ・イン・ザ・ダークのスタッフは神戸にも常設の会場を作ることを目指しているそうです。
これはぜひ実現して欲しいです。

そしてより多くの人にこのイベントを体験してもらいたい。


ダイアログ・イン・ザ・ダークのページ:
http://www.dialoginthedark.com/

Posted by taro at 23:40 | Comments (0)

2005年08月01日

合ハイは雨に降られてボーリング大会に……

日曜日、合ハイするため六甲山の麓まで行きました。
合ハイというのは合同ハイキングの略で、妙齢の男女が親交を深めるために山に登るというイベントです。
1970年代頃、合コンに男女の出会いの場の座を奪われるまで盛んだったそうです。

我々の場合はいくつかの研究室と研究機関の方々を誘って実施です。

今回の目的地は六甲山の西端、摩耶山。
しかし、麓の駅でケーブルカーに乗ろうとした途端、猛烈な雨に降られて三十分間足止め。
雨は止みそうにありません。

あきらめて三宮駅前に戻り、ボーリング大会になりました。

友人の提案でペアでボーリングを行ったのですが、これが結構面白かったです。

やり方は以下のような感じです。

1.通常の形式で1ゲーム行う。
2.スコア順に並べる。
3.上からn番目の人と下からn番目の人が組み合わさるよう、ペアを作っていく。
4.ペアボーリング開始。自分の番の時、一投目は自分で投げ、二投目はペアの相手に投げてもらう。つまり1ラウンドで2回投げる。自分の番の時の一投目と、ペアの相手の番の時の二投目と。
5.ペアの二人の合計点で競う。

これ、かなり盛り上がりました。
実力が均衡するように組み合わせられているので、ハンデが無くても点数が近接し、白熱します。
ペアの相手が残したピンを倒した時は、ひとりでスペア取った時の数倍嬉しい。
ガーターの時は数倍ひんしゅくですが。

Posted by taro at 19:45 | Comments (2)

2005年07月20日

ロボカップ感想

ロボカップ、かなり面白かったです。

アイボがサッカーしてました。

前足と鼻先でボールを囲ってドリブルし、
ゴール前でぺたんと倒れ込むことで、シュート。
顔面によって押されたボールが見事に直進し、ちゃんとゴールに入ります。

アイボ、こんなこともできるのだなぁと感心。

我が研究室にいるアイボはあまり賢く見えないのですが、
ゴールに向かってひた走るアイボを見ていると、
知性がありそうに思えてしまうから不思議です。

目的を与えることは大切ですね。人間もロボットも。

知能とは目的に向かって進むことではないかと思います。

アイボ・リーグとは別に、ハードウェア自作のリーグもありました。
大型のロボットになると、車輪で走る胴体の上にノートパソコンを乗せて動いてました。

その他、企業や大学による最新技術の展示。

富士通の二足歩行ロボットではReal-time Linuxで制御プログラムを書いているそうですが、
やはりバランスを取るためのプログラムの作成に一番手間を取られるとのこと。
現状では立っていられるといっても平地だけで、少しでも傾きがあるとコケてしまうとか。
また、機械は少しずつ誤差があるため、同じプログラムでも動くのと動かないのがあるそうです。

龍谷大の研究室では犬のロボットを出展していました。これは走ったり跳んだりできるのが特徴。
歩くことと走ることの違いは、瞬発力を出せるかどうか。
犬ロボの場合、ばねで力をためて、モーターの力と合わせることで瞬発力を作り出しているそうです。
このロボットの動きはアイボより格段に犬っぽかったです。

ロボットのパーツを売ってる出店などもあり、盛りだくさんな内容でした。

一緒に行った友人から、ROBO-ONEというロボットの総合格闘技みたいなイベントの存在も教えてもらいました。

見に行きたいですが、次回は9月17日~18日。ぼくは行けません。
しかも場所は飛騨高山……。

http://www.robo-one.com/8th/F_ROBO-ONE8th.htm

写真を見ると、かなり小さなロボットが闘うようです。

アシモ同士が闘うならぜひ見に行きたいところですが。

五年後とかに行けば、アシモと人間が闘ってるかも知れません。

それって結構痛々しそうです。

Posted by taro at 18:12 | Comments (0)

2005年07月06日

真っ暗イベント

光を完全に遮蔽した室内に入り、
目の不自由な人に案内してもらい、
(暗闇の中では彼らの方が自由なわけですが)、
聴覚や触覚を研ぎ澄ませ、
視覚に依存した日常生活を離れ、
他者や自分自身との新しい対話を模索する
ダイアログ・イン・ザ・ダークというイベントがあります。

真っ暗闇の中でカクテル作ったりするらしいです。

昔から興味を持っていたのですが、
今度神戸にやってくるというので、行ってみようと思っています。

8月20日(土)午後5時からのワークショップに行く予定です。
興味のある人、ぜひ一緒に行きましょう。連絡はtez@sings.jpまで。

http://www.equiv.net/did/main.html

一回につき七人しか入れないので、早く申し込まないと予約がいっぱいになるかも知れません。

なお、今回のダイアログ~は、こうべユニバーサルデザインフェア2005の一環として行われます。
そういうのに興味がある方もぜひ。

http://www.city.kobe.jp/cityoffice/18/menu03/t/keikaku/ud/ud_top/index15.htm

Posted by taro at 21:42 | Comments (1)

2005年06月30日

ロボカップ見に行きませんか

今度、友人たちとロボカップを見に行くのですが、
興味のある方、もしよかったら一緒に行きませんか。

ロボカップというのはロボットのサッカートーナメントです。

自律型のロボットがチームを組んで競い合います。人間がラジコンで操作しているのではありません。

いくつかのリーグがあって、アイボのチームによる対戦とかもあるみたいです。

2050年までに人間の世界チャンピオンチームを倒すことが目標らしいです。
ちょっと怖すぎる目標です。

毎年世界のどこかで開かれているのですが、今年は大阪で開かれます。

ひとりで行くより何人かで行く方が面白そうだという方、ぜひご連絡ください。連絡先はtez@sings.jpです。

7月17日(日)午前10:00に、大阪地下鉄OTS線の中ふ頭駅前で待ち合わせします。
会場はインテックス大阪、当日券は1,200円です(←安い!)。

http://www.robocup2005.jp/

交通案内はこちら。
http://www.intex-osaka.com/access/subway/index.html

Posted by taro at 00:05 | Comments (2)

2005年06月26日

植物園見学会について

京都在住で植物が好きな人にお勧めかも知れないイベント。

今、大学の独立法人化に伴う合理化が進められる中で、
「附属植物園をつぶして新しいビルを建てようか」などという案が出ていて、
そんな計画から植物園を守るべく、愛好者たちが毎月一回見学会を開いています。
多くの人に利用してもらい、その存在意義を高めようというわけです。

誰でも参加できて、植物学専攻の院生が案内してくれて、いろいろ教えてもらえます。

定年退職後のおじさんやおばさんがたくさん集まっているのですが、
そのへんの野山じゃなくあえて附属植物園に来るような皆さんはかなりマニアックであって、
葉脈とか花弁の形状について熱く語り合っています。

次回は6月29日(水)12:00~12:55開催、テーマは「ツユときのこ」らしいです。

http://members.at.infoseek.co.jp/bgarden/

Posted by taro at 12:19 | Comments (0)

2005年06月08日

苦情・クレーム博がさらにパワーアップして帰ってきた!

恒例の「苦情・クレーム博覧会」(福井商工会議所主催)のシーズンがやってきました。

https://www.kujou906.com/

案内文にいわく、

> 「苦情との運命的な出会い」を少しでも早く実現して頂けるよう、
> 皆様から頂戴したご意見をもとに様々な改善を加えさせて頂きました。

今年はなんと1,050円ですべての苦情をオンライン閲覧できるそうです。

がんがんクレームを送って世の中を良くしていきたいものです。

Posted by taro at 20:20 | Comments (0)

2005年06月04日

合ハイの季節がやってきました!

今年も合同ハイキング(※1)の季節がやってきました。

今年こそ、楽しげにハイキングしてみたいと思います。

※1 合同ハイキング:妙齢の男女のグループが山にのぼり、親睦を深める行為。1970年代頃まで盛んだった。

Posted by taro at 19:49 | Comments (2)